見出し画像

金髪

金髪が好きだった
昼の太陽と夜のネオン、どちらにも馴染むし
インスタのストーリーに映る自分が
なんとなくキマる気がした

信号待ちの車の窓に映る私は
スタバの限定フラペチーノみたいに
すぐに消えるものだとしても
それでいいと思ってた

ある日、気まぐれで染めた暗い髪
自撮りしたら なんか思ったより悪くない
それが気に食わなかった

「やっぱり金髪のほうがよかった?」
そんなことを聞く前に君は言った

「可愛いね」

まるでストーリーの足跡だけ残して
消えていく誰かみたいで
その場では気にも留めなかったのに
時間が経つほど頭にこびりつく

金髪の私は、ただのフィルターの一部
今の私は無加工のリアルかもしれない

それが嬉しいのか それとも ちょっと悔しいのか
まだ分からないまま

青に変わった信号を横目に
コンビニで買った350mlのストロングをひと口飲んで
「まぁ、こんなもんか」って思わずつぶやいた

ニューバランスの靴ひもを結び直して
イヤホンをつけて歩き出す

たぶん私は、金髪の私より
今の私のほうが
少しだけ好きになった

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集