『ファイナルファンタジーXVI(FF16)』 感想 *ネタバレあり
FF16ネタバレありの感想記事。(注意:批判多め)
プレイ時間97時間くらいの初クリア。サブクエは全クリ、クエストを進む前、途中、後に頻繁にNPCたちに話しかけたり会話に耳を立てたり、わりかしヴァリスゼアの世界観を堪能したプレイスタイル。
それなりに真面目にプレイしたので、真剣に(時々腹を立てて)プレイ感想を書いた。16を除く、ファイナルファンタジーシリーズはまだFF14しかやってないにかわ。FFシリーズとして評価することはできないので、あくまでも一作品として見ていた。
シナリオ
メインクエスト
率直に言うと、もったいなかった。
もう色々がゲームを台無しにしていて、ゲームをクリアした後ここまで悔しいと感じたのは初めてくらい。そう思わせた元凶。それはシナリオの説得力の無さ。
ゲームを進んで、違和感を感じた箇所は数えきれないくらいあった。そのなかに、覚えている点だけ下に記した。
どんまいトルガル
トルガルとクライヴが再開するシーン。クライヴがあまりにも無感情だった。アンブロシアとの差は何なんだよ。アナベラを無視するな
アナベラの残忍さに耐えきれずシドの仲間になったというのに、それ以降長年アナベラの存在を忘れたかのように振舞うクライヴ。大きな決断を促す感情は、つまるところさして強い気持ちではなかった。矛盾していない?ジル相手に鉄王国の大司祭が無謀すぎる件
人質がいたからジルを手のひらの上で踊らせた。それを知ってもなお、クリスタル神殿ではジルに怯むことなく、反って挑発してジル達を倒そうとしていた。後に味方誰一人いなくなった状況でも、ジルに突っかかった。勇猛というか、能天気というか。ディオン相手にアナベラが無謀すぎる件(以下略)
せっかく兄弟の感動の再開だが……
やっと兄さんと会えてよかったねジョシュア。てか、そんなに喜ぶならはよ会っていきや!何かの理由があってクライヴを避けたと思ったら、何もなかったじゃないか!会ってはいけないなら手紙を送れ。従者に伝言でも頼れ。クライヴより先にジルを泣かせてどうすんだよ。一発殴らせろ。アナベラはツンデレ
大公派を潰したはや5年。その間に特に何の進展もなかった。さながらクライヴを待っていたようだ。実はクライヴを愛息子と思っていたんでしょ、このツンデレめ。『人類みんなロゴス』説
クライヴがマザークリスタルを破壊したせいで生活がめちゃくちゃ。もちろん、協力者達も含めて。なのに、クライヴは一向に魔法を使わない技術を提供しない(ドラヴォズまで、それもそれ一回きり)。それどころか、みんな両手を広げてクライヴを歓迎する。寛大すぎるだろ。神じゃないなら何者だ。
これもほんの一部。うむ、実にぬるいシナリオである。
なぜここまでのぬるいシナリオになったのかは知る由もない。だが—―
考え無しの登場人物 = 考え無しのシナリオ構成
そう考えざるを得なかった。
なぜそう行動した、なぜそれを言った、なぜそう反応した。これらを考えながら作品を堪能するのが醍醐味。だがこれを、この作品は許さなかった。
フーゴが黒の一帯で顕現できた理由の説明のように、メインクエストで説明しなくてもいいから、ちゃんと辻褄が合うように書いてくれよ頼む。
メインキャラクター
キャラクターを好きになれた。そこそこの程度だけだが。
キャラクターについて書けるものはあまりない。だって、キャラクターの何も知らない、何も教えてもらえなかっただもの。
人格、好き嫌い、趣味趣向、人間関係、得意不得意、成り立ち。それらの特徴や物語を知ってもらえる機会は極少。キャラクターの魅力を伝える工夫を、本当にしてきたのか?キャラクターの魅力はどこにあるのかと問われて、満足できる答えを出せる自信が全くない。この感じでは、登場人物達が単に魅力的な面が持ち得ていないことになる。
サブキャラクター・その他NPC
常々変わる町のNPCのセリフは素晴らしいものだった。話を聞くのに何回も町を走り回ってめちゃくちゃ時間がかかってしまったけど、嫌いじゃなかった。この作品で一番笑ったところもそんな町のNPCのセリフだったし。
とにかく作品全体的に印象に残ったセリフは少なかった。日本語⇒英語⇒日本語のやり方で作られたこのゲームにおいては避けられないことかもしれない。ましてやセリフ回し。
逆に、ボイスが付かないセリフの方がより魅力的と感じた。これは英語テキストをベースに書き直したものではないからの魅力かもしれない。
アクション
大きいな問題点はないと感じた。順調に新しいアビリティが追加されるので、新鮮感を保ちたい人は常に新しいアビリティとそのコンビネーションをすれば大抵何とかなる気がする。
召喚獣合戦は確かに破壊力満載だった。が、動きがスローで、アビリティのバリエーションもなく、正直飽き気味だった。長くやらせるものではないと思う。
アクションとストーリのバランスが悪いと感じた箇所もいくつかあった。特にラスボス戦。始まる直前までものすごく盛り上げてくれたにもかかわらず、徐々に気分が冷めて、最後は「どうでもいい」とすら思った。ラスボス戦としては少々物足りなかった。長すぎて集中が切れたのもあった。
グラフィック
この作品を作り上げる一番好きなところかもしれない。
普段はフォトモードというものは試すことすらないものの、今回はそれなりに楽しめた。背景と環境はもちろん、キャラクターモデルもどれも綺麗。
一つだけ残念なところ—―登場人物が話している時(カットシーン以外)、たまにしゃくれているように見えること。
私だけじゃないと思うけど、どうだろう。
その他
グロが多かった。
そういうの好きな人もいるから仕方ないじゃ仕方ない。思い出の品のマリアス教の宗教画。
ジルやジョシュアからもらった思い出の品を置き去りにして、壁のど真ん中に宿敵のアルテマの画を大々に飾る。アルテマに殺められたシドとの誓いの証の真後ろに。リアリー?クライヴが浜辺で見上げる夜空
感動的なシーンで申し訳ないんだが、その夜空は明らかにおかしい。
こんなにも眩しく輝く月があるなか、周りの星々と銀河がこうも見えやすいなわけなかろう。不自然な夜空に気を取られて、感動するところではなくなった。無念。それに、その月の大きさ、天の川に似る銀河とそのサイズ感。なんか地球の夜空に似すぎて気が散った。単なる偶然?さすがに地球にいる設定ではないよね?突然の設定でビックリしたわ。
『月を見ていた』
とても良い曲。メロディーが頭から離れない。歌詞は……あれ?あれれ?
曲はまあ、あのシーンにとても合うと思うよ。とても合うけど、この曲はFF16のテーマソングのはずだよね。これは完全に挿入歌だろ。作品のテーマソングと言うから、ゲームを締めくくるのに相応しい曲と思った。悪い意味で期待を裏切ってばかりするなこのゲーム。最初から挿入歌と言って良いんじゃない。もう。はあ。
ちなみに、米津さんと吉田Pの対談動画を観て、希望的な表現は米津さんがクライヴに幸せになってほしいという気持ちの表れみたいなものらしく、クライヴの生存説につながるのは少し違うかな。まあ、歌がなくてもクライヴの生存説は全然ありと思うけど。
結論
この作品への感想をまとめるとこうなる:
盛り上げ上手だがとことん詰めが甘い。勢い重視、考え放棄。辛うじて成立する土台に見たいというだけの理由でねじ込んだ形だけの数々の展開。真面目にプレイするほど、失望が大きい。
ニーアシリーズのような「なんてこった」「そりゃないぜ」と思わせる衝撃なラストがなく、FGO2部6章をクリアした時の「悲しいけど美しい物語だった」といった感想にたどり着くこともできず、鬱げーとしても微妙。
最初から最後まで、勿体なかった。
音楽やカットシーン、声優さんのお芝居など、上に書いていないものは大体好き。
18か月の長期販売計画と配信規制がないといったことから見て、制作チームはおそらく心から自信作と思っている。
好き嫌いはそれぞれ、正解が存在しないのが創作というもの。これで良い、これが良い、と思ったならしょうがない。ただ私が勝手に期待して、勝手に失望した—―絶望的に制作チームのセンスと合わなかっただけの話。
この作品を十二分に楽しめた人達が私の救い。とことん楽しんでいってくれ。こんな記事なんて読むんじゃねえ。
ここまで書いておいて何なんだが、私はFF16が好きで、これからはトロコンを目指して二週目する気満々、DLC出したら必ず買う。
説得力がない?それはこの作品のシナリオと同じなのさ。
二週目完了後追記:
英語ボイスだと、『月を見ていた』はカットシーンの後、つまりクレジットが流れ始めたタイミングでフルで流れる。絶対日本語ボイスもこっちのがよかったと思うけど。