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考える日本史

タイトルのごとく、日本の歴史上の出来事から、日本の成り立ちやら、文化の背景やら、を本郷和人さんが編集者から出された漢字一字から、考えてみた一冊。あれを言ったらこれも言いたい、さらにはそれも言わないと、となりそうなところを削って削ってごくシンプルに簡単に論じてくれているので、さほど歴史に詳しくないわたしでもサラッと読めました。

貧の一文字から、当時今でいう国会議員のような立場にありながら民の貧しさに無頓着で、死体の腐敗臭を嘆く藤原定家から当時の貴族の意識の低さを示唆。知の一文字から知性を歌やら楽曲やらの遊びに使ってしまう平安時代の呑気さや、戦の一文字から戦争勝利の原則をあぶりだします。

あとがきに書かれているように、ここに書かれている史実は誰もが知るもので、さほど珍しいことが書かれてる訳ではありません。この史実から本郷氏が書いている解釈もごくシンプル。でもそういやここまで考えたことがなかったな、という歴史の見方を学ぶことができます。

ちょうど今の大河が扱っている鎌倉時代は本郷氏の研究領域のようで、ドラマで描かれていた源氏内での勢力争いの観点と似てるなあと思わされる見解や意見も多々ありました。三谷さん、本郷さんと意見交換でもしたのかしら?とググってみたのですがどうやらそういうことじゃなさそうです。三谷さんは歴史好きなので色々掘っていくうちに本郷さんが指摘された視点をそれこそ自分なりに考えられたのかもしれないですね。三谷さんは歴史を学ぶ際には原因と結果という形で考えていくと理解がしやすくなるし、面白くなるという高校の恩師の言葉をエッセーの中でご紹介されていましたが、これも考えるプロセスの一つですよね。高校生のうちから、単なる大学入試の道具ととらえず、三谷さんのように考える面白さを実感しながら勉強できていたらよかったのになあと思いはしますが、わたしの場合はこの歳にならないと面白さを感じるまでに至れない器ということかもしれません。遅ればせながらの歴史学び直し、に日々精進です。

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