破綻した立場主義社会でどう生きていくか

Kindle Unlimitedで無料だったので読んでみることにした
このnoteはその感想文である
中身の割に本のネーミングセンスが正直微妙かなって思ったのが本音
簡単に説明すると、この本は価値を生み出さないどころか、責任を負わずに甘い蜜を吸い続けるだけの権威者がよく使う詭弁についてまとめた本である

この本によると、権威者は立場を意識して詭弁を組み立てるそうだ
また、「立場」とは組織のなかで、自分の自由意思とは関係なく、与えられた「役」を忠実に果たせば守られるものとされている

私は日本で人権よりも重視されている「立場」を一種の呪いとして見ている

当然のことではあるが、景気にも波があり、技術や流行も移り変わっていくものだ
その波を乗りこなす必要があるのにもかかわらず、得られた立場に縋りつきたい人は少なくない
甘い蜜を知ってしまった人ほどそうだと考えてしまいたいが、実際はそれだけではない

立場の高い者であれ低い者であれ、長らく立場社会に慣れてしまった人は少なからず感受性が麻痺してしまう
それは心理学的ホメオスタシスや人が認知的不協和に耐えられないからだと私は考える
現実より認識を変える方が容易いのだ

そして残酷にも立場を守るための詭弁を使った感受性の低い権威者のツケを払うのは立場の低いものである
権威者が信じた幸せ像などを後世の人が守り続けることによって、自分の立場が守られるようにしている部分が大きい

彼らによって都合よく作られた基準や理想は立場の低いであろう自分の生きている世の中や自分にとってハイコストローリターンである可能性がある
まさに呪いだ

長く続く立場主義によってもたらされた価値観やシステムは破綻しているが、人の立場を重んじることに合理的要素を見出している人間が多い限りは、立場主義が完全な終焉を迎えることはまだないだろうと考えている
つまり、私たちは破綻したシステムの中で自分がどうしたいかを意識して生き抜かなければならない
もしくは破綻したシステムの終焉に向かう過渡期という大変な状況下で生き抜く必要がある

本書では自分にとって意味のない忖度からの余計な仕事を押し付けられたりしないようにするには、詭弁への嘲笑する風潮を作ることと詭弁をそのまま実行することだと語られている

私はその手段以外にもたくさんの立場を持つことと立場を流動的に経験することが大事だと思っている
数多の立場を持ったり、変わったりすることで立場がなくなることへの恐怖を軽くすることができるのだと考えたからだ
なにより立場が奪われようと経験を奪うことはできないし、幸いにも自分の経験がコンテンツ化しやすい世の中になってきている

実際、詭弁の実行には制約などの限界があったり集団での嘲笑にいたっては負の感情がベースになっているためにやり過ぎてしまう可能性がある以上は気持ちよく過ごすのは難しい

ニートになったウケるくらいの感覚で立場について軽く考えられるだけの価値観を個人で持つことが破綻した立場主義システムの中で気持ちよく過ごす秘訣かもしれない
悪く言えばこれも現実を変えるより認識を変えるほうが楽という理由なのだけど




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