クリエイター経験がなくてもクリエイターをマネジメントできるの?内製イラストチームのやりかた
LINE Fukuokaクリエイティブ室でイラストチームのマネージャーを担当している山之内です。
いきなりですが、「イラストチームのマネージャー」と言われてもパッと何をしているのかわかりづらいですよね? 今回は内製イラストチームのマネージャーがどんなことをやっているのかについて書きたいと思います。
先に結論を書いておくと、一般的な組織のマネージャーとあまり変わらないのですが、自分の仕事の棚卸しもかねてツラツラと書いていきます。
20名規模のクリエイティブチーム
イラストチームでは、LINE公式スタンプのディレクションから制作、LINE公式着せかえやLINE Cameraのスタンプ/フレーム、LINE関連サービスのイラストレーションなど、幅広くイラストを制作しています。
メンバーは私を含む22名で、そのうちイラストレーターが15名、企画・進行担当のディレクターが6名です。
マネージャーの役割は「チームのパフォーマンスを高めて成果を出すこと」そのために「物事を進捗させること」
そもそも、クリエイティブ組織のマネージャーの役割ってなんでしょう? 会社によっても求められるものは違うと思いますが、私は「チームのパフォーマンスを高めて成果を出すこと」と、そのためにチームや案件を「進捗させること」だと思っています。
手を替え品を替え、メンバーに働きかけながら、成果に結びつけていくわけです。
現状把握→目標設定→戦略を練る
メンバーの成果を高めるためには、まずもってチームがいまどの位置にいるのかを知らなければなりません。そうしないと、進むべき方向がわからないからです。
我々はLINEの福岡拠点に属していますが、LINE社の事業全体として達成すべきゴールは共通したものです。まずは、事業としての目標が何なのか本社メンバーに確認し、疑問をぶつけて協議します。
事業全体のゴールが分かったら、その目標に対してチームがどのあたりにいるのか、おぼろげにわかってきます。さらに、担当する案件の状態やマーケット全体の数値を分析するなどして、目指すべきポイントを洗い出していきます。
このような感じで、マッピングして情報を整理したり、フレームワークに落とし込んで、やるべきことを決めていきます。
「イラスト」チームと聞くと、センスや感性みたいなものが強いと思われるかもしれませんが、上記の段階などは意外とロジックで固めていきます。
「あるべき姿」を示す
目標や方針が決まったら、次はそれをメンバーに伝えていきます。その際、いきなり数値目標や細かい施策を伝えたとしても、なかなか実務を担うメンバーには腹落ちするのが難しいです。
特に、我々はイラストレーションやLINEスタンプ制作といった数値として定量化しづらい業務を担っています。普段、制作しているイラストがどれだけ売上につながるのか、想像するのは簡単ではありません。ですので、いったん抽象化して「あるべき姿」を伝えます。
例えば、↑このようなミッション・ビジョン・バリューなどに落としこんでみます。
本来は、もっと数字的な目標も盛り込むべきですが、メンバー理解を優先して、この段階では触れていません。「なぜこれをやる必要があるのか?」とメンバーが迷ってしまわないように答えを明示しておくイメージです。
答え(あるべき姿)が定まったら、それに向けていま何が足りないのか、これから何をやっていけばいいのかを伝えていきます。その際のポイントは、あるべき姿という「ゴール地点からの逆引き」で伝えていくことです。
メンバー目線で見ると、日々の業務を積み上げた先にゴールにたどり着く、というイメージになりますが、その場合、目先の改善や効率化といった動きが中心になりがちです。物事が順調に伸びている場合は問題ないですが、これまでにない領域で新しい成果が求められる場合は、ちょっとストレッチ(背伸び)した目標が欲しいところです。
少し高めのゴールを設定して、そこから逆引きで取り組んでもらうことで、自然とストレッチした成果になるというわけです。
あの手この手でチームを動かす(動いてもらう)
やるべきことが決まったら、メンバーに働きかけていきます。イラストチームは、ベテランも多いため、主な業務においては私が見るまでもなく安定して進めることができています(頼もしいメンバー)。
とはいえ、メンバーそれぞれの特性や働き方も違っているので、方針を示してから時間がたつほど、動きもバラバラになりがちです。それを整えていくために、あの手この手で伝えていきます。
例えば、イラストチームでは、昼会、雑談会、1on1、ブレスト会、ワークショップ、分報、目標管理(MBO-S)・・・などで、日々メンバーの動きを微調整しています。
入社当初は空回り…
そんなこんなで、エラそうに書いてきましたが、私はイラストのプロでもなければ、ディレクターだった経験もありません。まったくの未経験者です。
LINE Fukuokaに入社する前は、ずっとゲーム制作会社の宣伝広報や海外子会社の運営をしていました。そこから転職して、いきなりイラストチームに飛び込んだので失敗も多くありました。
入社当初は、「よーし! いっちょマネジメントしてみっか!」と変な自信だけはありましたが、メンバーが何をやっていて、どう感じているのか全く理解できていませんでした。そんな状態で、前職でのマネジメント手法や施策をそのまま持ち込んでいたので、かなり空回りしていました(振り返ってわかる)。
コミュニケーション&リスペクト
それじゃあいかん、というわけで、毎日メンバーとランチを食べたり、全員と面談を繰り返したり、業務のヘルプに入ったり、個人的にLINEスタンプや着せかえを作ってみたりして、理解を深めました。上司や同僚マネージャーにも助けられました。
そうしているうちに「ゼロから何かを生み出すって、やっぱりすごいな」という、メンバー自身やそこから生み出されるクリエイティブへのリスペクトも強くなり、前述のような伝え方や戦略の立て方にシフトしていきました。
それから、もうすぐ2年。いまだに右往左往していますが、チームで動いて成果を作っていく醍醐味もしっかり味わえていますので、引き続きメンバーと一緒にがんばっていこうと思います!
以上、非クリエイターだった人間が内製イラストチームを何とかマネジメントしているよ、というお話しでした。
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