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日本の情報から離れる

東京での大学生活(うち1年の留学)
東京での新卒時代
大阪での転職と初めての一人暮らし
東京・丸の内での暮らし
中国・上海での短期赴任
大阪での暮らしとパンデミック

を経て、私は情報と人の多さに滅入っていた。
ただでさえ仕事で入ってくる情報、処理するタスクの膨大さに加え、
道を歩けばあちこちに看板や標識、注意書きが溢れ、
乗り物に乗れば、矢継ぎ早にアナウンスであれやこれやと「お願い」される。
テレビはもう10年以上見ていないが、
それは単に情報源がYouTubeやSNSに置き換わっただけで、
画面には様々な広告が暴力的に流れ、
息継ぎや「間」さえ取り除かれた早口・早回しが是とされる情報が次から次へと量産されていく。
新しい情報に飢え、人々の動向が気になり、
自分自身に貪欲に学びや発見を与え続けないと立ち止まってしまうという恐怖。
目も、耳も、鼻も、息も、限界が来ていた。

人々は疲れないのだろうか。

そんな折に英国を訪れる機会に恵まれ、この街に惚れ込み、
転籍するチャンスが舞い込み、勇気を持ってつかみ取り、
夢を見ているのではないかという早さで引っ越してきた。
準備も努力もたくさんしたし、お金もかけた。
周りの人の理解と応援、協力があって実現した。

そして、今は情報過多の日常から一歩引いたところで生きている。

物理的距離はすなわち時差にあらわれ、
リアルタイムで日本の情報に引きずられない良さがある。
街のあちこちに「お願い」はなく、
それぞれが適当な度合いで期待しすぎず放ったらかし。
あるとすれば大抵、「Out of order」の貼り紙くらい。
夜煌々と目に差し込んでくるネオンや
飲み屋やトラックの音もなく、雑踏に揉まれず、自由に過ごせる。

きっとまた、情報や刺激を求めて、
その真っ只中に身を置くことが恋しくなる日も来るかもしれないが、
今はこれでいい。

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