真夜中の心臓
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AM 2:58
毎日が真夜中だったらいい。
朝も昼もこない。
ただ真っ暗闇だけど
ツキアカリが綺麗で、
街は寝息すら忘れ静かに眠っていて、
風が凍える程に寒くて。
だから布団を被って小説を読んでいても
許してくれる。
明日は何をしよう、
明日はこれを買おう、
明日からは笑顔になれそう、
浮き足立って馬鹿げた妄想も虚像も虚栄も、
全部全部許してくれる。
僕に少し優しい
僕に少しだけ甘い
ほんの数時間。
夜はセンチメンタルだね。
なんて、
誰かが僕に後ろ指さして
馬鹿にしたりしない。
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AM 3:04
時計の秒針は僕の心臓を焦らせた。
どくん、どくんどくんどくんどくん、
どくん、どくん、どくん、どくん、どく。
どくん、どく、ん。
どくん、どく。
ど、くん。
タイピングする手が震えて
生温い汗が手のひらにじんわり拡がる。
気持ち悪い。
来る。
朝が、
朝の足を音が、
する。
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AM 3:21
目眩。
世界がものすごいスピードで廻る。
真夜中は、
僕の世界が、
終わる。
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AM 4:26
嫌だ嫌だ嫌だイヤダ嫌だ嫌だいやだ。
布団の中が水だらけになる。
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AM 4:56
怖い。
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AM 6:08
ずっと真夜中でいてよ。
お願いもう
僕を、
許してよ。
真夜中なんて、
なければいい。