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サイクリストの聖地 しまなみ海道を走ってきました

    昨日、サイクリストの聖地であるしまなみ海道を自転車で渡ってきたので、そのことについてのレポートを書こうと思います。

    本州の広島県尾道市と四国の愛媛県今治市を6つの島を通りながら繋ぐしまなみ海道は、穏やかな瀬戸内海や島の特色ある景色を自転車に乗って満喫できるサイクリングの名所でもあります。

    日本国内のみならず海外からの人気も高いしまなみ海道、僕のレポートで皆さんにも行きたいと思っていただければ幸いです。


でもちょっと待って

Q. 片道70kmのしまなみ海道を1日で走ったんですか?
A. 1日で行って帰って来たんで往復で140kmですね。朝7時に尾道を出発して帰って来たのが19時半、12時間以上かかりました。

Q. 大変そうですね。観光はできましたか?
A. ずっと自転車で走ってたんでほぼしてないですね。

Q. ………。昼食は島で美味しいものを食べましたか?
A. 昼食は尾道の「パン屋 航路」って店でパンを買って、それで済ませました。クロワッサンはバターたっぷりで、他のパンだとキッシュが特に美味しかったです。

Q. ……島ではないんですね。他に何か食べました?
A. カロリーメイトとローソンのおにぎり。あと夕食はすき家でチーズ牛丼を食べました。

Q. なるほど……。カフェとか…行きました…?
A. そんな余裕無かったです。飲み物は最初の島「向島」のハローズで2Lのアクエリアスを買って、それを飲んでました。

Q. ……。少なくとも景色は楽しんだんですよね?
A. 前半は楽しみましたが、途中からはずっと脚や腰の痛みと戦いながら自転車を漕いでいたので、あんまり景色を楽しめてなかったかもしれないです。

Q. 観光もしてない。カフェや食べ物も楽しんでない。景色も少ししか見れてない。それで何をレポ出来るんですか?
A.………………。


はい、というわけで

    しまなみ海道は渡ったものの、僕がやっていたのは、観光ではなく修行だったみたいです。
    なので、ここからつらつらと此度のサイクリングの事を書きますが、これを読んで皆さんが実際に行きたくなるかどうかは未知数です。


最高のサイクリング体験

    実はしまなみ海道を自転車で走ったのは今回が初めてはありません。中学生の頃に家族でサイクリングをしたのと、高校生の時に1人で今回と同じような苦行をしました。

    なので昨日が14年ぶりのしまなみ海道だったわけですが、改めて感じたのが「ここを自転車で走るのすごく気持ちがいい」ということです。

    僕は自転車でアホみたいな距離を走るのが趣味です。日本中結構いろんなところを走っていて、静岡の太平洋を見ながら走れる道とか、山梨のフルーツ街道、真夜中の御堂筋、お台場、富士山五合目からの延々と続く下り坂など、お気に入りの道はたくさんあります。
    そんな名だたる競合を抑えて、しまなみ海道が僕のお気に入りのサイクリングロード第1位に選ばれました。

    瀬戸内海の海や島々という美しく穏やかな景色を楽しみながら走れる、号が少ない、通量が少ない、内がしっかりしているので道に迷わない、度に坂道がある、憩できる場所が多い、にサイクリングを楽しんでいる人がたくさんいる、の上からの景色がきれい
    など、しまなみ海道の良いところを挙げていけばキリがありません。

    僕は瀬戸内で生まれ育ったので、瀬戸内海の景色は見慣れていて、そのせいで今までは、しまなみ海道の事をただのサイクリング道が整備された島くらいにしか思っていませんでしたが、日本各地の様々な道を走った結果、ここ以上に走るのが楽しくて、きれいな景色を見ることができる道はなかなか無いぞという考えになりました。


亀老山展望公園

    今回、ほぼほぼ寄り道なしで、今治まで行って帰ってきただけの行程でしたが、唯一立ち寄った場所があって、それがこの亀老山展望公園という展望台です。今治の手前の大島にあります。
    TrashTasteのしまなみ海道回で出てきたので行きました。聖地巡礼です。

    作りはコンクリートでの展望台で、登ると瀬戸内海を360°見渡すことができ、特にしまなみ海道最長の橋である来島海峡大橋がよく見えます。

亀老山展望公園からの来島海峡大橋

とても綺麗な景色ですね。

    問題は、この展望台が標高300mの山の頂上にあり、たどり着くためには3.7kmの坂道を上り続ける必要があることです。車や電動自転車だと苦ではないのでしょうが、そうでない僕は1時間近く山道を自転車を押して歩く事を強いられました。

    僕もしんどかったですが、他の人もしんどかったようで、頂上付近で見た老夫婦は少しでも楽に登るために自転車を坂の途中で止め置いていたし、最初の方で抜かした外国人の男女は、展望台でも帰り道でも見かけなかったので途中で諦めたのでしょう。

    この労力に展望台からの景色が見合うかどうかは人によりますが、マゾにとっては、しんどい思いもできて素晴らしい景色も観れるのでプラス要素しかないんじゃないでしょうか。


夜のしまなみ海道

    展望台へ登るのに時間がかかったり、折り返し地点で疲れ果てて50分くらい動けなかったり、身体中の痛みでスピードが出せなかったりで、思ったよりも進みが遅く、日没までに帰還が間に合わなくて、因島と向島を走っている時はもう外は真っ暗でした。

    で、気づいたのが、暗くなってくると他のサイクリストたちが居ないんですよ。日中は周りにたくさんいたのに、ピクミンみたいにいなくなってるんです。(ゲームでは夜行性の原生生物からの捕食を逃れるため、ピクミンや主人公たちは夜は空へ避難する)

    考えてみれば当たり前で、景色を楽しむためにサイクリングをしてるんだから夜に自転車に乗る意味は無いし、なによりレンタサイクルは返却の時間があります。
    まあ僕の自転車は自前だし、ライトも明るいのを付けているので、暗くても別に良いんですよね。観光客は居なくなっても、車や学生の自転車は走ってるし。

    ただ事件は尾道の手前の島、向島に着いた時に起こりました。因島から橋を渡って、向島の海沿いの道を走ってると、僕の目の前に自転車のライトに照らされたイノシシの顔が出てきたんです。大型犬くらいの大きさでした。突然のことで大変驚きましたが、瞬時に頭によぎったのはイノシシに突進されると簡単にケガをするという知識でした。
    僕は刺激しないように息を殺して、あたかも何も見てないかのようにその場を離れました。その後イノシシは追って来なかったので間違った行動ではなかったのでしょう。本当に怖かった。イノシシ目撃現場から少ししか離れていない場所で釣りをしているリーマンがいました。彼は殺されたかもしれません。

    その後はイノシシを目撃することは無かったけど、山側がガサガサと物音を立てるたびにイノシシかと考えてビビっていました。久しぶりに夜の田舎道の怖さを思い知りました。そりゃあ他の観光客は夜に自転車に乗らんわ。
(でもイノシシで良かった。あれが野犬なら死んでた)

でもやっぱ良い観光地だよ

    コロナ禍が去ってから、日本は観光地として人気があるようで、オーバーツーリズムが問題になっているなんて話を耳にします。
    昨日のしまなみ海道も日本人観光客・外国人観光客共にそこそこいましたが、多すぎて何か不都合が生じるほどではありませんでした。これはしまなみ海道が日本観光のゴールデンルートから外れているからってのもあると思います。(東京-富士山-飛騨高山-奈良-京都-大阪あたりがゴールデンルートと呼ばれ、日本初心者に人気のコース)

    もちろんオーバーツーリズムは嫌ですが、せっかくレンタサイクルや様々な施設・設備も揃っているし、瀬戸内の景色を堪能しながらのサイクリングはとてもユニークな体験だと思うので、ぜひぜひ国内外問わずたくさんの人にしまなみ海道で自転車に乗ってもらいたいなとは思います。

    そういえば、僕が前回走った14年前と現在とでは大きく違うことがあって、しまなみ海道の自転車通行料が無料になってるんですよね。前は橋を通る度に50円とか100円とかをちまちま払わないといけなかったんですけど、2014年から期間限定で無料化されているみたいです。自転車のメーカーや地元のスーパー、オタフクソースなんかが協賛してくれているおかげみたいです。正直大した額ではなかったんですけど、橋を渡る度にいちいちサイフを取り出して通行料を払うのはめんどくさかったのでとてもありがたいです。この無料期間はとりあえず2026年3月までらしいので、興味のある方はせっかく無料なので是非行ってみてください。


少し長い文章になってしまいましたが以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。

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