比べなくなったわたしは、わたしになれた
あんなに凄いと思っていた事が
今では凄く感じない
そういった事はよくある
わたしは
わりと凄いと言われる方だ
そしてわたしも
人に凄いですねとよく言う
これは前の記事でも書いた
大人か子供かと言う話に似ている
相対的な話なのだ
わたしも気づくまで分からなかった
わたしの中では、凄いと感じていたのだ
素直な感情で
わたしの本業は髪切り屋
ほとんどの美容師が最後に習うのはカットだ
なのでカットが出来ない時のわたしが
カットをしている人を見ると
凄いと感じる
わたしがカット出来るようになると
出来ない人からは凄いですねと言われるようになる
こうして書くと、そりゃそうだと思うが
あの頃のわたしは勘違いしていた
わたしは、凄い事が出来るようになった人
になれたと思っていたのだ
しかし前述したように凄いというのは
相対的なものだ
それは自分と比べて、何かと比べて
という事になる
資本主義の中にいればそこには当然価値がある
サービスを受けるなら
出来ない人より出来る人にしてもらいたいだろう
凄い人より凄くない人が評価されるなら
一体、誰が頑張りたいと思うだろう
誰しも自分の価値を認められたい
頑張って何者かになりたい
そうして色んな凄い人が世にあふれる
それは資本主義の良いところだと思う
だがわたしのように勘違いする人もいる
人と競い、比べながら生きる時代に生まれたのだ
人より何かが出来るから、あれが出来るからこれも出来るから、わたしは人として優れたと自惚れた
カットが出来、パソコンを扱え、料理も作れて、
コーヒーだってドリップ出来る
テントを設営しロープを編み簡単になら魚も捌ける
10代の時の自分から見たら凄い自分になったものだ
ほめてやりたい
けれどもどれだけ成長しようと、どこか自分を認められなかった
わたしが自分自身を、人と比べた上での存在にしていたからだ
わたしが自分を凄いと思えたのは人と比べた上での事だったのだ
だが
人と比べた上で凄いと思う人間の
どこが凄い人間なのだろうか
どこが優れた人間なのか
自分の中で矛盾が生じる
わたしはどう考えれば良いのかわからなくなった
自分で自分を見つめ直す
日本人は自己肯定感が低いと言われるが
わたしもその1人だ
何も持っていない
何の肩書もない
何も出来ない
そうなった時
そんなわたしに価値があるのか
わたし自身に価値はあるのだろうか
わたしは来る日も来る日も考え続けた
考えて考えて考え疲れたわたしは
ついに考えなくなった
それが
わたしが気づくきっかけに変わった
自分の中で考えずに
まわりを見る事で見えてきたのだ
何もないわたしに価値があるのか
その答えは
わたしが自分以外をどう見るか
という事にあった
目の前にいる人を、価値があると思えるか
その人の容姿、身なり、社会的ステータス
社会的関係性、その他
色んな物を
取り払った上で
価値があると思えるか
価値という言葉では語弊がでる
尊重出来るのかという事だ
夏、わたしの腕に一匹の蚊がとまる
次の瞬間わたしの手の平は蚊を潰していた
家、の部屋に小さいクモが出た
わたしはティッシュ越しに掴みクルクルと丸め
ゴミ箱に投げ入れた
わたしはその時思った
どこが尊重出来ているのだろうか
蚊だからクモだから虫だから
殺してもいいと
わたしにとって価値がないから
殺してもいいと
一つ一つの命を全く尊重していない事に
気づいた
そうか
だからわたしは自分を尊重出来なかったのだ
何も持ってない、何の役にも立たない自分を想像すると価値が無いように感じる
それはわたしが自分以外に向けていた見方と一緒だった
そのものの価値を、何かと比べることでしか感じることが出来ない
わたしは考え方を変えた
今まで価値を感じなかったものを尊重する
虫が出てもなるべく殺さないように
逃してあげる
わたしの目の前に現れてくれてありがとうと
感謝する
わたしがその存在に対して価値があると見る事で
たしかにそこに価値は生まれるのだ
それまでわたしが価値を感じる事が出来なかった
虫や雑草や道端の石ころでさえも
無くていいものも
無くしていい命もない
自分を尊重出来る人はまわりを尊重出来るように
逆に
自分以外のものを尊重する事が出来るのなら
きっと自分をも尊重することが出来る
なにもない、自分自身をだ
わたしは色んな人や物、動物、虫、自然、目に見えない空気も尊重しその存在に感謝した
他と比べようもないその存在を尊く思い涙が溢れた
良かった、わたしにはそれが出来たのだ
何もない自分自身をも初めて尊く思えた
わたしは喜びにあふれた
まるで今までの苦しみが
その事に気づかせる為にあったのではないかと
思えるほどだった
価値の捉え方は人それぞれだ
正しいか間違っているかは
自分にしか分からないだろう
わたしにとっては、大きな問題だったという事だ
ただ、わたしはこの事を
私には価値がないと、悩み苦しむ人へ届けたい
私に価値は無いと思うのは、何かと比べての事だ
本当は比べようがない価値が自分に有るという事を
この記事を通して誰かに伝えることが出来たなら
嬉しい限りです
最後まで読んで頂いてありがとうございます
こんなに重めの文章を柔らかくしてくれる
カピバラに感謝です
温かい画像がぽかぽかして良いですね
yuragi様ありがとうございます