【エッセイ】#38 ただの高所恐怖症なのか、本心なのか
あなたは、高いところに登るとどのような感覚を得るだろうか?
怖い? なんとも思わない? ワクワクする? など、いろいろな感情を持つと思う。
東京タワーやスカイツリー、通天閣や清水の舞台などなど、観光地のいくつかは高所であるものが少なくない。
多くの人がこれに集まり、高いところを目指す。
雲となんとかは、高いところがスキということだろうか。
閑話休題。
私は、仕事柄、高いところに登ることが多い。
そうすると、どうしても飛び降りたくなるのだ。それもかなりの強い感情で。
この感情に気づいたのはいつの頃からだろうか? 高いところに登ると、胸が高鳴り、体温が上がっているような気がする。
最初は、高いところに登ることで興奮し、ワクワクしているのだと思っていた。だが、この感情は一日のうちに何度も高いところに登る場合にも、その度に発生した。この感情を深く考察すると、恐怖から発生しているのではないかと思うようになった。
つまり、高所恐怖症。自分が高所だと思うところに身を置くことで、命の危険を感じ、体温の上昇、発汗、焦り、不安などの恐怖の感情が増大するものだ。人によって「高所だと感じる」ことが違うため、他人から見れば低いと思っていても本人はこの恐怖を覚えてしまう厄介なものだ。
私もこの状況なのではないかと疑っていた。だが、仕事柄高所での作業が多くなるので、この症状は致命的。これを解決するために様々な心の治療に関する本を読みこんだことを覚えている。
読み進めていくと大きな違いがある。この症状は「命の危険を感じ、そこから逃げたいと思う感情」がトリガーとなるのだが、私の場合、興奮するのだ。
ドキドキし、「ここから飛び降りたらどんなに気持ちよいだろうか?」とその感情に思いを馳せる。体中の血が逆流し、アタマでぐつぐつと煮えたぎり、重量から解放され、飛び降りた快感が脳内を駆け巡るのだ。
はっきりいってド変態。
この話を同僚に話すと、そんな危ない奴を高所には決して連れていけないという。そりゃあそうだ。こんな危ない奴、私でも一緒に高所で作業をしたくない。
これまで読んできた本の中に「人は生きたいと思う欲求と同時に、死にたいと思う欲求を持つ」と書かれていたことを思い出す。
私がいま、抱いているのはタダの高所恐怖症なのか?
それとも本当の欲求なのだろうか?
でも、仕事を外されないようにするためにも、この症状、又は欲求を抑えてイカナイとな~・・・。
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