H I N A
胸に溢れる色を吐き出す場所。
嗚呼、妖艶ではない美しさ等。 死と生を行っては着たり なんと もない 危うく不安定な 嗚呼、 切ない美しさ。 大丈夫、壊せる。 騙せる。 噎せる。 転び、歌い、酔い、 這いつくばって水に入り、 否、 まだ壊せる。 致死量が怖い。 生きるのは怖い。 嫌、? ならば壊して 不安で 泣いて 喚き散らし、 不規則に笑い、 息が吐けなくなって、 また水へ浸かる。 蹴落とされて嘲笑われて 歪な美を創り出してゆく。 嗚呼、 要らない。 漠然と
夢を見た。 あの日を 同じ日に何度も、 戻った。 タイムリープ? 嫌々、 違う。 笑わせないでよ。 そんな安易な物語じゃなくて。 そんな綺麗な物語 じゃ、なくて。 厭な音がするあの職場に 何度も戻った。 「 」 が、帰ってきた夢。 アノネ、キョウハ ヤメニシタノ。 アナタガシンパイデ カエッテキタ。 笑えるよね。 幾度と目を閉じて 嘘を確認した。 ここは僕のベッドの上で、 「 」 は、いなくて、 アレもコレもソレも僕じゃな
腫れ物に触れているみたいに、 診て泣いて 見てわざと笑ってみせたり 観て 怒ったり。 嗚呼、ああ、嗚呼。 ああ、 気持ちが悪いです。 嗚呼、 ああ、 伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる伝わる。 気持ちが悪い程に。 愛してる、 愛してる、愛してる。 愛してる。 僕も、 だけれども 伝え方を、 思い出せないんだ。 早く 壊れてよ。 早くなくなっ
感性を刺激されるとは、 これだ。 僕の。 僕の心臓にはある。 花がある。 鮮やかな有彩色 色のない無彩色。 無限と根を張る美しく そして、狂おしい 感性という名の花。 僕は感性を抉られると 部屋中を動き回って 止まらなくなってしまう。 君は 「人間じゃないみたい」と、 指をさしてケラケラ笑うけれど 同じ行動ばかりを繰り返し 突然声を出すときも、 泣き出すときだってある。 そんな僕を見たら 君はやっぱり笑うけれど。
いつまでも目を瞑っていたい。 掌で覆った瞼の裏側。 目が見えなくなってしまえばいい、 なんて とんでもない不謹慎なことを考えた。 今日だけは どうか、 どうか。 許してほしい。 真っ暗闇は 今日は 優しさに想えて 何故か 何故だか そんなものに、 甘えていた。 雨が降る夜には 月は何処にいるのだろう。 僕の変わりに泣いてくれている空は、 否。 僕の変わり、 だなんて。 笑って仕舞う。 空は唯、 雨を
「はたして、 人が亡くなった後に残るのは 姿か、 それとも声、か」 僕はベランダで煙草をふかし、考えている。 もう二度と会えない人間に残るのは 香り、だと。 貴女がよくなめていた甘いキャンディの香り。 優しい部屋の香り。 街ですれ違った他人の香水に貴女を重ねて 馬鹿みたいに振り返ってしまったり。 隣に座るだけで感じていた 貴女から香る貴女の匂い。 記憶から、 姿も声も消されてしまったとしても
「君は、偶に心が 汚くなるね。」 底なし沼に足を取られた。 僕の貴女への愛が、 ガラガラ音をたてて 「君は 私のことをさ、 本当に、 本当に本当に、 わかってる?」 崩れて壊れて割れてゆく。 「極端なのよね。 君って。」 不器用で、 愛し方を知らない。 純粋過ぎる無垢な僕は この世界では 煙たがられる。 誰かたった一人でいい。 僕を本当の意味で理解できなくたっていい。 それでいいから出逢いたい。 僕
哀しみに溺れる季節なのだろうか。 浮き足立って笑う 春風の陽気に苛立った。 「私はもう息ができないの」 優しい彼女は泣いたけれど、 「アナタは美しかった」 寂しい、を遺して居なくなるなんて残酷なことをする、と頭の隅でぼんやり嘆いた。 酸素カプセルを飲んで 僕は深い息をした。 嗚呼、 また僕を独りにするの。 どうしようもなく 他人に惹かれて どうしようもなく 愛してしまう。 そして僕は 愛した人に突き
机の上、散らばった要らない絵の具。 他人の愛は色んな色をしているわ。 貴方は青で、 貴方は黄色、 貴方は緑、貴方は赤。 其れは鮮やかで何とも綺麗。 受け取ってはみてみるけれど、 蔑ろにする気はないのだから御礼を言わなければと強迫するあたしただ、 「ありがとう」と薄っぺらに 乾いた唇でなぞった。 この絵の具に、 何の魅力なんて無い。 貴方はあたしを染めたいのかしら。 この色に。 あたしを白を汚したいのかしら。 其の色に。 嗚呼、
生きてる意味を喪って うさぎ小屋の白兎、 ただ無感情を食った。 食べたことは 兎の寂しさを閉ざしたよう。 ただの見せかけだけれど。 無感情で満腹になったお腹は タプタプ喋ったけれど、 小屋には他の何者もいないし 命無いものは喋ることを知らない。 白兎の虚ろに陰った暗闇の瞳は 何処も見ていなかった。 白兎は、 いつか白蛇になれるだろうか そんな夢を毎夜見て眠る。 朝になると、 白い毛色がだんだんと 黒く汚れていた
------ AM 2:58 毎日が真夜中だったらいい。 朝も昼もこない。 ただ真っ暗闇だけど ツキアカリが綺麗で、 街は寝息すら忘れ静かに眠っていて、 風が凍える程に寒くて。 だから布団を被って小説を読んでいても 許してくれる。 明日は何をしよう、 明日はこれを買おう、 明日からは笑顔になれそう、 浮き足立って馬鹿げた妄想も虚像も虚栄も、 全部全部許してくれる。 僕に少し優しい 僕に少しだ
イヤフォンは外さない。 ずっと流れている僕だけの音楽を 今は拒絶してるのだ。 こんな線から流れた音楽に共鳴して、 僕も疲れているのだね。 なんて、ね。 何を聴いたって 心を震わす音は 今は何もないのだけど。 僕の心を震わせてほしいよ。 風が冷たくなって 身体の体温を奪う。 季節が変わった。 わっ、と吹いた風に 冬の香りがする。 恐る恐る、 イヤフォンを外した。 ------ 住宅街が喚いている。 あの時間に聴いた風の音も、 あ
真白な壁を指でなぞった。 何か大きな幸せな夢を、 描ける気がした。 描ける気がしていた。 だけれど期待は何時も僕を嘲笑うんだ。 絵はもう描けないから きっと夢も描けない。 … 明日は来るかな。 わからないけど、 明日も来るかな。 嗚呼、 来ないでほしいな。 何故かとてつもなく眠くて、 このまま目が覚めないような気もした。 もしこのまま目が醒めなかったら 誰もいない白い世界で 僕は一生幸せ
画面の中に身体ごと入り込むようにSNSに流れた文字列を噛み殺していたら何時の間にかもう、 外は 真っ暗になっていた。 画面の中で個々の瞳が皆唸りあげていて 悍ましくてゾッとした。 何処を漁っても 瞳。 目。 眼。 売。芽。愛。 目。眼。 瞳。 目。 恐怖だった。 小さくとも 安易な他人の言葉とは、 狂気じみた凶器に変わり狂喜な顔して僕から自信を奪う鋭利で営利な刃物に変わり、 小さくとも
画面の中に僕によく似た息をする人間を見つけた。 つい何年か前までは苛立ちとして溜息をつき。 つい何ヶ月か前には憎しみに姿を化かし 遂にこんにち、画面の中にいる其れは吐き気へと姿を変えて僕の臓器を握りつぶしてきた。 クイコロサレル。 脳裏を過ぎった言葉にまた憎悪して 自分でも驚く程に息が詰まった。 慌ててトイレへ駆け込んでしまった。 酸欠になった僕が 必死に吐き出せたものは たかだか涙と涎と鼻水で ついでと言う様に一緒
あのさ、聞いてほしいんだ。 あのね、 昨日鏡を覗いたらさ 父さんと母さんに会ったんだよ。 最初は驚いた。 だけれど 偶に優しい顔をしたり 偶に見下した顔をしたり 悪戯に笑ったり 角度を変えると父さんになったり、 母さんにもなる。 手を あわせて 「僕」と手をあわせて やっぱり其れはひんやり冷たかった。 このガラスを通してしか逢えない。 「現実」 当たり前に突きつけられた 当たり前の事実と 逃避と 虚無感だ