魔法の時間
8月で64歳になる先輩から「会社辞める」とメールがきた。自分はコロナ失業者になったと。
大勢の仕事関係者宛てに送ったメールの文中にわたしを名指ししてメッセージが添えられていたのでメールを開いてすぐ電話した。
先週金曜日に人事異動の話があり、全く経験のない仕事でモチベーションも上がらず自分の人生を優先したくて自己都合で退職すると。
五年近く仕事でご一緒させていただいた。
たくさんのトラブルがありましたよねとお話ししたら、それ以上にリカバーしましたよねと返された。いいものを作るために何度も試作して、失敗した。その失敗作は実は未だに全部とってあり、わたしにとっては宝物だと話したら笑ってた。
メールに添えられてたのは、「(わたしの苗字)さんと一緒に仕事して常にベストを尽くすことの大切さを教わった。ありがとう」と。
わたしこそ、素人のわたしに真剣に向き合ってくださり感謝しています。辞めることになっても自分の携わった仕事が、どう評価につながったか気にしてくださっていた。この仕事が本当に好きで、誇りを持っていたことを知ってる。だから、久しぶりの長期休暇をとったらまた、ご一緒できることを願っています。
「お世話になりました」は嫌なので、またどこかでお会いできますように。マジックアワーは陽が沈む瞬間と昇る瞬間に訪れる。
陽はまた昇るから。
「ここだけの話、私だって待っているんだ。次のマジックアワーを。この年になっても、いまだにさ」
映画「ザ・マジックアワー」より