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【エッセイ】#03 受動的学習に慣れることの恐怖

 あなたは、教わったことをそのまま鵜呑みにしていないだろうか?

 受動的学習とは、生徒や受講生が自ら考えずに情報を受け入れる学習スタイル。対照的に、アクティブ・ラーニングは能動的な学習であり、自らが考えて行動する学習方法。
 文部科学省でもアクティブ・ラーニングを進める取組みがなされるなど、その効果も数々の論文等で報告されている。
 
 私は今40代だが当時の初等教育では、受動的学習が中心だった。教壇に立ち、教科書を手にした教師のコトバや情報を受入れ、自らの知識としていくことが中心の教育で育ってきた。このスタイルは高等教育でもほぼ変わらず、社会人となる人がほとんどだ。

 日本では、受動的学習を受けた上での行動がこれまで是とされてきた。そのため、「情報」や「教育」は与えられるものであり、教えられた範疇のみで行動することがまた、是とされてきた。これにより作成された日本人というものは、権威性のある人間やメディアからの情報に従い、その範疇で行動してきた。
 
 こういった行動・思考様式に慣れてしまっている今の30代~40代の一部では、自ら学び行動することが苦手な人たちがいる。誰かに指示、指導、教育を受けてからでなければ、行動ができないのだ。

 まさにこういった人たちがある程度立場になると悲劇である。上からの指示を自ら考えず、自分のものとして置き換え、部下にそのままの指示を渡していく。自ら思考し、試行することがないため、波風も立たないが、その分存在自体も希薄だ。こういった人に限って自己顕示欲が強いため、必要のないアピールをして部下を困らせる。

いわゆる痛いおっさんである。

  このようないかにも昭和のビジネスシーンという人がすでに消えたかというと、そんなこともない。痛いおっさんが、同じような思考・行動をするものを新人教育と称して再生産していくのだ。それなりの立場であり、自己顕示欲が強いため、新人はあらがうことができない。そうなると痛いおっさんは、最大限の接触効果を新人に行うことで洗脳を進めていく。1年経過する頃には、痛いおっさん2号の完成である。この再生産は、今後もある一定の確率で行われていく。閉鎖された環境であればなおさらだ。
 
 会社で例えたが、この状態はどこの世界でも起こりえる。アクティブ・ラーニングを行わないことに慣れた人間が自らの地位を振り回し、新規参入者を食いものにしていく。食いものにされた新規参入者は、さらなる新規参入者を食いものにし、この地獄のような無限連鎖は続いていく。
 
ああ、自分から積極的に学ばないことによってこういった世界に入って行く世界線は、できれば防ぎたいモノだ。
 
アナタはどう思う?

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