49匹目のシュレディンガーの猫(1)
連絡が来たのが日付が変わっていたかどうか、忘れてしまった。
着いた頃には人もまばらになった半個室の居酒屋で、これまでスタンダードだった方の紙のタバコとサイダーを携えて「一回さあ、やってみたかったんだよね」とその人は僕に依頼をした。
自分の退職の話を書いてほしいと。
加えてちゃんとお金払うからちょっと盛って格好良く書いてとも。
この人からの呼び出しは大体直前で、いやちょっとあと30分でそこには辿り着けませんと断ったことも一度や二度ではない。
友達の少ない僕はもう誘われないか