【疑問】パーパス批判

気になったこと


最近「パーパス経営」という言葉をよく耳にする。
また、それに伴ってそれに対する批判も目にするようになった。
はたしてパーパス経営を志向することは、おかしいのか?おかしくないのか?

パーパスって何?

purpose(パーパス)とは直訳すると、「目的」「意思」「故意」。
パーパスとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、どちらも企業の存在意義や社会貢献のための目的を示す概念ですが、
パーパスは企業を主体とする"内"発的な考え方や価値観であるのに対し、
MVVは企業を主体とした"外"発的な概念です。
パーパスは企業の存在理由や社会貢献のための目的を示し、企業の社会における存在意義や社会的な役割を表します。(内から外へ)
一方、MVVは企業を持続的に成長させるために必要な、自社の役割や存在意義を策定するための概念・フレームワークで、企業のコアを言語化したものです。(主に内部)
MVVは、企業・組織がどのような事業を行い社会にどのように役立つのかを示す「ミッション」、企業・組織が将来目指すありたい姿を示す「ビジョン」、自社の強みや大切にしたい行動を示す「バリュー」の3つを指します。
出典
https://www.pasonagroup.biz/hint/86#

パーパス批判


実際にどんな批判が多いのかというと下記のとおり。

・パーパスウォッシュ(言行不一致)につながる可能性がある。
・単純に気持ち悪い。
・従業員にパーパスが浸透しない。
・従業員からは「経営者が勝手に盛り上がっているきれいごと」と受け流されている。(浸透不足)
・社会貢献を慈善活動と勘違いする人がいる。
・パーパスを重視して事業活動してたら売上なんてあがらない。(売上あげようとしたらパーパスなんて気にしてられない)
・ステークホルダーへの調査不足が原因で、自社に何が求められているのかを理解しないまま独りよがりで耳障りの良いパーパスを掲げてしまい、社会から共感や理解を得ることはできずに失敗する。

パーパス批判を見て感じた疑問


言行不一致・パーパスウォッシュに関連する批判
Q1: 経営陣がパーパスを掲げても、実際の事業運営でそれを無視している事例が多いのでは?
Q2: パーパスを掲げる企業が、短期的な売上や利益を優先する方針に切り替えた瞬間があるのでは?

気持ち悪さ・共感の欠如に関連する批判
Q3: パーパスが「気持ち悪い」と感じられるのは、企業がパーパスの背景や意図を社員や顧客に適切に説明していないからでは?
Q4: 社員がパーパスに共感できないのは、企業が日々の業務においてパーパスを体現する具体的な行動指針を示していないからでは?
Q5: 社会や社員の声を無視し、企業側の自己満足的なパーパスを掲げるケースが多いのでは?

社員への浸透不足に関連する批判
Q6: パーパスが浸透しないのは、経営陣が社員の声を十分に聞かず、一方的に押し付けているからでは?
Q7: 社員がパーパスを受け流すのは、パーパスを体現するための教育や研修が不十分なためでは?
Q8: パーパスの浸透が進まないのは、経営層自身が模範を示していないためでは?

社会貢献の誤解に関連する批判
Q9: 社会貢献を「慈善活動」と勘違いするのは、企業がパーパスの実現を通じた利益との両立可能性を説明していないからでは?
Q10: 社会貢献を掲げながらも、「なぜその社会貢献なのか?パーパスを使ってその選定に至った理由を説明」具体的なビジネスモデルでそれをどう実現するかを示せていないのでは?

売上との関係に関連する批判
Q11: 「パーパス重視では売上が上がらない」とされるのは、パーパスを事業戦略に統合できていない企業が多いからでは?
Q12: パーパスを掲げつつも、短期的な利益指標に偏った評価制度が残っているため、現場の社員が矛盾を感じているのでは?

ステークホルダーの共感不足に関連する批判
Q13: ステークホルダーからの共感を得られないのは、パーパス策定時に顧客やパートナーとの対話を怠っているからでは?
Q14: パーパスが「独りよがり」とされるのは、企業が社会のニーズや課題を深掘りせず、自己満足的な目標を掲げているからでは?
Q15: パーパスが失敗するのは、定期的なフィードバックを得ず、一方的な発信に終始しているからでは?

短期的な合理性 vs. 長期的な戦略としてのパーパス
ここで一つ考えたいのは、パーパスの有効性だ。
確かに、短期的な経済合理性だけを考えれば、パーパスは不要に思える。むしろ、コストやリソースの浪費とさえ感じるかもしれない。
だが、視点を変えて長期的なブランド構築の観点から考えるとどうだろうか。

パーパスの長期的メリット

1.ブランドの差別化要素
同質化しがちな市場の中で、企業のパーパスが一貫して体現されていることは、顧客との信頼関係の構築や、競合との差別化に繋がる。

2.社員のエンゲージメント向上
パーパスが単なるスローガンではなく、経営陣が率先して体現する姿勢を見せることで、社員はお賃金以外のモチベーションやエンゲージメントを獲得することができ、定着率やコミット力が高まる。

3.意思決定のスピードと精度の向上
パーパスが明確であれば、現場レベルでの意思決定がスムーズになる。判断基準が統一されるため、各部門や社員が迷うことなく迅速に対応でき、ブレのない行動が取れる。特に予測不能な状況下でも、パーパスが羅針盤となり、戦略的な一貫性を保てる。

4.ステークホルダーとの信頼構築
長期的な視点で社会貢献を重視する企業は、投資家やパートナーからの信頼を得やすい。特にESG投資の潮流が強まる中、パーパスを軸にした経営が持続可能な成長を後押しする。

5.市場の変化への適応力強化
パーパスがあることで、企業の軸がブレず、柔軟かつ迅速に市場の変化に対応できる。新たな課題や機会にも、一貫性を持った対応が可能になるため、環境変化に強い組織となる。

結論:パーパスは戦略である
パーパスを単なる「お題目」として捉えるのではなく、長期的なブランド構築と独自の強みの源泉として活用しようとすることが重要だ。
短期的にはコストがかかるかもしれない。
しかし、パーパスを一貫して体現し続けることで、社会的信頼を獲得し、持続的な成長を実現することができる。

結局のところ、パーパス自体は不要でもなければ気持ち悪いものでもなく、経営陣の在り方がパーパスを気持ち悪いものにしている。
それは、企業の長期的な競争戦略としての選択であり、覚悟を持って取り組むべき経営課題なのだ。

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