BOOK, TRAIL Vol.1の、本人と本
順序が逆になったが、昨年(2022)7月の「BOOK, TRAIL vol.1」に、ゲストの石村由起子さんとホストの三人(友廣裕一・乾聰一郎・西村佳哲)が携えてきた本のメモも忘れないうちに残しておく。
vol.1 のお題は「子どもの頃を始め、さまざまな年齢や機会の只中で出会って、わけもなく惹かれた3冊の本」。
石村由起子さん(くるみの木)の3冊
『ずがこうさく 1』『図画工作 6』(教科書)
『御飯の手習』辻留 辻嘉一(婦人画報社、1960)
『図画工作』は石村さんの昔の教科書で、自分の手を動かしてものをつくること。そして、お婆ちゃんと過ごした時間とお料理のこと。丁寧におこなう良さ。ソフトボールのピッチャーとして活躍した一時期の話。最後に『センス・オブ・ワンダー』に至り〝さびないひと〟という気持ちで聞いた。それを言うと「今日子ちゃんじゃない。奈良の樋口可南子です(笑)」と返ってくる気がする。
友廣裕一さん(シーベジタブル)の3冊
『現代農業増刊号(もしくは季刊地域)』
https://www.ruralnet.or.jp/zoukan/200105chiiki_m.htm
行ったことのない土地の地名を眺めるのが好きだった、という話から始まったと思う。『現代農業』やその増刊号、さらに『季刊地域』(知る人ぞ知る)に手がのびる学生だったんだな。
乾聰一郎さん(奈良県立図書情報館)の3冊
どの話も面白く、このイベントは乾さんのために開催されているんじゃないか?と思った。(実際そんなところがある)
『や・ちまた』はその後近所の図書館で読み、撮影によく使われたという浅草公園にも寄ってみた。人の生き様は多様で、「多様性多様性」と連呼されるけど同じ日本人だって十分に多様じゃないかと思う。この社会は「同一・単様」という幻想に浸っているよね。
西村佳哲の3冊
力づくで押し切ってくる社会的勢力が、年々勢いを増している感があり、グウィンの『パワー』をたびたび読み返したくなる。この本にはいろいろな「力」を持つ男や女たちがあらわれる。
暴力的に迫ってくる力からは逃げるしかないし、逃げ切ることが大事で、川を何本も越えて振り切ってゆく描写が胸に迫る。で、この世界で「川を越えて逃げる」具体的な方法はなんだろう。
「BOOK, TRAIL」第一回は「わけもなく惹かれてきた3冊の本」というお題でやってみたものの、本人が辿っている道筋(trail)は見えるような見えないような…という感じで、参加者が残してくれたシート上のアイデアを手がかりに第二回のお題を「3冊の本(昨日・今日・明日)」とした。
このイベントは三回一区切りで考えていて、あと一回やる(たぶん今年の夏前後)。お題はまた少し変わるかも。私はいま乾さんが教えてくれた『道徳性の起源』を読んでいる。「TEDの動画を先に読んでもいいかも。お薦め」と乾さんは話していたな。これだ。
BOOK, TRAIL Vol.1
本を読みながら、あなたが考えてきたこと
https://www.library.pref.nara.jp/event/3902