見出し画像

【エッセイ】#04 生物学的欲求と読書について考えてみる

 作家として活動をしているけど、実は、私の大学での専攻は生物学。仕事も生化学、工学、工業化学などなど結構散らかっている。そんなわけで専門書を読むこともときどきある。そこで出てきた内容がオモシロく、広く考察ができそうなので書いてみた。

 その本は生物学的に配偶者を求める際の視点、感覚などについてまとめられているモノだった。
 生物学的に配偶者選びは、自らの遺伝子を補完し、継続させていくための最も重要なものである。だからこそ、まさに「命がけ」で配偶者を選定する。過酷な環境で生存できる固体であるか、変化に対応できる固体であるか、豊富な栄養を蓄積できる固体であるか、などなど、生物種によってもかなり重点を置くところも異なっている。
 
 例えば、クジャンクはオスを選定する場合、その羽の美しさに重きをおく。この美しさは、オスが、急激なエサ不足にも耐えられる固体として大きな体、羽まで栄誉がいきわたるほど十分な栄養状態であることを指し示す。 
 クジャク自体はそこまでを考えていないのであろうがこの判定方法が遺伝子下にまでしみついていて、ジャッジしているということなのだ。

 こういった配偶者を選定する方法は、人間のような社会的生物の場合、非常に多くの要素が絡み合う。原始時代であれば、身体の大きさ、生存・生殖能力、俊敏性などが求められたであろう。しかし、現代においては、整った身体、着ている服などの清潔感、話し方、年収など当時に比べるとかなり変化しているように見える。だがこれらの要素を分析して書き出してみると、

整った身体:過剰摂取などがないバランスのよい栄養状態、自己を律する精神力
着ている服などの清潔感:衛生観念の高さ、病気・ウイルスなどに対しての抵抗意識
話し方:社会性の高さ
年収:社会性の高さ、生活基盤の安全性、将来性

以上のように表面というより、裏にある判断基準を投影したものになっている。この部分においては、クジャクと同じように私たちも現代風に遺伝子下に刷り込まれているとも思われる。
 
ここまで配偶者の選定の際に判定基準や方法について話をしてきたが、正直、こんな面倒なプロセスではなく、より直感的かつ、動物的な配偶者選定を提案している本だったので紹介する。あ、本の詳細はここでは紹介しませんのであしからず。


 
結論:キスをしたいかどうかで判断しろ


 
 これを見た瞬間、私は大爆笑をした。あまりにも極論すぎで、お話にならないと。でも、このコトバの後に続く文章をよみ、深く考えることで腹落ちまではいかないが大概の納得をすることができた。

 後に続く文章をまとめると、以下の通りとなる。

 ・人間は五感を使って、相手の印象などを知らずのうちに察している
 ・この能力は、「フェロモン」や「一目惚れ」、「ビビッときた」、「運命を感じた」など
 ・キスは唾液の交換という、リスクを取れるかという問い
 ・キスができるということは遺伝子を交換するに値するものであるかという問い

 若干、論理の飛躍を感じないでもないが、理解できないではない。
「キスができる=五感的での判断=リスクの許容=遺伝的許容=配偶者として選択」
 という、論法らしい。
 
 ここで天邪鬼な性格の私は、疑問を持つ。
同性でもキスができると判断した場合はどうなのであろうか? 
かなりの年齢差があった場合は? 
それが生物種を越えていた場合は? 

 という、不毛な議論を続けてしそうなので、一度、疑問を取りやめ、本題に続く。
 
 この結論が配偶者を得るための最適な直感的、且つ動物的な手法であるとすれば、読書をする本を選ぶときにも使えるのではないだろうかと私は考える。

 本との出会いは恋愛や結婚に例えられることがしばしある。読書によって得られる知識や経験はまさに自らの体に溶け込み、一体化する。
 
 本の内容に感動すれば、ココロの同化や共感、さらには浄化にもつながることから、生涯のパートナーにでもなりえる。
 
 素敵な本に出会い、読書をし、ココロを通わせるということは、ある意味では、本と自らの遺伝子を交雑させる行為に等しいのではないかと私は思う。
 
 では、そんな本をどのように選定するのがいいのか?
 
結論:キスをしたい本を読んでみるべき
 
 よかったら、試してみて。
 
 ここまで阿呆みたいな文章にお付き合いいただき、ありがとうございます。

いいなと思ったら応援しよう!