年末ふらふらひとり飲み─新鮮魚に舌鼓。
去年の年の暮れ。
大掃除を特にすることなく、部屋で音楽関係の事務作業に時間を費やす。年末の慌ただしさで気持ちがくさくさしており、どこかへ軽く飲みに行こうよ、なんて誰かを誘う気力もない。断られたらバキバキに心が折れる人なのでそんな気持ちが湧かないようにしておりジレンマ。
忙しなく、ひんやりした外の空気を味わいながら、ひとりでご馳走を堪能しようと思い出かける。
民家風の居酒屋を見つけた。
魚料理がメインらしい。店の前の看板を見ると、見慣れない名前の魚が並んでおり期待値が上がる。
4人席が2つ、2人席が3つほど。カウンター席は恐らく無く、キャパは割と小さめ。さすが年末、どの席も埋まっている。いきなり来店してきたようなおひとり様は果たして着席出来るのだろうか。
しばらく待っているとレジ背面あたりの接待ルーム的なところに案内された。およそ6人がけのテーブル席。そこに私が1人。インテリアには昭和レトロなラジカセや紅型の掛け軸、やちむん(焼き物)。そこに私が1人。人の目線を感じなくて気楽なので、なかなか贅沢なところに座ることが出来た。
おまかせ握り(10貫)を注文。
選ばれし10の魚。
新鮮な魚は身がキュッとしており、ツヤがある。
噛むと魚の風味が口の中を包む。淡白だったり、血合いの芳しさだったり、波打った歯ごたえとそれぞれ異なる味わいがある。それはつまり、みんなうまい。
ハンゴーミーバイ(アカハタ)の酒蒸しを注文。
真っ赤な魚が現れた。しっかり蒸されている。
甘い酒の香の湯気の中に磯の香りがブレンドされ、食欲をそそる。ミーバイの塩味は少なく、淡白。ポン酢につけたり、蒸された葉野菜と食べるとなお一層箸が進む。
他の料理に例えるなら汁のない鍋…そんな料理あるのか。
蒸されたミーバイは身はホロホロになっているが少々骨が多い。うまく骨をどけたり僅かに残った身をしゃぶりながら平らげた。
タコの唐揚げやら何やらと色々頼み、ぺろりと平らげた。
1人で食べるにはかなり多い方だと思う。自覚がある。
流石に食いすぎたと思いお会計すると5,000円を超えていた。
少し金額が足りなかったので、近くのコンビニでお金を出してお支払い。すごくマナーの悪い人みたいでかなり恥ずかしいかった…
魚が美味しい居酒屋に初めて巡り会えた。
食いすぎてお腹がパンパン。夜風に吹かれてゆっくり帰った。
次は県外の方をもてなすために訪れたい。