「魔笛」 訳詞:岩河智子
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序曲
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■1幕_1場
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No.1 INTRODUCTION
タミーノ:助けて、たすけて、誰か、お願いだ。
早く、早く、ダメだ、つかまる
恐ろしい怪物が私をねらう
もうそこに迫ってきた
ああ、どうぞ助けて神様
ああ、どうぞ助けて、どうぞ助けて
ダーメ:さあ、死ねよ大蛇め!
ばんざい、ばんざい、たたえよ勝利を
恐ろしい、大蛇は、この手で見事しとめた
ああ、なんて素晴らしい手柄!
ダーメ1:見てよ、素敵な人ね
ダーメ2:こんなハンサムはじめてよ
ダーメ3:本当だわ、絵のようね
ダーメ三人:恋人にするならこんな人が良いと
ずっと、夢見てたわ
さあ、早く行って、女王様にお知らせしましょう
悲しい心の女王様もきっと、お喜びになる。
ダーメ1:それじゃ、お行き。ここは私が、
ダーメ2:いえ私が残りましょう
ダーメ3:ダメよここは私だけが
ダーメ1:いえ、私だけ
ダーメ2:いいえ、私だけ
ダーメ3:いいいえ、私だけ、
ダーメ1:私が
ダーメ2:私が
ダーメ3:私が
3人:いえ、いえ、いえ
ダーメ2:私は
ダーメ3: 行くのは
ダーメ1: いやだわ
ダーメ2:私は
ダーメ3: 行くのは
ダーメ1: いやだわ
ダーメ3:いやよ
ダーメ2: いやよ
ダーメ1: いやよ
3人:いや、いや、行くのはいやよ
抜け駆けはだめよずるいわ、
だめよ、だめよ、だめよ、だめよ、
ダメよそれは
抜け駆けはだめよずるいわ、
だめよ、だめよ、だめよ、だめよ、
ダメよそれは、ダメよそれは、ダメよそれは
ダーメ3:全て捧げますわ
ダーメ2: 全て捧げますわ
ダーメ1: 全て捧げますわ
ダーメ3:この方と二人
ダーメ2: この方と二人
ダーメ3: この方と二人
ダーメ3:暮らせるものなら
ダーメ2: 暮らせるものなら
ダーメ1: 暮らせるものなら
3人:この方と二人で
でもそれは許されない
ここはあきらめて、行くとしましょうか
それではさようなら、いとしい若者
また後ほど、またお目にかかれるその日まで
それではさようなら、いとしい若者
また後ほど、またお目にかかれるその日まで
では後ほど、ではではでは後ほど
必ずまた、必ずまた、また後ほど
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タミーノ:ああ、恐ろしい大蛇に追われ、夢中で逃げてきたが
ここはどこだ? 深い森だ、ああ、どうすれば良いのか
誰かやってくる。誰だ?
■1幕_2場
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2場 アリア
パパゲーノ:1)おいらの仕事を知ってるかい、
いつも楽し、ホップサッサ
この当たりじゃちょいと有名な、鳥を捕る名人だ
うまく罠を仕掛けて、この笛で呼んだら、、、
ほらほら愉快幸せ、きれいな鳥がかかるだろ
2)有る朝罠を覗いたら
こりゃたまげた、ホップサッサ
鳥の替りに愛らしい、女の子がかかってた
甘いお砂糖キスの雨、愛しいおいらの花嫁さ
すやすやお眠りなさい、おいらがそばで守るから
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タミーノ:君、君は一体だれなんだい?
パパゲーノ:おれが誰かだつて?
馬鹿なことを聞くね!
お前と同じ人間だよ。お前こそ誰だい?
タミーノ:私は王子だ。
パパゲーノ:王子?
タミーノ:私の父はたくさんの国々や人々を支配している王様なのだ。
パパゲーノ:たくさんの国?
ここのほかにもまだ国があるんかね?
タミーノ:ところで、ここは一体どこなんだい?
パパゲーノ:どこかって?森の中さ
タミーノ:それは知っている。なんという国か?
王様は誰だ?
パパゲーノ:さあ? あんた不思議な事を聞くね?
タミーノ:では、どうやって生きているんだね?
パパゲーノ:食ったり飲んだりしてさ、だれでも同じようにね。
そして仕事と言えば、星に輝やく女王様のために
いろんな鳥をつかまえること。
鳥のかわりに毎日女王様から食べ物や飲み物をいただくのさ。
タミーノ:星に輝やく女王様だって?
夜を支配する夜の女王のことか!?
パパゲーノ:そうさ。夜の女王様は、お日さまが西ノ山に隠れると
どこからともなくやって来て、星に輝く真っ黒なベールで
皆を優しく包んでくれる
三日月の夜にゃ、森に住む動物達に語りかけ
おいらにも素敵な夢を見させてくれる ‥‥
なんでそんな目でおれのほうを見つめるんだい?
タミーノ:なぜって
お前があんまり変わっているから、、、
パパゲーノ:なんだって?あんまり気やすくするなよ。
おいらはこう見えても強いんだぜ!
タミーノ:ああ!では、お前があの蛇から私を救ってくれたのか?
パパゲーノ:蛇だつてああ。そうそう、そうそう、なんでもまかせな
いつだって力になるさ
タミーノ:でも、どういうふうにあの蛇を退治したんだい?
パパゲーノ:おいらがこの手で締め上げりゃぁ、どんなやつもいちころよ!
■1幕_3場
(三人のダーメ登場)
三人のダーメ:パパゲーノ!
パパゲーノ:あっ、おいでなさった。
タミーノ:誰なんだい?
パパゲーノ:夜の女王のお遣いさ
おいらに葡萄酒とパンを持って来てくれるんだ。
三人のダーメ:パパゲーノ!
パパゲーノ:今日は機嫌が悪いらしい
さあ、美しいご婦人方、今日も鳥を持って来ましたよ。
ダーメ1:そのかわりに女王様は、葡萄酒ではなくて、
ただの水をくださったわ。
ダーメ2:そしてパンのかわりに、この石を
お前の口にあうといいけど。
パパゲーノ:なんだって?石を食べろだって!
ダーメ3:そして今日は特別に、お前の口にこの錠前をはめてあげるわ。
ダーメ1:どうして今日はこんな罰を受けるのか、お分かりでしょう?
ダーメ2:それはお前が嘘をついたからよ。
ダーメ3:人の手柄を横取りしたわね。
ダーメ1:お前が蛇を退治したのかい?
ダーメ2: したのかい?
築3のダーメ:したのかい?
ダーメ3:あなたを救ったのは 、私たちです
ダーメ1:私たちは夜の女王様の遣いです。
ダーメ2:こわがらないで。あなたに良い知らせがあります。
ダーメ3:この画は偉大な女王様のお嬢様、パミーナ姫様の肖像です。
ダーメ1:この絵姿をあなたが気に入って下さるなら、
仕合せや名誉や名声があなたの運命となりましょう
■1幕_4場
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No.3アリア
タミーノ:気高き女神よ、類いなき姿
いつか胸にあふれる、はじめての高鳴り、はじめての高鳴り
何と名付けたら良い、燃えるこの炎
ああ、これが恋か、恋という思いか
そう、まさしく恋よ、胸の思い、これこそ恋よ
ただ一目会えれば、我が前に来れよ
心清く汝を迎え
愛しい乙女よ、熱い胸に抱きしめ
永遠にわが物よ、永遠にわが物よ
乙女よその時こそ、永遠にわがもの、永遠に、、
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■1幕_5場
ダーメ1:ああ素晴らしい!
ダーメ2:女王様はどんなにお喜びでしょう
ダーメ3:女王様はあなたの誠実な気持ちを理解なさって
ダーメ2:あなたの幸せを約束なさるでしょう
ダーメ1:あなたこそパミーナ様を救い出しす方です。
タミーノ:救い出すって?
一体何が起こったのですか?教えて下さい。
ダーメ1:邪悪な暴君、ザラストロが、あの方を奪い去ったのです。
タミーノ:奪い去ったって? ああ、パミーナよ!
教えて下さい。ザラストロはどこにいるのか?
侍女たち:あの岩山の向こうに!
タミーノ:パミーナを救いましょう。悪者は私が倒します。
この愛にかけて、この心にかけて!
3人の侍女たち:女王様のおでましです!
■1幕_6場
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No.4 夜の女王のアリア
夜の女王:さあ、来れ若者、心清く賢い方
そなた一人が悩む母の深い悲しみの慰めよ
この胸張り裂けよ、我が子を奪われて
娘とともに消えた、全ての幸せよ
これこそ、あの悪魔の仕業
今も浮かぶ娘の涙、おののき震えてすくいを呼ぶ声
このははの目の前で、「助けて、助けて」すがり叫ぶ
その声空しく、さらわれた娘よ、弱い母をどうか許して
でも、今、そなたは娘を救い、助ける方よ
そう、あの悪魔の手から、見事に助けたら
娘はそなたのもの、娘は〜〜〜〜〜〜
永遠にそなたのものなり
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■1幕_7場
タミーノ:これは夢ではないのか
恐ろしい大蛇、星に輝く女王さま
そして、美しいパミーナ‥‥
ああ、神よ!私をお導きください。
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No.5 5重唱
パパゲーノ:フムフムフムフムフムフムフムフム‥‥
タミーノ:哀れなやつよ、うそつきの罰がこれか
私の力ではなにもしてやれぬ
気の毒だが私には、何もしれやれぬ
私の力ではなにもしてやれぬ
パパゲーノ:フムフムフムフムフムフムフムフム‥‥
■1幕_8場
ダーメ:優しい女王様お赦しなされた
パパゲーノ:やっとしゃべれたぞ、パパゲーノ
ダーメ2:だけどうそはもうダメよ
パパゲーノ:もう2度と言いません
ダーメ1.2:忘れてはだめよ
パパゲーノ:これを見るたび
ダーメ三人:思い出し忘れないで
5人:全てのうそつきの口に、こんな蓋をしたら
憎しみやたくらみは消え去り、人は皆愛しあう
憎しみやたくらみは消え去り、人は皆愛しあう
ダーメ1:さあ、これを受けなさい、女王様の賜物
これは魔法の笛です
ダーメ1:どんな苦しいときでも
2,3ダーメ:これさえ有れば全て、思うままたちまち変わる、
涙は笑顔に、おこりん坊は優しく
全員:ああ、この笛はまたとない宝よ、
幸せと平和を呼び寄せるでしょう魔法の笛の不思議な力
パパゲーノ:うるわしい方々、そろそろおいとまします
ダーメ三人:ご自由にどうぞ。だけどご命令です
王子様とともにザラストロの城へ行けと
パパゲーノ:いやそりゃまっぴらだ。
奴は恐ろしい悪魔か獣か、もし捕まったら
裸にされ、毛をむしられ油炒め、犬のえさに成るんだ
ダーメ三人:だから王子様の家来になればよい
パパゲーノ:それでも心配だ、当てにならぬ、
いざとなれば一人でさっさと逃げるかも
ダーメ1:これをあげましょう
パパゲーノ:ほうほう、中みはなに?
ダーメ三人:鈴の音が聞こえるわ
パパゲーノ:おいらにも鳴らせるかな
ダーメ三人:大丈夫、出来るわ
全員:不思議な調べよ、二人を守れよ
この笛と、のこ鈴で
行けよ今こそ
タミーノ:教えて下さい
パパゲーノ:城へ行く道を
タミ、パパ:どちらに向かえばよいのか教えて
ダーメ三人:みそらに可愛い三人の天使が現れ、
行く手を導く,その言葉を辿れ
全員:みそらに可愛い三人の天使が現れ
ダーメ三人:行く手を導く、その言葉を辿れ
全員:それでは行きましょう、皆さまさよなら
それでは行きましょう、皆さまさよなら
さよなら、さよなら、さよなら、さよなら、、、
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■1幕_11場 (9場〜10場はカットです)
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No.6
3重唱
モノスタトス:お入りよい子だ
パミーナ:なんて辛いこと
モノスタトス:命はないぞ
パミーナ:もう、覚悟しています。気掛かりはお母様のこと
悲しみ嘆くでしょう
モノスタトス:活かすも殺すもこの手のままに
パミーナ:殺しなさい、獣め、さ、はやく。
モノスタトス:それじゃ、ゆっくり料理しようか
■1幕_12場
パパゲーノ:あれ、ここは、どこだろ。
おやまあ、だれかいるぞ。では入ろう。
きれいな女の子、雪よりも真っ白な
Mons.&Pgno.:ふうー、なんだ今の、へんな、お化け
出たぞ、いやだ、お化け、怖い
助けて、助けて、お赦しを、お赦しを、フゥー!
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■1幕_14場 (13場はカットです)
パパゲーノ:ははは、驚いた
しかし、おいらも慌て者だ、
黒い鳥だっているんだから、黒い人間だっているはずさ
パミーナ:お前はだれ?
パパゲーノ:あんたは夜の女王様の娘さんかい?
おいらは、女王様の使いのものですよ。
パミーナ:お母さまの?
ああ、うれしいわ!お前の名は?
パパゲーノ:パパゲーノ。
パミーナ:どうしてここへ?
パパゲーノ:今朝、おれがいつものようにあんたのお母さんの宮殿へ
鳥をお納めしようとしていると
目の前に王子と名乗る男があらわれた。
あんたのお母さんはその王子をたいそう気にいって、
あんたの肖像画を贈って、あんたを助け出すよう命じたんだよ。
王子様は絵姿を見て、一目ぼれ、
愛する気持ちが駆り立てて、あんたを助けに来る、
その頼もしい家来がこのおいらさ。
パミーナ:その方じゃ私を愛してくださるのね?
ああ、もう一度言って。
愛という言葉を聞くのはうれしいわ。
パパゲーノ:その男は、あんたのことを愛してる。本当さ
おいらもあんたのことを素敵な娘さんだと思うなぁ
パミーナ:ありがとう
あなたは、本当にやさしい人ね。
そのうちにゃ神さまが心配してくれて、
あなたにも女の人を授けてくださるわよ。
パパゲーノ:なるべく早くお願いしますよ!神様!
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No.7 二重唱
パミーナ:心に愛を感じたら、真の男よ
パパゲーノ:甘き思いに応えてよ、優しい女なら
2人:愛する喜び、我らは愛だけを信じて生きる
パミーナ:この身を愛にゆだねれば、苦しみも安らぐ
パパゲーノ:日ごと楽し、愛の喜びの、地上にあふれて
2人:高らかに告げてよ、この世で愛より、気高いもの無し
男と、女とは、愛し愛されて高く清らか
愛し愛されて高く清らか、清らか
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■1幕_15場
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No.8 フィナーレ
3天使:この道を辿り、行けよ勝利のため
教えを守れよ、けして揺るがず、我慢強く、口は閉ざして
タミーノ:教えて、この手は、パミーナを救うか?
3天使:答えは言えない、けして揺るがず、我慢強く、口は閉ざして
教えを忘れず、さあ行けよ、若者よ勝利のその日まで
タミーノ:不思議な教えを心にとどめよう。
ここはどこ?なんだあれは?神々のすまいか?
恐れずに行こう。そしてあの悪魔の手から、
パミーナを、パミーナを救うのだ
家臣:さがれ
タミーノ:さがれ、なぜ?
あちらへ行こう
家臣:さがれ
タミーノ:ここでもない
するとあちらが入り口なのか、、
家臣B:旅人よ、ここで何を探すか
タミーノ:気高き愛の姿
家臣B:その意味は深い。だが、おまえの胸に愛の影はなく、
憎しみが燃えているぞ
タミーノ:憎むのは悪魔
家臣A:悪魔などはおらぬ
タミーノ:ザラストロはここの主か
家臣A:さよう、この地を治める
タミーノ:それじゃあ、ここは悪魔の国か
家臣B:まて、何故そんなことを
タミーノ:ある哀れな女が、涙とともに告げたのだ
家臣B:おまえはだまされているぞ
口から先に生まれたのが女だ、惑わされてはならぬぞ
ザラストロが全てを明かしていたら、、
タミーノ:いや、全ては明らかだ。やつは母親の手からパミーナを奪いさった
家臣A:そのとおり
タミーノ:ああ、どこに隠したのか、まさか殺したのでは
家臣B:その答えはまだ私には言えない
タミーノ:解らない。なぜだ
家臣A:誓いと掟のため
タミーノ:この霧はいつ晴れる
家臣B:きよらな世界で友となるその日
タミーノ:おお、深いやみ夜に、光は何時見える
カゲコーラス:もうじき、いや、決して!
タミーノ:「もうじき」あるいは「決して」。
姿無き声よ、パミーナは無事か?
カゲコーラス:パミーナ、パミーナ、無事よ
タミーノ:無事か、無事か、ああ、感謝します
ああ、許されるなら全能の神をたたえ、
この笛の音をささげん喜びの調べを
タミーノ:魔法の歌を奏でる優しき笛よ。
調に誘われ、動物達も喜ぶ
その妙なる響きよ、優しき魔法の笛よ、
調に誘われ、動物達も ‥‥
でも、ああ、パミーナ、
パミーナのもとへは届かないのか、、
パミーナ、パミーナ、聞いてよ、どうかどうか
ああ、ああ、ああ、そなたはどこに
あ、あれはパパゲーノ
それじゃ、見つけたのか、パミーナに会えるのか
やっとあえる、あの笛を頼りに行こう、笛の音頼りに行こう
■1幕_16場
pam.&Pgno.:急いで、気をつけて、逃げよう敵はすぐそこ
タミーノはどこ、ああ、早く会わなきゃ危ない
どこにいるのはやく、早く会わなきゃ危ない
パミーナ:愛しいかた
パパゲーノ:ダメダメ、静かにこれが良い
pam&Pgno.:ああ、なんて嬉しいの、タミーノはそこ、そこまで来ている
心弾ませて急いで急いで行きましょ
幸せの時よ今こそはひたすらに
とにかく急いで急いで急いで行きましょ
■1幕_17場
モノスタトス:急いで急いでいくだと。はは、そら捕まえた。
鎖につないで、教えてやろうオレのやり方を
このモノスタトスをだますとは、きさま良い度胸だ
パミーナ:ああもうおしまい
モノスタトス:覚悟は良いな
パパゲーノ:ものはためし、あきらめないで
さあ、鳴り響け魔法の鈴よ
声を上げてくれ
3天使:きれいな、音が、聞こえてくる。ラララ‥‥
妙なる響き、鈴の音よ、ラララ‥‥
妙なる響き、鈴の音よ、ラララ‥‥
pam.&Pgno.:不思議な力、魔法の鈴よ、鳴らせばたちまち敵は逃げる
誰もがこんな鈴を持ったら、世界の人は皆仲良く手を取り
微笑み交わし、悩みは消えて楽しくなる
合唱:ばんざい、ザラストロたたえましょう
パパゲーノ:あれは、何だろう?いやな予感が、、
pam.:いよいよ最後だわ、やって来るザラストロ
パパゲーノ:ネズミならば穴に逃げ込むし、カタツムリなら殻に潜るが
さて、ここはどうする
パミーナ:全て正直な話しましょう
■1幕_18場
合唱:ばんざいザラストロ、たたえましょう
喜んでお仕えしましょう
まこと高きその知恵よ、思いは楽しその心
この世の幸開く方、捧げましょう真心を
捧げましょう、捧げましょう
パミーナ:ああ、私の罪です、ここから逃げました
でもそのわけはあの男が恋に狂いこの身に迫った
ザラストロ:お立ち、そして、ほほえみなさい、
もう何にも言うな、すべて分かっているぞ
その胸の恋の炎、一人の若者
心のままにせよ、だけど、まだここに留まれ
自由を与えることはまだ許されぬ
パミーナ:辛いのは、お母様に娘として
ザラストロ:幸せを願うなら全て私にゆだねるのだ
パミーナ:愛しい母の名前よ、会いたいのお母様
ザラストロ:わすれるのだ、今若者の愛が
そなたを正しき世界に導く
■1幕_19場
モノスタトス:さあ、こい、無礼者めが、我らのご主人様だ
パミーナ:これは!
タミーノ:これは!
パミーナ:あの方!
タミーノ:夢か!彼女だ!
2人:この手に抱きしめたい、それだけが望み
合唱:どういうことだ
モノスタトス:厚かましいぞ!早く離れろ、やり過ぎだぞ!
お願いです、どうかあいつを縛って下さい、
ひどい男です
そこの鳥の化物と、パミーナをさらおうと、
でも、私が捕まえた、この目はごまかされない
ザラストロ:それはお手柄だ、褒美を取らせよ
モノスタトス:嬉しい、何かな
ザラストロ:77回ムチでたたけよ
モノスタトス:ああ、とんでもない、結構です
ザラストロ:まあ、遠慮するな
合唱:神のごとく賢い方よ、与え、裁き、治めなさる
ザラストロ:それでは二人をあちらへ迎えよ
身体を清めて、修業の支度を
合唱:徳の気高さと、正義の光が我らの行く手を
輝き照らせば
楽しき花園、この地上は花園、神の御国
永遠の命受ける、そう、神のごとく永遠の命受ける
そう、もう滅びはしない永遠の命
楽しい花園、永遠に滅びず、あふれる喜び、喜び
■2幕_1場
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No.9 僧侶たちの行進:ザラストロ登場、ひきつづき、合唱登場
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ザラストロ:叡智の神殿で大いなる神に身を捧げた者よ!
清らかな魂もてここに告げよう、
今日は、この我々の時代の中でもっとも重要な日となるだろう
王の子にして二十歳になるタミーノは
われらの神殿の北の門を遍歴し、
われわれみなが辛苦と精励もて獲ち得べき対象を、
徳高き心もて得んものとこがれている。
この若者は、夜のヴェールをみずから引き裂き、
まばゆく光り輝く聖なるものに目を向けようとしているのだ。
この若者を見守り、彼に友情ある手を差しのべるのが
われらのもっとも重要なつとめであろうか。
家臣A:彼には勇気がありますか?
ザラストロ:しかり
家臣B:沈黙を守れるでしょうか?
ザラストロ:しかり
家臣A:誠実でしょうか?
ザラストロ:しかり
彼を資格ありとするなら受け入れよう。
神々は、やさしく貞節なパミーナのために
やさしい若者を定めた。 これこそ、私が、彼女を
矯漫な母親から引きはなした理由なのだ。
あの女は自分が偉大であると思いこみ、
妖術と迷信によってひとびとをだまし、
われらの堅固な神殿を打ち壊そうとしている。
だが、そのようなことはさせぬぞ。
やさしい若者のタミーノはわれらとかたく結ばれて、
神に仕えるものとなるだろう
家臣B:偉大なるザラストロよ、
タミーノはここでの試練にはたして耐えうるでしょうか?
ザラストロ:神々はふさわしい結末へと、彼を導くだろう。
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No.10 アリアと合唱:
ザラストロ:おお、神よ、与えてよ
知恵深き心を
二人のゆくてに力を授けてよ
険しき道でも
合唱:険しき道でも
ザラストロ:咲き誇れ、勝利の花よ、その影に死すとも
ひたすらに道を求め散り果てた命を御もとに迎えよ
合唱:御もとに迎えよ
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■2幕_2場
タミーノ:パパゲーノ、そばにいるのか?
パパゲーノ:ああ、もちろんですとも!
タミーノ:ここはいったいどこなんだ?
パパゲーノ:どこって?
もちろん、暗くなきゃ、教えてあげたいんですがね
ひやああ!
タミーノ:どうした?
こわいんだね、
パパゲーノ:こわいんじゃないんだけど
ただ背すじがぞくぞくってするんで。
ひやああ!
■2幕_3場
家臣B:お前たち、なにを求めているのだ?
タミーノ:友情と愛とを
家臣B:命を賭けても手に入れる覚悟か?
タミーノ:もちろんです!
タミーノ:気高い教えが私に勝利をもたらすだろう。
家臣B:そのためにも、どんな試練も受けるのだな?
家臣A:おまえも愛を戦いとろうとするのか?
パパゲーノ:戦うなんておいらの趣味じゃありませんよ。
おいらは、眠って食べて飲んで、それで十分ですよ。
そして、きれいな女の子でも見かりゃ、最高だ!
家臣A:試練を乗り越えれば、その女の子だってすぐに見つかる
パパゲーノ:ほう!その試練てどんなことなんです?
家臣A:われわれの捷にしたがい、死も恐れぬことだ。
パパゲーノ:‥‥やめとくよ。
家臣B:残念だな、そのこはお前が来るのを待っているのに。
パパゲーノ:おいらを待っているだって!?
その子は若いんですかい?
家臣B:若く、しかも美しいのだ。
パパゲーノ:それでなんというんです?
家臣A:パパゲーナだ。
パパゲーノ:なんですって?一一パ?
家臣B:その子に会わせてやろう。ただし条件が一つ
家臣A:許されるときまで、その娘と一言もしゃべってはいけない。
その我慢が、おまえに出来るだろうか?
パパゲーノ:ああ、もちろんだよ!
家臣B:神々はお前たちに、幸いをもたらす沈黙をお命じになった。
沈黙は守らなければならない
■2幕_4場
パパゲーノ:おい、明りをよこせ!明りをよこせ!
■2幕_5場
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No.12 5重唱
ダーメ三人:ま、なぜこんなところに。もうダメ、もう逃げられない
このままでは危ない、二人とも死んでしまう
パパゲーノ:そりゃひどすぎる
タミーノ:黙れパパゲーノ。誓いを忘れて、女としゃべるか
パパゲーノ:だって殺されちゃうって
タミーノ:黙れ、静かに
パパゲーノ:いつも何時でも黙れ黙れ、黙れ黙れ黙れ
ダーメ三人:ここに女王様も忍んでこられた
パパゲーノ:ほんと!こんなところに
タミーノ:こらだまれ、静かに、よくも軽々と誓いを破れるな
ダーメ三人:命が惜しくはないの?忘れたの女王様を?
ここでばかげたこと、教えられたのね
タミーノ:下らぬたわ言、聞く耳持たぬ
ダーメ三人:ここで余計なこと教えられたのね
ここに留まると、地獄に落ちるわ、二人のどちらも
パパゲーノ:そりゃこまるよ、地獄は怖いよ、恐ろしいいやだよ
ちょっとタミーノさんどうしよう
タミーノ:根も葉もないこと、女のおしゃべり
パパゲーノ:女王様の言葉だ
タミーノ:女王様も女だ、まだ判らないか
さあ、誓いをただ守れ
ダーメ三人:何故そんな冷たいの、パパゲーノまでどうしたの?
パパゲーノ:わしとしては勿論‥‥
タミーノ:シ!
パパゲーノ:ほらね、こうくる
タミーノ:シッ!
パパゲーノ:おしゃべり止まらない
タミーノ:おしゃべり止まらないは、恥ずかしいことだ
ダーメ三人:もうだめよ、悔しいけどどちらも手ごわい
タミーノPgno.:悔しそうにあきらめ
ダーメ三人:あきらめましょうどちらも手ごわい
tam.&Pgno.:我らは手ごわい
全員:心かたき物、それこそ男よ
心かたき物、それこそ男よ
ダーメ三人:こうと決めたらば
tam.&Pgno.:二度とは揺るがず
ダーメ三人:こうと決めたらば
tam.&Pgno.:二度とは揺るがず
家臣:汚れた女達よ、地獄へと消えろよ
ダーメ三人:あれ!あれ!あれ!
パパゲーノ:助けてお願い!
└─────────────────────────────
■2幕_6場:p.12後_1
家臣B:タミーノよ、おめでとう。
お前の男らしいしっかりした態度が勝利を得たのだ。
だがまだ厳しく危険な道を辿らなければならぬ。
澄み切った心をもって遍歴をつづけることにしよう。
家臣A:
これ、起きなさい!どうしたんだ?
パパゲーノ:気を失って倒れてるところ
家臣A:しっかりしなさい、男らしくするのだ!
パパゲーノ:なんでこんな目にあうのかね。
家臣A:お前を連れていくことが、今や私の試練だ。
■2幕_7場
モノスタトス:
パミーナか!
あの娘をみていると、おれは正気ではいられない。
眠っている隙に、もう一度、触れてみたい。
ああ、どうしちまったんだおれは
でもちょっとだけなら‥‥
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第13番アリア
モノスタトス:(1)誰でも楽しく恋をしたいよ
オレだけはだめさこの黒い肌、醜い姿
だけどオレにも、そう、心も有りゃ、そう、血も流れて
恋人を求める、誰も来なけりゃ、辛い地獄だ辛い地獄だ
(2)お月さま許せ、このオレだって
抱きしめてみたいあの白い肌、可愛い娘
あまい接吻、ああ、お月さまよ、そう、隠れてくれ
しばらく目を閉じ、二人の世界、邪魔をしないで ‥‥
└─────────────────────────────
■2幕_8場:p.13後_1
夜の女王:パミーナ
モノスタトス:夜の女王だな。
パミーナ:お母さま!お母さま!私のお母さま!
夜の女王:あの若者はどこにいるのです?
バミーナ:ああ、お母さま、あの方はまことの正義を求め、
ザラストロさまの試練を受けています。
夜の女王:哀れな娘よ
世が明けぬうちに、ここから逃げ出さなければ、
あの若者は神に仕えるものになってしまう
パミーナ:愛するお母さま、あの方を神に仕える人として、
愛してはならないのでしょうか?
ザラストロ様も、本当にすばらしい方でいらっしゃいますわ。
夜の女王:お前はザラストロを殺さねばなりません。
そしてザラストロの支配する太陽の世界を手に入れるのです!
パミーナ:お母さま!
┌─────────────────────────────
第14番アリア
夜の女王:はげしく燃え立つ胸よ、ああ、炎はこの身体を焼き尽くす
その手で、ザラストロの命を、ザラストロの命を
奪わねば今限り、おまえは娘ではない〜〜〜〜
娘ではない〜〜〜〜〜
もう我が子ではない、決して!〜〜〜
立ち去れ永遠に、滅びるが良い、砕けよ、全て、
この世のきずな。 永遠に滅び砕けよこのきずな、
ああ、永遠に〜〜〜〜全て消えよ
その手で、ザラストロを打たねば
聞け神よ、聞けこの母の復習の誓いを!
└─────────────────────────────
■2幕_9場
パミーナ:神様、私は一体どうしたら良いのでしょう。
■2幕_10場
モノスタトス:おれに任せないかね?
パミーナ:神様!いったいどうしたらよいでしょう?
パミーナ:ああ!
モノスタトス:なぜ震えてるんだね?おれが黒いからかね、
それとも人を殺そうとしているからか!?
モノスタトス:このことをザラストロに伝えようか、、、
よくきけ。お前の命ばかりじゃなく、お前のおっか
さんの命もおれの手のうちにあるんだ。
しかし、お前とお前のおっかさんを救う方法が一つある
パミーナ:それはなに?
モノスタトス:おれを好きになることさ!
パミーナ:神様!
モノスタトス:さあ、イエスかノーか!
バミーナ:いやです!
モノスタトス:いやだって?どうしてだ?
おれが黒い幽霊のような色をしているからか?
やい!死んじまえ!
■2幕_11場:p.14後_4
モノスタトス:ご主人さま!
この女は、あなたを殺そうとしたのです
ザラストロ:立ち去れ!
■2幕_12場:p.14後_4
パミーナ:お母さまを罰しないでください。私がいないのを悲しんで
ザラストロ:私はすべてを知っている
お前の母親がこの城の地下に忍んでいることも、
また私に対する復讐を計っていることも
神は、あのやさしい若者に志をとげる勇気と
お前は彼と一緒にしあわせになるだろう。
忍耐カを与えてくれよう。 そのとき、お前のお母さんは
恥じ入って自分の城に帰ることになる
┌─────────────────────────────
第15番アリア
ザラストロ:このきよらな宮に、あだ討ちはなく、
愛の命ずるままに務め果たさん
さまよえる旅人に、優しき友の手が、かなたの花園へ、
導き誘うよ、彼方の花園、導き誘うよ、花園へと
└─────────────────────────────
■2幕_13場:p.15後_1
家臣:さあ、試練を続けよう。
合図が鳴るときまでここに留まりなさい。
もう一度言うが、二人とも決して口を聞いてはいけない
たとえ、パミーナが現れようと
■2幕_14場:p.15後_2
パパゲーノ:タミーノ!
タミーノ:しっ!
パパゲーノ:まったく面白い試練とやらだ
タミーノ:しっ!
パパゲーノ:自分と喋るんならいいんでしょうが
タミーノ:しっ!
パパゲーノ:ラララ、ラララ!
タミーノ:(Pgno.の口を塞ぐ)
パパゲーノ:ここの人たちときたら一滴の水もくれ
ないんだからな、
■2幕_15場:p.15後_3
パパゲーナ:おまちどおさま
パパゲーノ:それはおれのためのものかい?
老婆:そうだよ、私の天使!
パパゲーノ:ああうまい、ただの水だが、こんなにうまいとは、
これがここのもてなしかたかい?ばあさん。
パパゲーノ:お前さんにだけ、特別さ
パパゲーノ:そりゃ、うれしいね
なあ、ばあさん、退屈で仕方がないんだ。
ちょっとおしゃべりにつきあっておくれ。
パパゲーナ:ああ、いいともさ
パパゲーノ:ずいぶん腰が曲がっているが、一体何歳なのかね
老婆:幾つかって?
パパゲーノ:そうさ!
老婆:十八歳と二分だよ。
パパゲーノ:十八歳と二分だって?
パパゲーノ:
老婆:そうだよ!
パパゲーノ:ハ、ハ、ハ!180歳の間違いだろ
ばあさんにも彼氏はあるのかい?
老婆:あるともさ!
ルくゲーノ:その彼氏もお前さんとおなじくらい若いのかい?
老婆:とんでもない。彼氏の方が十も歳上なんだよ。
パパゲーノ:お前よりも十も歳上なんだって?
そりゃ素晴らしカップルだ!
いったいお前の彼氏はなんっていう名なんだい?
老婆:パパゲーノだよ。
パパゲーノ:ははは!
いったいどこにいるんだ、そのパパゲーノってのは?
老婆:私の目の前に、、
パパゲーノ:おいらが?!?!
老婆:そうともさ
パパゲーノ:いったい、お前は誰なんだ!!
老婆:私の名は一
パパゲーノ:ああ!もうおれは一言も喋らないぞ!
■2幕_16場
┌─────────────────────────────
No.16 三重唱
天使:ここであえて嬉しい、ザラストロの国で
さあ、これを返しましょ、魔法の宝を
おなかが空いたらが、食べてのんで愉快に
次に会えるその時は、お待ちかねのご褒美が
タミーノほら! ゴールは間近
さあ、パパゲーノ! 口を閉じて
そう、そう、しゃべらずに
そう、そう、しゃべらずに
└─────────────────────────────
■2幕_17場
パパゲーノ:タミーノさん、食べようじゃないですか?
どうぞ、笛を吹いてて下さい。
おいらはお先に頂きますよ
ああなんてうまい酒だよ!
■2幕_18場
パミーナ:
タミーノ、ここにいらっしゃったの?
あなたの笛を頼りにやって来たの。
どうしたの?なぜ黙っているの?
タミーノ:ああ!
パミーナ:もう愛してはくださらないの?
タミーノ:ああ!
パミーナ:なぜ、何も答えて下さらないの?タミーノ!
私はあなたの気をそこねたのでしょうか?
パパゲーノ、なにがあったのか教えて
パパゲーノ:ウ!ウ!ウ!
パミーナ:あなたまで?
┌─────────────────────────────
No.17アリア
パミーナ:ああ、全ては消えうせた、愛する日の喜びは永遠に返らず
もはや我が胸のあの幸せは、もどらず。
夢の時よ、去りしあの幸せ
ああ、タミーノ
ああ、君を思い頬を伝うこの涙、聞けよ我が胸のあこがれを
命果てる日こそ、安らぎ。
君よ、我が胸の望み聞いてよ、命果てる日こそ安らぎ
来れその日よ、命果てる日よ
└─────────────────────────────
■2幕_19場
パパゲーノ:ねえ、タミーノさん、いざという時にゃおれだって
黙ってられるでしょう?
家臣B:おめでとう、沈黙の試練は成し遂げられた!
最後の試練が待っている
パパゲーノ:そう急がないで下さいよ
やっと食べ物にありつけたんだ。
腹ごしらえをしたらどこへでも行きますよ
■2幕_23場 (20場〜22場はカット)
家臣A:パパゲーノ。
どうやらおまえは、これ以上の試練には耐えられないようだな
パパゲーノ:試練、試練、試練!
もう結構、試練に耐えられなくたって、構いやしません
なんの不満が有りますかね。
一杯のぶどう酒さえありゃ、それだけで幸せになれる
家臣A:そんなもので良いのか?
パパゲーナ:あんたも、物分かりがよくなったね
試練を受けなくても幸せになれる
覚えておきな!
家臣A:ほかにはこの世でなんの望みもないのかね?
パパゲーノ:他の望み?
┌─────────────────────────────
No.20 アリア
パパゲーノ:(1)可愛い恋人か、優しい女房がパパゲーノにあれば
なんて素敵な幸せだろう、幸せだろう
食べてのんで二人仲良く過ごしたら
お城の暮らしもかなわぬ楽しさ
まるで、夢の国よ!
お城の暮らしもかなわぬ楽しさ
その幸せ、その幸せ
(2)可愛い恋人か、優しい女房がパパゲーノにあれば
なんて素敵な幸せだろう、幸せだろう
だけど誰もいない、誰も応えやしない
一人は辛いよ、死ぬほど寂しい
だれも、ほれて、くれぬ
一人は辛いよ、死ぬほど寂しい
子の辛さよ、この辛さよ
(3)可愛い恋人か、やさしい女房がパパゲーノにあれば
なんて素敵な、幸せだろう、幸せだろう
恋にこがれはてて、破れた心も
甘い接吻で立ち直るよ
甘い、甘い、甘い
甘い接吻で、立ち直るよ
この心も、この心も
└─────────────────────────────
■2幕_24場:p.20後_1
老婆:パパゲーノ。私の大切なパパゲーノ
パパゲーノ:うれしいね!ばあさんだけがおいらの見方さ。
老婆:この私をいつまでも愛しておくれ‥‥
パパゲーノ:なにを、いってるんだ、ばあさん
老婆:ああ、私はどんなにあんたかわいがり、
抱きしめたいものか。
パパゲーノ:抱きしめたいんだって?
老婆:さあ!
パパゲーノ:まあ、そう慌てなさんな!
老婆:パパゲーノ、ぐずぐずしちゃ駄目!
さもないと永久に閉じ込められてしまうのよ!
パパゲーノ:閉じ込められてしまうって?
老婆:永久にお別れなのよ。
パパゲーノ:永久にお別れ?
そりゃいやだ
ばあさんとでも、一緒になったほうがましだ。
老婆:私を愛するって誓てください
パパゲーノ:いつまでもお前に忠実だって誓うよ、
(独白)
もっと美しい女に会わないかぎりね。
老婆:ほんとうだね?
パパゲーノ:うん誓うよ!
パパゲーナ:ありがとう!
パパゲーノ:バ、パ、パパゲーナ!
■2幕_25場:p.20後_4
家臣A:失せろ、若い娘よ、
おまえにはまだ恋人など早すぎる!
パパゲーノ:一体どうすりゃいいんだ!ああ、神様、教えてくれ!
■2幕26場
┌─────────────────────────────
フィナーレ
天使:やがて日は輝き、夜明けを告げるでしょう
迷いの時は去り、栄えある勝利の日よ
来れ安らぎよ、ふたたび人の胸に
その時この世界は、神の花園よ
あふれる幸せよ
天使1:ごらん、パミーナが来る
天使2.3:え、どこに?
天使1:危ないぞ
3天使:恋人を探して、あんなにやつれて可愛そうに
ああ、今この場にあの若者がいれば
天使3:来たよ
天使2: 来たわ
天使1: では
3天使:隠れていよう、ここで見守ろう
娘のこと見守ろう
■2幕_27場
パミーナ:愛しいおまえよ、この苦しみを断って
3天使:不吉な言葉だ、頭がおかしい
パミーナ:ああ、愛しい方
もうじき二人は晴れて結ばれるでしょう
3天使: 心が乱れて、ああ、自殺するなんて
かわいい子よ、さあおいで
パミーナ:もう死ぬわ、あの方に見捨てられた
でも忘れられない、母様がこれを‥‥
3天使: 自殺はいけない!
パミーナ:死ぬほうがましよ、恋の苦しみよりも
母様、母様、恐ろしいあなたの呪いは‥‥
3天使: さあ、行きましょう
パミーナ:ああ、もう耐えられないわ、つれないあなた
みて、パミーナは死にます、この剣で死ぬわ
3天使: ああ、駄目だそれは!
彼がこれを見たら、涙を流すでしょう、恋人の涙!
パミーナ:ええ?恋人ですって?だけどあの振るまい
冷たいそぶりは何故なの?
おしえて
3天使:それは秘密だよ。だけど、これは確か
あなた一人を、彼は愛していて心捧げた
すぐに行きましょう
パミーナ:早く会いたいわ
さあ、連れていって。あのかたに会いたいわ、早く
全員:二つの心は、誰にも離せない
敵の悪巧みも二人を離せない
二人は神様に守られて。ああ、神様、ああ、幸せ
守られ、幸せ!
■2幕_28場
家臣AB:この険しき道を辿りて、清めの水と火を受けよ
そして、死の恐怖を乗り越え、見事空へ舞登れ
その時人は神の底知れぬ技を知るべし
恐れずこの道をひたすら、徳を求め
開けよ試練の扉よ、我が前に
パミーナ:ああ、タミーノ、どこなの?
タミーノ:あれは、パミーナか
家臣AB:そう、あれは確かに
3人:共に行くことが許されたのか
なんて幸せだろう、共に行けるとは
気高い乙女よ、行けよひたすらに闇を恐れずに
パミーナ:タミーノよ、ああ嬉しい
タミーノ:パミーナよ、ああ嬉しい
行く手に拡がる険しい道
パミーナ:どんな所でもあなたのおそばに
共に行きましょう
愛の光は、バラの花もて、私を導く
あなたの笛の音が、二人を守るでしょう
これはお父様が、魔法でこしらえたものよ
古い樫の木で、恐ろしい嵐の夜に
さあ、吹いて下さい
われらの行く手を、
全員:調の力よ、守れよやみ路を
調の力よ、守れよやみ路を
調べよ、守れ
<行進曲>
パミ、タミ:燃え盛る炎も見事に乗り越えた
魔法の笛の音よさらなる力で我らを守れ
つぎなる試練でも!
<行進曲>
パミ、タミ:喜びあふれる、ああ、恵の時
全員:ばんざいばんざい、気高きもの
恐れを乗り越え、恵はそなたの手に
さあ、それでは行こう、城へと
さあ、さあ、共に行こう、さあ、さあ、共に行こう
■2幕_29場
パパゲーノ:パパゲナ、パパゲナ、パパゲーナ
どこだ、おれの可愛い子
ああ、もう消えたよ、なんてあわれなおれだ
これがおしゃべりの報いか
おしゃべりしすぎた自分が悪いのか
ワインの香りと、可愛いあの娘のおかげで
心は燃えるよ、いたいよ
かわいいおれの花嫁よ
二度とあえないのならば、死にたいよ
こんなに苦しい気持ちは御免だよ
この木の枝で、クビを吊るのだ
これが見納めか、さらばさらば人生
おまえはオレに意地悪ばかり
だけど、終りさ。かわいい娘よ、哀れんでおくれよ
でも誰かが今、呼び止めてくれたら、止めてもいいかな
声を掛けてよ、何か一言
だめだよ、何にも聞こえやしない
もういい、もうたくさんだ
パパゲーノ、それじゃあ、うまく死んで見せろ
そうさ、こうなりゃ散り際が肝心
でも、もうちょっと様子を見ようかな。
そう、今から数えよう、1,2,3
一
ニ
三!
そうか、解った、誰も止めない
こんな世の中、もう、こっちから願い下げだ!
▼2幕_29場_2
天使:まて、まて、おまちよパパゲーノ!
人生は一度だけ、死んだら終りだよ!
パパゲーノ:やかましいぞ、ガキどもめが。
おまえ達も誰かを好きになれば解るだろう
おれの今の心境
天使:鈴を鳴らせばいいよ、すぐに望みがかなう
パパゲーノ:ああ、おれはバカだった、これを忘れるなんて
たんのだぞ、魔法の鈴よ連れてこい
あの娘、早くここへ
パパゲーナ:なれよ響け、連れてこい!
かわいいおれの、花嫁さん
魔法の鈴よ
高らかに鳴れよ響け連れてこい
かわいいおれの花嫁さん、おれの可愛い花嫁
天使:パパゲーノ!ほらみて!
▼2幕_29場_3
Pgno.Pgna.:ぱ、ぱ、ぱ、‥‥
パパゲーノ:さあ、おれのものだ
Pgna.:ええ、あなたのものよ
パパゲーノ:可愛いおれの花嫁、そう、可愛い女房
Pgna.:あなたは愛しいだんな様、そう愛しい方
パパゲーノ:これは嬉しい
Pgna.:ええ、とてもとても
パパゲーノ:幸せになった
Pgna.:二人のために
2人:神様我らに、神様我らに
お恵み下さい、子供、子供
小さな可愛らしい子供、可愛らしい子供
パパゲーノ:まず、小さなパパゲーノ
Pgna.:つぎは、かわいいパパゲーナ
パパゲーノ:もうひとりパパゲーノ
Pgna.:まだまだ、お次はパパゲーナ
パパゲーノ:パパゲーノ
Pgna.:パパゲーナ
Pgna.:それが本当の幸せ
パパゲーノ:それが本当の幸せ
Pgna.:沢山、沢山
2人:人の喜びよ
パパゲーノ:それが本当の幸せ
Pgna.:それが本当の幸せ
2人:沢山、沢山
人の喜びよ
人の喜びよ、かわいい子供に囲まれ幸せ
パパゲノ、パパゲナ、パパゲノ、パパゲナ‥‥
■2幕_30場_1
Mons.:忍び込め、そっとそっと、あだ討ちの時だ!
全員:忍び込め、そっとそっと、あだ討ちの時だ!
Mons.:ああ、女王様、お忘れなく
お嬢さんは私のものですね
夜の女王:その通り。娘はやがておまえの花嫁
全員:娘は、間違いなく、おまえのもの
Mons.:あれは、なんの音だ。ざわざわ水が流れて
女王達:ええ、雷みたいな不気味な轟も
Mons.:ここが広間の中、
全員:では、気づかれぬように、乗り込むのです
一気にあの偽善者どもを残らず焼き殺すのだ
ああ、我らが敵!
ああ、夜の女王様、あだ討ちに勝利を!
全員:これは!体が動かぬ!くらい闇に飲まれてゆく!
■2幕_30場_2
ザラストロ:陽の光は闇を払い、悪者は滅び、迷いは消えた
全員:輝く勝利。気高きものよ、闇は去り
光あふれ、ああ、今、神の恵みは
ああ、この世に満ちて
心強き人の手に、与えよ勝利の冠を
嬉や永遠の知恵の恵、
麗しい花も飾ろう、永遠に続けその花よ
永遠に香れ、その花よ
永遠に、永遠に咲き誇れ
高き人たたえ、永遠に!