ソムリエ野尻南米ワイナリーツアー④
みなさんこんにちは。ソムリエ野尻です。南米ワイナリーツアーも4回目。今回で最終回となります。
今回はアルゼンチンのワイナリー、トラピチェを訪問した時の事を書いていきます
良いホテルは朝食も充実している
海外は特にホテルによって朝食の充実度が違いますよね。海外のホテルは結構良いところでも、朝食はパンとフルーツとドリンク、ハムなどで温かい料理は無しの所が結構ありますが、今回のホテルはメンドーサでもランク上と見られ、温かい料理も卵やソーセージ、ベーコンなど充実しています。そして結構びっくりしたのが、地元産のロゼスパークリングワインが置いてある事。しかし、栓は抜かれていて、シャンパンストッパーも付いていないので泡はヌケヌケ。シャンパンストッパー持っていれば一個寄付して帰りたかったところです。
その後昨日のトラピチェ女子二人が迎えに来てワゴンタクシーにてトラピチェの畑へ向かいます。
車窓は上記の感じ。テレビなどでよく見る南米の街道沿いの小さな個人商店が軒を連ねます。道路は一応舗装されていますが、日本の快適な高速道路に慣れた身からすると、かなりガタガタするなと。車酔いには強いほうなのですが、少し危ういなと思うところもありました。
途中のガソリンスタンドでようやくアルゼンチン代表に遭遇。誰がいるかはわからず。メンドーサは田舎だからかこれ以降もアルゼンチン代表には遭遇できず。どこかでメッシと記念撮影したかったのですが、残念。
メンドーサからアンデス山脈に向かってひた走ること1時間半。ようやくトラピチェの畑に到着です。
ここでトラピチェの概要を簡単にご説明します。
アルゼンチンの名門ワイナリー、トラピチェとは
トラピチェは1883年、アルゼンチンのメンドーサに設立され、「世界で最も賞賛されるアルゼンチンのブランドになる」ことを目指し、絶え間ない革新への探求により世界中から高い評価を得てきました。現在では80カ国以上への輸出されており、世界中で親しまれています。
トラピチェは、アルゼンチンのトップワイナリーとして世界中で評価され続けています。英国の飲料専門誌「ドリンクス・インターナショナル」誌において、「世界で最も称賛されるワインブランド」の第31位(2014年)と第37位(2015年)にランクイン。TOP50入りしたのは、アルゼンチンではトラピチェのみでした。
また、インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションにおいて、アルゼンチンで最も優れた生産者に授与される、「アルゼンチンワイン・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」を過去4回(2004、2006、2011、2012)にわたり獲得。これは、アルゼンチン史上初の快挙です。 さらに、「ワインエンスージアスト」誌のワイン・スター・アワードで「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」ニューワールド部門2019年を受賞するなど、長年にわたるトラピチェのチームとしての情熱、努力の結果が認められ、世界のトップワイナリーの1つとしての評価を確固たるものとしています。
という感じで世界でも高評価を受けるワイナリーです。私の持っているトラピチェの印象は「アルゼンチンで一番お金持ちの成功しているワイナリー」です。お金持ちならではのしっかりコストをかけた畑やワイナリーに期待です。
まずは畑の説明をしてもらいます
筆者(左側)の奥に見えるのが栽培責任者。
アルゼンチンは国土面積世界第8位と広大な土地があり、南北にとても長い国です。ぶどう畑も温かい北から南は涼しいタスマニアまで多種多様な気候に合わせたぶどう品種が栽培されています。メンドーサの周囲はもちろんワイン産業に従事する方が多いのですが、その他にも石油を産出する場所も近いらしく、化学メーカーやタイヤメーカーの工場なども多いそうです。
実際の畑を見に行きます
こういう設備は初見です
ぶどうの木に畝ごと網をかけており、これで外気温から樹が凍るのを防いだり、雹や霜の害からも守れるとのこと。この網は全ての畑には費用がかかりすぎるので、厳選された良い畑のみに行っているとの事。
前回のウンドラーガと同じく畑に穴が掘られており、土壌が見えるようになっているが、石や石灰などが散見される。やはり良いワインが取れる産地には良く見られる特徴。
アンデス山脈が美しい
そして何といってもアルゼンチンワインの気候にはこのアンデス山脈が欠かせない。ブドウの生育期には標高が高いので強い日光でブドウはよく熟す。しかし、アルプス山脈を吹き降ろすゾンダ風と呼ばれる強風が一日の寒暖の差をもたらしてくれる。また、アンデス山脈の雪解け水による灌漑も行われるなど、アンデスは本当にアルゼンチンのブドウ作りに大きく貢献してくれている事が訪問してみると良くわかります。
お待ちかねのお肉料理だ!
畑の説明も一通り終わった所でランチに行きましょうと移動です。どこに行くのかなと期待はしていたのですが、こんな素敵なホテルのレストランに到着します。
アンデス山脈をのぞむプールつきの富裕層向けホテル。今までいくつもワイナリー視察行きましたが、レストランでは今までで一番テンションが上がりました。
プール越しに雄大なアンデスを眺めながらのお食事です。まず前菜はキノコ好きの筆者は迷わずマッシュルームソテーをチョイス。味付けはシンプルですが、キノコのうまみがしっかりと楽しめて大変美味。
メインディッシュはお待ちかねのこちらです
日本にいるときから楽しみにしていたアルゼンチン産の牛肉。こちらはロースだそうです。脂も程よく、味わいのしっかりとした赤みで300gほどあったかと思いますが、しっかり完食。うまかった。アルゼンチンはまるべっくと言う果実味しっかりの重めの赤ワインが有名なのですが、お肉とのペアリングも最高です。
満足した我々は一旦ホテルへ。少し休憩した後、ワイナリーへと伺います。
想像していた通り最新の醸造設備。昔から使用しているタンクなどもあり、歴史を感じます。個人的に興味を惹かれたのはこちら
かつてはワイナリーの横まで鉄道が引かれており、ワイン樽を直接列車でブエノスアイレスまで運び、そこからアメリカやヨーロッパへ輸出していたそうです。
いまでもワイナリーの横に線路だけ残してあり、当時の趣を感じることができます。
その後ティスティングルームでトラピチェのワインを一通り確認します。
2000円のオークカスクシリーズからトップキュヴェのイスカイまで日本未輸入の物も含めてティスティングしていきます。トラピチェはおそらく3000~5000円の価格帯のものをもっと日本で売って欲しいらしく、盛んにお勧めしてきます。確かに非常に味は良く、コストパフォーマンスも高いなとは思いますが、売れるかどうかはまた別ですよね、と同行のS氏とは同意。
その後、ディナータイムへ。トラピチェは規模が大きいワイナリーなので、かなりレベルの高いレストランを敷地内に構えています。そちらへ移動します。
このような素敵なお料理をいただきながらワインを楽しんでいたわけですが、大体いつもワイナリー訪問の最後の夜になると、帰国時の長時間フライトと帰国後の日常の仕事に戻らなければならないブルーな気持ちでややテンションが下がります。
最後にワイナリーの前で記念撮影。残念ながら暗くてよくわかりませんね。
ホテルまでタクシーで送ってもらいますが、同乗してきたワイナリーのマダム(上の写真の左端)にS氏がロックオンされ、マシンガントークの餌食となる事態が発生。筆者は聞いていただけですが、マダムの家族構成なども無駄に詳しくなる始末。ホテルに戻って深夜12時。南米だけではないですが、海外のディナータイムは深夜遅くまで続くものです。
翌朝は帰国に向けて動くのみ。やけ酒とばかりに朝食会場においてあったスパークリングワインを朝から4杯飲んだのはここだけの秘密です。
まずはメンドーサ空港からチリ サンチアゴ国際空港まで戻ります。今回の便は窓際だったので、アンデスの撮影機会を伺います
なかなか写真では伝わらないですね。実物のアンデスは画像の100倍雄大です。今回の旅で筆者はアンデス大好きになりました。
そしてチリ サンチアゴ国際空港から オーストラリア シドニー国際空港まではなんと14時間のフライト!人生最長フライト、辛すぎる・・・
シドニー国際空港にはコレがとまっていました
空飛ぶ宮殿と呼ばれるエミレーツの2階建てA380(と思われる)。いつかは乗ってみたいものですね。
その後、10時間フライトで羽田に早朝5時到着。新幹線で福井に戻りました。
今回のチリ・アルゼンチンツアーにいって南米の実態を知り、改めてチリワインとアルゼンチンワインの良さを知りました。特にアルゼンチンワインはもっと世の中に知られるべき存在だと思いますので、トラピチェ親善大使としてお知らせしていこうと思います。