レジリエンスを高める食事術
こんにちは!ラブテリカウンセラーの島田奈美です。
関東はじめじめしたお天気が続いております。太陽の光はメンタルの安定に関係することから、こうも長雨が続くと気分も落ち込みがち‥ストレスも溜め込みがち‥になっていませんか?
多かれ少なかれストレスは誰もが抱えるものですが、異常気象による想定外の自然災害、人災、経済危機…その上、withコロナ、afterコロナと言われる時代を私たちは乗り越えていかねばなりません。せめて身の回りで起こる身近なストレス(例えば仕事上や家庭におけるストレス等)は柔軟に対処し、軽やかに乗り越えていきたいですよね。
ストレスは、悪いものであるというイメージを持たれがちですが「適度な」ストレスは仕事の能率を上げるものです。大変だけどやりがいのある仕事や尊敬する人からの期待、などは良いストレスですよね。なんとなく皆さんもイメージつくのではないでしょうか?
こちらのイラストのように、リラックスしすぎても仕事のパフォーマンスは上がりませんし、反対に緊張しすぎても上がらないと言われています。適度な緊張が能率や作業効率向上には必要であるため、ストレスと上手につきあっていくことが大切です。
レジリエンスとは、もともと「弾力」や「跳ね返す」といった意味を持つ言葉です。それがメンタルヘルスの領域では「困難を乗り越える心の力」と訳され、昨今企業研修でも人気のテーマでもあります。
そこで、今回は、食生活や栄養面からレジリエンスを高める方法を2点に絞ってご紹介したいと思います。
私たちの身体は日々食べているものでできています。食べるものや食べ方を変えることで、心身への影響も変わってくるのです。
ポイント1 生体リズムを整える
地球上のほぼ全ての生物が概日時計(※1)と呼ばれる体内時計をもち、様々な生理機能が地球環境の24時間サイクルに同調しています。
この体内時計が地球の時間と同調できなくなり、生体リズムが崩れると幅広い生体機能に異常が生じることがわかっています。気分や感情の状態を左右する、各種ホルモンの分泌においても同様です。
生体リズムを整えるとっておきの方法が、朝日を浴びることと、朝食をたべることです!
え?そんな簡単なこと?と思われるかもしれませんが、感情に関わるホルモン分泌に大きく影響するのです。
朝の光を目から取り込み脳の視交叉上核というポイントに刺激がいくと、体内時計がリセットされ、セロトニンというホルモンが分泌されます。セロトニンは、別名「幸福の案内人」というニックネームもある通り、モチベーションが高まり気分を明るく前向きにしてくれます。
とはいえ、梅雨時期は空が厚い雲に覆われているため、朝日を浴びるのは難しいですよね。
そんな時こそ「朝ごはん」です。
寝ている間は栄養が入ってこないため、深夜から朝方にかけてアドレナリンやコルチゾールというホルモンの濃度が上昇します。これらのホルモンはストレスに対抗するホルモンですが、多すぎも少な過ぎもよくありません。コルチゾールが高いまま維持されていると、抑うつ(※2)を引き起こす可能性がありますが、朝ごはんを食べることで、コルチゾールの濃度は徐々に低下し、午前中の気分や認知機能の向上に寄与することがわかっているのです。
ポイント2 魚のおかずを増やす
ところで、私たちの感情=心とはどこにあるのでしょうか?ストレスを感じるのは心ですよね。心というと心臓のような気がしますが、「心は脳がつむぎ出すもの」というのが一般的な解釈です。
生きていれば、理不尽なこと、不安なこと、悲しいこともあるでしょう。
ですが、レジリエンスが高ければ、逆境や困難があったとしても、気持ちのスイッチの切り替えがうまくいきます。脳レベルで言うと、脳の感受性や記憶のリセット力が試されると言えますね。
脳の構成成分のほとんどは脂質です。食事からどんな脂質を日々とるかで、脳の働きも変わります。
脂質の中でオメガ3脂肪酸、オメガ3脂肪酸の中でも特にDHA・EPAという魚に多い脂質が脳の発達や機能に重要な働きをしています。
(アマニ油やエゴマ油、ナッツ類にもオメガ3脂肪酸は含まれますが、それらはα-リノレン酸に分類され、魚由来のDHA・EPAとは異なります)
オメガ3脂肪酸は脳の細胞膜に多く含まれており、不足すると神経伝達物質の受け渡しがうまくいかなくかることから、記憶力や認知機能に影響しています。
また、オメガ3脂肪酸は脳の海馬の神経細胞の新生にも関与しており、オメガ3脂肪酸が不足して、脳の海馬の神経細胞の新生が低下すると、恐怖を感じた出来事の記憶が長く脳に残ります。つまり、日々オメガ3脂肪酸をとることで、脳細胞の新生がおこり、恐怖体験や不安に引きずられにくくなるということです。
それでは、毎日どれくらいのオメガ3脂肪酸をとればよいのでしょう?
日本人の食事摂取基準によると、成人で1.6〜2.2g/1日となっています。
これは、サバやサンマなど青背の魚の切り身100g食べるとおおよそとれる量となります。青背の魚に限らず、マグロやサーモンなど、脂がのった魚には含まれます。
ですから、難しく考えず「1日1回魚を食べる!」で良いかと思います。
「週に1回しか魚を食べない」という方は不足している可能性がありますから、まずは、週2〜3回へと少しずつステップアップしてみくてください。
ちなみに、おまけの情報ですが、魚のおかずをイメージすると、和食のメニューが多く思い浮かびませんか?
例えば、焼き魚とお浸しと納豆…や、刺し身と煮物と味噌汁など。和食のメニューにすることで、野菜・芋・豆・海藻類の食品が食卓に並びやすく、食物繊維の摂取量が多くなります。食物繊維は腸内環境を整え、腸内環境は心理的ストレスと密接な関係があります。「腸脳相関」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、腸と脳は相互に作用しています。腸を整えておくことも大切ですね。
よかったら過去の記事もご参照ください。
いかがでしたでしょうか。2021年関東の梅雨明けは7月中旬頃との予報です。後もう少し!
ちょっぴり元気がない時でも日々の食事を味方にして、細胞レベルで心も身体もリセット出来たらよいですね。
※1概日時計…生物が示すおよろ24時間周期のリズム現象。たとえば、睡眠と覚醒といった生活リズムやホルモン分泌リズム。を概日リズムと呼ぶ。私達が海外旅行をした際に時差ボケに陥るのは、体内時計の時刻と現地の時刻との間にずれが生じるためである。
※2抑うつ…「気分が落ち込んで何にもする気になれない」「憂鬱な気分」などの心の状態が強くなり、様々な精神症状や身体症状がみられること
参考文献:臨床精神薬理Vol.22,No11Nov2019
\私が記事を書きました/
島田 奈美(しまだ なみ)
管理栄養士/ラブテリ公認カウンセラー。健診クリニックでの栄養相談、メンタルクリニックに在籍し復職支援プログラム栄養学講座担当、その他専門学校で栄養学の授業を担当しています