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夜の空は貴方の星。

販売機に向かう僕。
夜空を見つけた。

立ち止まって見上げた夜空に
僕は貴方の幻覚を見る。

貴方の顔が見たくて。
僕は貴方の幻想を見る。

吐いた煙草の煙が
貴方のカタチを成して

そうして
消えた。

輝く星は
貴方を思い出させるもの。

貴方と歩いた夜空は
星が煌めいて
貴方の手はいつも温かくて
一緒にはしゃいでくれた。

貴方が買ってくれた天体望遠鏡。

「都会の空に、安い天体望遠鏡じゃあ何も見えないな」
そう少しがっかりしたように笑った貴方の瞳の中に

僕はいつも
夜空に煌めく星を見ていた。

貴方の茶色い瞳はキラキラ輝いて見えて、
僕とは違う世界が見えている。

その瞳が魅せる世界に、
ただただ憧れた。


ある日の昼下がり

貴方の瞳が壊れた昼下がり。

僕は溢れ出す感情を言葉で吐露できず。
前日までは見えていたはずの世界。
前日までは輝いていた瞳。
想像すればするほど、
僕の心を喰い殺して
血塗れになっていった。

血だらけになった幼い僕と

そう
何より
血だらけの貴方。


これは幼い僕が父を想った霞んだ記憶と
優しい記憶。

夜空の星に

夜空に貴方を見る。
この空は繋がってるとかいつでも逢えるとか飾った言葉、僕は要らない。

夜空に瞬く星々に貴方を重ねた。

生温い缶コーヒーは
馬鹿馬鹿しいほど不味くて

帰った家に貴方はいなくて

嗚呼、
本当に馬鹿馬鹿しい。

瞳を閉じて明日は日曜日。

瞳を閉じて明日が来る。

嗚呼、
本当に

馬鹿馬鹿しい。

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