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【毎週ショートショートnote】缶蹴り恋愛逃走中

西暦2050年。
リサイクルが完全に実現した。
石油由来の容器は自然循環の中で再生できるようになった。
金属の容器、特に「缶」は実用性を失った。
一部「缶蹴り用」として製造されているだけだ。
私たち「スポーツ缶蹴りレジスタンス運動」はジビエの缶しか認めない。
今でも林の中を探すと松の枯葉の下からぺちゃんこの「缶」が出てくる。
その「ジビエ缶」で私たちは人目を盗んで缶蹴りをし愛を深めるのだ。
「君たち!缶蹴りは指定された缶蹴り場でやりなさい!」
そんな場所で満足できるわけがない。
「その缶はジビエじゃないか!特にスチールは貴重だ。リサイクルに回しなさい!」
エコポリスが近づいてくる。
「そんなに欲しけりゃやるよ!」
エコポリスめがけて缶を蹴り上げた。
彼は缶を手にするなりリサイクルセンターに向けて足漕ぎのエコパトカーを走らせた。
「俺たちは俺たちのやり方で抵抗する!」
この時代に信じられないような量の排気ガスを出しながらプリウスが走り出した。
(410文字)

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