カリフォルニアの日本酒ファンが集まった「LB Sake Day」で推しのSakeに出会ってハッピーだった話
2023年もさまざまな場所でお酒を楽しむ機会に恵まれ、魅力的なお酒との出会いも多くありました。
中でも、10月1日の「日本酒の日」に合わせてカリフォルニア州ロングビーチで開催された「LB Sake Day」というイベントがとくに印象に残っています。
「日本酒の日」は、アメリカ各地でも「World Sake Day」として、さまざまなイベントが催されていて、「LB Sake Day」もその一つ。
ラスベガスでは手に入りにくい銘柄の日本酒だけでなく、気になっているアメリカの酒蔵のお酒も試飲できるのが楽しみだったのと、「World Sake Day」のイベントってどんな感じなんだろうと思っていたので、出かけてみました。
初開催の「LB Sake Day」
「LB Sake Day」は、地元の日本酒専門店「Sake Secret」によって、今回初めて開催されました。会場は「Rancho Los Cerritos(ランチョ・ロス・セリトス)※」の中庭に設けられていたので、屋外のイベントならではの開放的な雰囲気が「さあ、飲むぞ!」という気分を盛り上げてくれます。
出店しているのは、ほとんどが日本酒の輸入・卸業者とアメリカ国内の小売店のみなさん。それぞれのテーブルには、自社で扱うお酒が数種類用意されていて、会場入り口でいただいたオリジナルのおちょこで、好きなだけ試飲ができます。
今回は初めての開催なので、入場チケットは数百枚に制限されたそうです。おかげで混雑もなく、参加者同士や出店者の方と交流しやすい雰囲気のイベントになったのではと感じました。
これまで参加した大規模な試飲イベントでは、試飲ブースの前に人だかりができてしまい、後ろで待っている人たちのことが気になって、じっくりとお酒を味わうことが難しいと感じることもありました。
でも今回のイベントは、友だちの家の庭でパーティをしているような雰囲気で、ゆったりと落ち着いてお酒を味わえたのがよかったです。
※ランチョ・ロス・セリトス:ロングビーチの歴史的ランドマークに指定されていて、1800年代に建てられた邸宅と広大な敷地が残されています
出会ったのは、カリフォルニアらしいお酒
こちらのイベントに行こうと思った最大の理由は、カリフォルニアの酒造Nova Breweryが出店していたこと。アメリカで醸されたお酒を追いかけている私にとって、未知のお酒を味わえるという、願ってもないチャンスでした。
Nova Breweryは、ロサンゼルスの中心から東へ30分ほどのコビーナという街にある酒蔵で、カリフォルニア産のカルローズ米と地元の水を使った酒造りを行っています。
(カルローズ米は、かつて日系移民とともにカリフォルニア州に渡ってきた「渡船」という品種が改良された食用米。酒造りに適したお米なので、アメリカの多くの酒造が使っています)
Nova Breweryのお酒のラインナップは 「gravity(グラビティ)」「eclipse(エクリプス)」「Momo(モモ)」の3種類。とりわけ気になっていたのが「eclipse」です。
「eclipse」は、黄麹と黒麹を合わせて醸された純米大吟醸。日本酒造りに使われる麹は主に黄麹ですが、このお酒は、黒麹という沖縄の泡盛に使われている麹も使って醸されているのです。黒麹を使ったお酒ってどんな味わいなんだろう、と期待が膨らんでいました。
ブースにいらしたオーナーで杜氏のJamesさんによれば、「湿気や暑さに強い性質の黒麹は、同じような気候のカリフォルニアでの酒造りにも適している」のだとか。
はやる気持ちを抑えながら口に含むと、白ワインのような酸味が広がったあと、押し寄せてくるのは、日本酒ならではのお米の旨味と豊かな香り。
ワイン生産地で知られるカリフォルニアならではのお酒だなあ。もちろん、最初の一口でファンになってしまいました!
私が住むラスベガスに比べると、ロングビーチには日本酒専門店もあるし、流通しているお酒のバリエーションも豊富です。それでも、普段出会えないさまざまな銘柄のお酒を体験できたこの日は、日本酒ファンにとって特別な一日だったはず。
カリフォルニアの日本酒ファンがゆるりと集まって、お酒やおしゃべりを楽しんでいた「LB Sake Day」は、「日本酒の日」を祝うイベントとして、まさにぴったりだったと思います。
私も、気になっていたお酒やこれまでに飲んだことのないお酒をじっくりと味わえて、大満足。ロングビーチやロサンゼルス周辺の日本酒ファンに、ぜひ来年も参加して欲しいと思ったイベントでした。