ブックサンタの季節2024
アメリカ大統領選が終わった。
勝ったのは、大方の予想に反して?、あるいは、やっぱり?、暴君のようなふるまいをする、“あの人“だった。
日本は、世界は、どうなってしまうのだろう。混乱の渦、暗黒の4年間。
テレビに出ている“識者“や“専門家“は、暗い予測ばかり述べ立てる。
どうかどうかオソロシイことにはなりませんように……。極東の小さな島国のかたすみで、テレビを見ているだけのわたしには、祈ることしかできない。
画面が切り替わり、当選したばかりの“あの人“が、大映しになった。
いかにも頑丈そうな老人が、得意の絶頂で満面に笑みを浮かべている。
ああ、この人、サンタクロースの衣装が似合いそう。
サンタクロースといえば、そろそろブックサンタの季節だ。厳しい境遇にある子どもたちに、クリスマスに本をプレゼントするこの企画。
参加書店で児童書を買い、それを本屋さんに預ければいい。あとは、サンタクロースが、本を待っている子に届けてくれる。
わたしは、テレビの中の次期大統領に別れを告げて、家を出た。
市バスに乗り、本屋さんに向かう。
バスの中で、今年は、どんな本を子どもたちにプレゼントしようか、あれこれ考えた。
2022年は、絵本を二冊、
2023年は、科学の図鑑を二冊。
今年は、物語の本にしようかな。本好きの高学年の子が、夢中になれるような本。いまどきの子は、どんな物語を好むのだろう……
バスを降りるとき、わたしは決めた。本屋さんの児童書売り場で見て、わたしが読みたいと思った本を贈ろう、と。
本屋さんの児童書売り場では、1時間ねばった。「クラバート」や「モモ」のような不朽の名作もあったけれど、わたしが読んだことのない最近出た本から選ぼうと思った。
表紙をながめ、出だしの2〜3ページを読み、巻末の解説に目を通し、3冊を選んだ。
「地図と星座の少女」
キラン·ミルウッド·バーグレイブ
「アフェイリア国とメイドと最高のウソ」
ジェラルディン·マコックラン
「ぼくとロボ型フレンド」
サイモン·バッカム
買えばわたしの手元を離れてしまう本だから、レジに行く前に、それぞれの表紙を写真に撮った。
「ブックサンタでお願いします」
書店員さんにそう告げるときは、わたしのこの一年で、もっとも誇らしくうれしい瞬間だ。
帰りは、プレゼントした本を借りるために、図書館に寄った。3冊のうち1冊は、そもそも蔵書になく、1冊は貸出中。借りられたのは、 「アフェイリア国とメイドと最高のウソ」だけ。さあ、読むぞ。あとの2冊は、またのお楽しみ。
こうして、わたしの2024ブックサンタは終わった。
家に帰ると、サンタクロースの衣装が似合いそうな“あの人“が、まだテレビの中にいた。
24時間で戦争を終わらせると豪語している。
ほんとにそんなことができたなら、世界中の子どもたちへの、平和という大きな大きなプレゼントになるだろう。