おさんぽ俳句「夏は水辺を」
前回の「たんぼLOVE 6月」では、ずいぶん多くの生きものが
田んぼに集って来ると書きました。
今回は「たんぼLOVE」の番外編という気分で
生きものたちをゆっくり観察してみましょう。
俳句では蝶は春の季語ですが、夏も立派に存在しています。
数メートル先の紋白蝶に気を取られていると、
揚羽蝶の登場です。ちなみに揚羽蝶だと夏の季語。
足元へと目を向けると、おたまじゃくしが泳いでいます。
その中でもちょっと大きいのは、先に孵化した子。
目高も孵化したてなのか、極めて小さな子の群れが。
ゼリー状の紐のようなものが田水に漂っていますが
おたまじゃくしの卵だったものでしょう。
畔にはいろいろな植物が。
おっと。すでに萱草のつぼみが。
草とおなじ色なので見過ごすところでした。
そして夏の水辺と言えば、水馬です。
田んぼ脇の疎水が瞬いているように見えるのは、
たくさんの水馬が、ひっきりなしに跳んでいるからです。
一本の草が畔から倒れて水面に浮かんでいます。
それに水馬が、何匹も留まっています。
その水馬たちは、跳ぶのをやめているではないですか。
ひょっとしたら水馬は、水を跳ねたくて跳ねているのでは
ないのかもしれません。
大昔、水馬の祖先がたまたま水の上に逃れてみたら
生き残った為に、今でも水の上を跳んでいないと
いけなくなったのでしょう。
でも楽ができたら、それに越したことはありません。
水を跳ばなくなった水馬はどうなるのか。
彼らの小さな身体は、水に流されてしまいます。
人も水馬とあまり変わりないかもしれませんね。
人だったら、そこから降りようと思ったら
降りられますけれど。
この日は、跳ぶのが下手な子もいました。