色のない世界|呟き

 たまに、清浄な世界に行きたくなる。


 たとえば。
 ステンドグラスのある、無人の教会。

 たとえば。
 静寂の中読経だけが響く寺院。

 たとえば。
 深い緑の中に佇む神社。

 たとえば。
 紙の匂いに満ちた、図書館。

 たとえば。
 水鳥が遊ぶ、せせらぎに満ちた川辺。


 それらは限りなく色彩豊かで、限りなく無色透明だ。
 私はその、無色の世界に入り込みたくなる。
 けれどその中にも、赤だけは欲しい。赤の存在だけは、どこでも私の傍にあってほしい。

 そんな、アイデンティティの呟き。


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