スーツと十五歳 俳句4句
ちょっと動くと汗ばむ季節になりました。
暑いような、でも爽やかなような、どっちなんでしょう。
二十四節気では小満の頃です。
初夏のスーツの紺を崩さざる 梨鱗
この句には本歌があります。
松本たかし氏の句です。
羅をゆるやかに著て崩れざる 松本たかし
絽や紗といった夏向けの織物、羅(うすもの)は
見ているだけで涼しくなります。
(着ている当人はけっこう暑いようですが。なんせ和服ですし)
初めてこの句を読んだ時は驚きました。
この一句に、羅の持つ美しさの総てが表現されていました。
俳句って素晴らしいですね。
小満や甲冑ほどのパンの艶
草野球ふたりがぬけて買ふラムネ
卯の花や肘すれあひて十五歳
この年頃の子達は、互いの肘をくっつけるようにして歩きます。
電車の中でも、肘をつけ合って座ります。
自分がその年の頃は「カッコ悪い」と思っていました。
でも、もう対岸から見るしかない大人になると
そういう子達にほのぼのします。
年って取ってみるものですね。
※6/3、俳句を一部あらためました。