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苦悩したことがない人は、誰の役にも立たない

最近お仕事で関わらせていただいたあるプロジェクトを思い返すことがあった。

そのプロジェクトは、もともとプロジェクトオーナーの個人的な強い思い入れがあって、それを体現するためのプロジェクトであった。

オーナーはもともとある業界に関わることで自分の人格形成が行われたとおっしゃっていて、その業界に自分の事業を通して人を輩出することで貢献したいとおっしゃっていた。

きっとその想いは、そのプロジェクトが始まってから8年経過した今日まで全く変わらないのであろう。

私は直近1-2年だけ自分の専門分野のところを中心に関わらせていただいた。その中でうまくいかなったこともあるし、うまく行ったこともあったと思う。

プロジェクトの最初の段階では、その人は本当に心からその業界に貢献したいと思っているから、私ができる限りのことは貢献したいと心の底から思っていた。というより、今もそう思っている。

しかしながら、自分のできる範囲でプロジェクトを進めていくと、全然そのオーナーさんや、社員さんの部分が動かない。
(私と比較して、、かもしれないが。とにかく何も動かない。)

違和感を感じ観察してみると、こういうことが深層心理としてあることがわかった。


オーナー:
想いはある。が、過去元々潤沢な資本があるため人生において全く苦労をしていないし、チャレンジをすることによって恥を晒したくないと無意識に思っている。自分の心地の良い場所をなくすほどのチャレンジや自己犠牲は嫌。


周辺の人たち:
オーナーの言うことさえ聞いていればいい。社会貢献なんてどうでもいい。
今自分が生きている時間さえなんとかなればいいし、問題も全部先送りにすればいい。

個人的にはこのオーナーの感覚は、昔いた大企業にいる人の感覚に近いと思っている。すでにオーナーは唯物世界の中で持っているものを持つ物質世界の勝ち組であるから、このポジションを守るのは大前提。
その上で自分がリスクを負わない、しんどくない範囲で新しいことに挑戦したい。。という感覚。


私も昔大企業に数年いたから、この気持ちはちょっとだけわかる。
このオーナーにとって新しいことへのチャレンジはスマートで美しくなくてはならない。
外にどう見られるかが最も重要。中はその後でいい。何ならなくてもいい。
その時楽しかったらそれでいいし、今までの自分を壊すほどの無理なんか当然したくない。
自分が社会的に有利な立場にいることはわかっているので、まずはその立場をなんとしても守りたい(これ無意識で強固なるもの)


そして私にはわかる。
こういう人は現状の自分を手放せないから、何も新しいものは入ってこない。そして結局今の自分の心地の良い世界から離れることはできない。
(ある意味少女革命ウテナの学園の世界のよう・・)

過去の自分を手放した人にしか見えない世界がある。
手放した人の孤独や辛さ、苦悩は自分がそうだったから痛いほどわかる。

でも自分の想いや志を完遂するということは、それくらいの苦悩は当然として発生するのである。この苦悩がない想いや志なんて想いや志ですらないと思う。ただの願望である。




本当の意味で心から志を求め全く新しい世界、次元に行きたいのであれば、徹底的に今までの自分を追い詰め手放す必要がある。
これは必然であり、この辛い時に培われる力が次の世界で生きていく力となるのである。(というより、この辛い時がないと生きていけない)


このような観察後、このプロジェクトは、構造として無理があるなと感じた。どれほど資本力のある企業が資本を投じても、新事業が上手くいかない理由はこの精神の構造によるものもあると理解している。

これは物質世界では説明できないだろうが、精神世界では説明できるのではないかと思う。
(この感覚をもっと言葉で表現できるようになりたいと思うから、引き続き書き続けることで精進を続けたい)

自己破壊がなくても金があれば成功できる事業は、本当に社会にとって必要な事業なのかは個人的には疑問に思い始めている。


自分が苦労したことのない人間は、人が何に困っているのかもわからないし、今の自分を手放すことができないから、自分の中の肉体・精神的に安心/安全の場所から永遠に離れることができず、ずっと留まるのである。

このプロジェクトを通して、上記のようなことを考えさせられた。
大変なことも多かったけど、これもいい経験だった。




この経験から、

資本を持っている人は、物理的には生きやすいが、その分永遠に現世に縛られる可能性も持っているのではないかと経験から思う。

だから人っていうのはみんな一人残らず課題を持って生まれているものだと思う。



昔の人の言葉で「苦労したことのない人間は誰の役にも立たない」という言葉があるらしい。

本当にそうだと思う。
そして苦労したことのない人間は苦労が何かがわからないから、何を提供できるかもわからない。そしてわからないまま永遠に現世を彷徨っている人もいるんじゃないかと思う。


何が良いかは人それぞれだけど、世の中の真実は変わらず存在している。











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まなみ from Lutra
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