事業の成長の停滞要因考察:ビジョンや戦略が不明確
事業の成長の停滞要因考察:ビジョンや戦略が不明確な場合
企業やサービスに対する「ビジョン」や「戦略」は、経営における基本の一つに思える人も多いのではないでしょうか?「ビジョン」と「戦略」は互いに結びつくものです。
既存の「ビジョン」や「戦略」は存在しても、意外と事業や組織の成長を阻む要因になっていたりすることがあります。何故でしょうか?
こうしたケースで、二つのパターンがあります。
A. ビジョンや戦略がない
「ビジョン」や「戦略」は、経営者や役員、大企業ですと経営企画の業務です。しかしながら、そもそもそのようなものを作成していない、もしくは、あるけれども表層的であるため、機能していない企業も多いです。
実際初期フェーズだと、計画ばかり練るよりも、行動を先に起こすことが重要である状況も存在するでしょう。
こうしたケースでは、「ビジョン」や「戦略」を1から策定していくこと、もしくは未完成の草稿をブラッシュアップする作業になります。
B. ビジョンや戦略がある
経営戦略やビジョンの基盤は完成しており、計画としても問題はない。その一方で、実は社内、並びに社外への理解、もしくは共有が進んでいない事例もあります。単なる情報不足なのか?もしくは社内と社外で納得がいかず、あやふやなまま推し進めているのか?どちらの可能性も検討できます。
ビジョンと戦略構築のメリット
期待できるメリットは主に大きく二つに分類できます。
社外
社外(新規顧客、既存顧客、ステークホルダー、株主関係者など)からの評価向上、サービスの品質のプロモーション、ブランディング、信用関係構築などに役立ちます。
社内
生産性向上、優れた提案輩出、チームマネジメント、モチベーション向上、優秀な人材登用といった成果にもつながります。
ビジョンや戦略構築のポイント
具体や抽象を行き来すること
こうした内容を決定する上で、思考、調査、ブレストは必然となります。一方で、机上の空論や目の前の利益だけを追求した、短期アクションだけに陥らないためには、具体と抽象をスムーズに行き来する発想が重要です。
こうした過程で、ビジョンと戦略の定義を、再度改めて考える必要性が生じます。
ビジョンは、会社の方向性です。ミッションに基づいて設定します。定量もしくは定性目標を定めます。ビジョンはある程度わかりやすい言葉でありながらも、背景に会社のミッションやバリューを感じさせる必要があります。
経営戦略は、より具体性ある施策を指し示します。戦略については、調査を設けた上で、会社の経営状況、財務や市場など、事業の他要素も兼ねて検討する重要性はあります。
ユニクロを運営するファーストリテイリング社の例
日本を代表する機能性ブランドユニクロを運営するファーストリテイリング(以下FR社)の具体例を見てみましょう。FR社は2022年より、新しいビジョンを掲げています。
ビジョン:LifeWear 「服」の新たな産業を目指して
経営戦略:
①Lifewearを生み出す(商品企画、原材料調達、生産、店舗・オンラインストア、物流)
②Lifewearを活用し続ける(生活、リユース、回収・分類、リサイクル<再び資源になる、再び服になる>)
ビジョンが、抽象性あるのに対して、戦略は具体性を含みます。ビジョンを実現するための、アクションを経営戦略に落とし込んでいるのが特徴です。ユニクロは、近年のSDG'sの重要性や、大企業の責任を考慮して、新しい服の産業を目指すと宣言しています。こうしたユニクロのコミットメントは、時代の変化に適応しており、更なる成長を遂げるためのチャレンジでもあります。
こうしたビジョンと経営戦略を透明化することにより、誰でもFR社が目指すビジネスの形態を理解できるようになります。FR社が、どういった事業展開、企業、社会へのインパクトを目指しているのか、明瞭になることにより、新規の顧客創出、もしくは既存顧客のロイヤリティ向上、アップセルやクロスセルにも繋がります。
私たちは、FR社が「持続可能なサプライチェーン」を構築し、「地球規模で価値を循環させる」ことをゴールとしており、そのために何を実践していくのか、よく理解できます。
「ビジョン」や「戦略」があることを、正確に構築することはそこまで重要なのか?
私は、「ビジョン」や「戦略」は、会社の思想を反映するものだと考えます。組織の形を作るだけでなく、サービス販売、パートナーシップ探し、マーケティング戦略、企業の認知度向上、メンバー集めなど、様々な領域で基本となる要素です。「ビジョン」や「戦略」のないビジネスは、結局「何をしたいのか良くわからない」、「ふわふわなまま」で終わってしまうため、潜在顧客の「購買意欲」も下がってしまいます。ビジネスにおいて、顧客との信頼関係構築は重要です。
そして、こうしたアイデアは、売上創出だけでなく、社内の組織マネジメントにおいても大変重要です。
自社がなぜこのサービスを売るのか?
どのような手法で、どのようなゴールに向かっているのか?
明確な目印もないままでは、所属メンバーが各々の力を最大化することは困難ですし、仕事に意味を見出せず、離職率も上がってしまいます。
理想は「ビジョン」と「戦略」が存在し、それがきちんと伝わっている状態です。優れた「ビジョン」と「戦略」を作成するには、「市場環境や顧客ニーズの調査」「自社の強み・弱み分析」「競合他社の調査」などを経て、先ずは自社の市場におけるポジションを理解することです。
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