短い小説見てって😉 創作都市伝説
第10幕 古民家育ちのミアちゃんが初めて話した言葉
少し小高い丘の上、大手メーカーが一帯の土地を買い占め新築の家が並び立つそこは海が見える閑静な住宅地。
しかし住宅地の端にひっそりと軒を連ねる古民家が一軒。明らかに場違いな雰囲気に住宅地の住民もどんな人たちが住んでいるのだろうと、気になっていた。
古民家の近くに新しく住む住人が引っ越しの挨拶の際、恐る恐る聞いてみると、代々この地の近くに食肉用の牛の牧場を構える経営者ということだった。確かに、家は古くはあるが昔ながらの立派な作りの家で大人が見ればそれなりに裕福な家だというのはわかる。しかし、子供の目から見ればそれはまるで大きな気味の悪いお化け屋敷のような家に見える。さらに食肉加工の際に飛び散った血飛沫のあとが残る作業着を表に洗濯して干していたため、ここに住む一人娘のミアはお化け屋敷の殺人一家という噂を新しくきた住宅地の子供達に学校で言いふらされていた。
噂は瞬く間に広がりそれまで仲の良かった友人たちも少しずつ離れ、すぐにいじめの対象となってしまった。朝学校に登校すれば心無い住宅地の子供達から「昨日は誰を殺したんだ?」と言われ、机には人殺しと落書きをされていた。教科書もズタズタに引き裂かれ下校の時には靴箱に死んだ虫が置かれていたり、様々ないじめを毎日1年間受けていた。ミアはひどく落ち込み人と話さなくなってしまった。また住宅地の子供達は越してきてから一方的に虐めていたのでミアの声も聞いたこともなかった。
毎日の虐めに耐えられなかったミアはとうとう腹に深くナイフを突き立て、溢れ出す臓物を見て痛々しい顔でもなく、光悦とした表情を浮かべていた。
その日からミアが学校へ来なくなった。生徒の誰も理由を知らずにミアが来ない日が続いた。そんなある日、住宅地の子どもたちの間でお化け屋敷の殺人一家の家に夜中に忍び込まないか、真相を確かめよう!という話があった。
親が眠った頃の夜中の1時に集合になりその日の夜、結果的に集合場所に来たのはリーダー格で1番にミアを虐めていた男の子だけだった。どれだけ待っても誰も来ず、このまま帰るのもなんだかなぁということで1人で古民家に忍び込むことにした。懐中電灯にタオルを二重に巻き、ほんのり照らすくらいの光でバレないように忍び込んだ。
古民家の明かりはついておらず、夜のためか血飛沫のついた洗濯物もない。何もないじゃないか、面白くない。と家の角を曲がった瞬間少年は体を硬直させた。
少年の目の前には腹を引き裂かれ臓物が腹の外に出た住宅地の友人たちがいた。そしてその前には大きな刃物を持ったミアが光悦とした表情で立っていた。一瞬にしてパニックに陥り、このままでは殺される!と思い、急いで踵をかえし全力で走った。ミアが追ってきていないかと後ろを見た瞬間、ゴンっ!という音と共に少年は意識を失った。
目を覚ますと両手両足を縛られ、口にはテープを巻き付けられていた。そして目の前には血飛沫のついた作業着を着た知らないおじさんがいた。
「おきたかい?君がうちのミアを虐めてくれたみたいだね、ふふ、怖がらなくても大丈夫」
どうにかして逃げ出そうとする少年に優しく微笑みかけるミアの父。
「それにしてもお化け屋敷の殺人一家とはよく言ったものだ、半分ハズレの半分当たり」
そう言って父親は目の前からいなくなった。その代わりに大きな刃物を持ったミアが現れた。
ミアは満面の笑みを浮かべ、ポタポタと血の滴る
刃物を大きく振りかぶり言った。
「腸ってどれくらい伸びるか知ってる?」
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