
『リバー、流れないでよ』が凄い。
アマプラで視聴。
序盤からすぐに気付いたのは非常に舞台的だという事。
それもそのはずで後から調べたら完全に劇団が母体のチームによる映画作品でした。
最も舞台感を醸し出すのがその作品構造。ある旅館内の従業員や利用客達(10〜15人かな?)が2分のタイムリープを繰り返す、というドタバタコメディですが、
本当にキッカリ2分のワンシーンワンカット撮影したものを繰り返します。これはすさまじい!なかなか人数の多い群像劇でこれをやるか〜、と。役者に同調して後半は私も体力が削られていく感覚がありました。ちなみに映画内ではこの2分ワンカット撮影のループが36回繰り返されます。
素晴らしいのは、決してこの『ワンシチュエーション、ワンシーンワンカット撮影』というスタイルをこの作品の前提としての売りにしている訳ではないという事。ぶっちゃけ予算の関係でそこは選択しただけなんじゃなかろうか。
その作品構造を意識しなくても、普通にタイムリープネタのコメディストーリーとして面白い。
ただ、観るならばやっぱそこ(ワンカット撮影)は意識して観た方が、より楽しいと思います。
登場人物達はリープを繰り返す中で、徐々にそれぞれがそれぞれの、”自分の果たすべき役割”を演じ始めます。(鼻クソみたいにダサい事いうと人生てそういうタスクでしかないじゃないスか。)
そこから浮かんでくるのは、この旅館や人間関係の全てが『舞台装置』であるという事に他ならないので、この映画は登場人物達が全員で協力してつくる劇中アドリブ劇を見せられているんだ!といった色合いも帯びてゆきます。
そしてそれを観ている自分もなんとなくそれに同席している気分をこの作品は創り出せていると思います。
この、視座の飛躍がとても心地良く仕上がっていて。
そのように観ると、
ほんとに、チケット買ってちょっと演劇を観てるような気分になれますよ。