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はじめましてをこの夏も。

去年いちねん間、「たんぼLOVE」という題で
書いていた田んぼの記録。
今日は、そのつづきのお話です。

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たいてい4月も半ばになれば、田起しをしている田んぼですが
今年はどういう訳か、ほったらかしです。

草の中には、春先に芽吹いて夏までに枯れる種類もあります。
いつもの年なら、枯れるより先に人の手で掘り返されるのですが
今年は種を結んで、すっかり枯れて、草の一生をまっとうです。
疎水をおよぐ真鴨が、人気のない田んぼへと上がります。
くちばしで盛んに啄んでいるのは、草の種。
鴨のごはんは水ごけばかりじゃないんだ、とちょっと吃驚。

田植が始まっているはずのゴールデンウィークになっても
荒れたままの田んぼ。
今年は稲作をしないのかな?
宅地用に売られてしまったとか?
そんな不安を感じ始めて数日後、
真昼の畦から、佳い匂い。
刈られた草の青っぽい匂い。
畦の手入れ、ということは稲作の始動です。

ある日。
夜道を歩いていると、田んぼには満面の水。
昼間は土だけの何ともなかった田んぼが
いきなり変身していました。
田水を張ったその晩は、さっそく蛙たちの大合唱。
鴨も鳴いています。羽搏く音も、またにぎやか。

今年の田んぼ。それが始まっただけで
いのちの溢れる光景になっていたのです。
こんな夜は、にんげんまで散歩をしたくなるのです。



      代田の夜だれかハミングしてさうな   梨鱗

      さざなみは雲の白さの代田かな

初夏の田んぼの夜と昼。



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