アジリティの高い組織を実現するための方法を考える
はじめに
これまでいくつかの組織でマネージメントを経験し、自身の体験を踏まえて、今後どのような組織を作っていきたいかを独断と偏見でまとめてみました。
ずっと頭の中では漠然と考えていたものの、テーマがあまりに膨大で整理しきれずにいました。
そこで、まずは思いつくことを図式化しながら書き出してみることにしました。
これまでのエンジニア人生の一区切りとして、自身の考えを総括するのもいいかなと思い、重い腰を上げて様々な考えを書き出して行きます。
もちろん、これが自分自身のプレゼンス向上にもつながればいいなと思います。
注意点
ここで検討する内容は、個人の見解として、完全に独断と偏見で書いたものです。
自分自身が今度何をしていきたいか、をまとめているので、特定の団体や組織とは一切関係ありません。
テーマとしては抽象度の高いので、具体的な話があまりでないかもしれません。(特に今回は)
取り扱うテーマ
「開発組織の組織強化」について掘り下げていきます。
テーマが広大すぎるため、複数回に分けてまとめていきます。(数ヶ月のスパンになりそう…でもスライドにまとめるのは楽しい)
アウトラインは以下の通りです:
第1回:目指す理想の組織を考える(←イマココ)
第2回:評価・育成について考える
第3回:カルチャーの醸成について考える
第4回:採用について考える
各テーマが重厚で今から身が引き締まる思いですが、抽象的な議論ではなく、「具体的にどんな施策を実行すべきか?」という視点で、実践的なアイデアを書き出していこうと思います。
スライドを中心に、各トピックを補足説明しながら進めていきます。
では、早速始めましょう。
本ページで使用しているスライド
目指す理想の組織とは?
まずは目指したい組織の姿を考えてみます。
私が目指したい開発組織は、「アジリティの高い組織」です。
ベタな表現かもしれませんが、やはりこれが目指すべき姿だと考えます。
では「アジリティの高い組織」とは具体的にどのような組織なのか?
思いつくものを書き出し、ChatGPTの助けも借りて整理したところ、おおよそ3つのカテゴリーに分類できました。
自律性と柔軟性
これこそが、アジリティの高い組織を最も体現するものだと考えます。
自ら考え、判断し、実行するというサイクルが実現できれば、開発、改善、イノベーションなど、あらゆるサイクルが加速度的に向上するのは想像に難くありません。
さらに、判断速度が上がれば、予測外の事態にも臨機応変に対応できるようになり、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代を生き抜ける組織になるかと思います。
継続的な改善とイノベーション
自律性と柔軟性に依存していますが、メンバーのこれらの能力が高いと、課題の発見から解決まで、改善サイクルが加速します。
データ基盤が整っていれば、さらに高速化が可能です。
また、失敗を恐れずに試行錯誤できる心理的安全性が担保された環境では、イノベーションが生まれやすくなります。
クロスファンクショナルなチーム
必要な情報が適切な範囲で共有され、効果的に活用できる環境や、部門間の協力が自発的に行われる環境は、継続的な改善とイノベーションを促進します。
各メンバーが専門性を持ち寄り、活発な意見交換を行うことで、課題解決に向けて多角的なアプローチが可能となります。
さらに、部門の利害にとらわれず、全社的な視点で全体最適化を図ることができるようになります。
ということで、アジリティの組織を作ることは、持続可能な事業成長を実現できる組織になる、ということになります。
アジリティの高い組織になるための目標
では、アジリティの高い組織になるには(前述の3つのカテゴリを実現するには)、なにをすればよいのでしょうか?
私なりに実現のための4つの目標を立ててみました。
この4つの目標(状態)を目指してアジリティの高い組織を目指します。
ビジョンへの共感
MVVやプロダクト・プロジェクトの目標、ビジョン、ロードマップなどを理解し、共感できている状態です。
特に、プロダクトやプロジェクトに対して「なぜやるのか?」「何のためにやるのか?」が腹落ちしていない状態で開発を行うと、大抵良いプロダクトは生まれません。
結果として失敗に終わるケースが多いのは、皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
ボトムアップの文化
メンバーがチームや組織(経営を含む)に対して意見や提案を行い、それらが積極的に検討・採用される仕組みがあると、メンバーの参加意識と貢献意欲が向上すると考えます。
また、失敗を恐れずにチャレンジできる環境と、常に前向きな文化があれば、メンバーは自発的に試行錯誤し、課題解決へ取り組むようになります。
デリゲーションとオープンコミュニケーション
適切な権限委譲が行われ、意思決定に必要な情報が共有され、いつでも参照可能な状態は、メンバーの意思決定や判断における心理的安全性を高めます。
「安心して自分の意志で判断していい」という環境を作ることが、将来のリーダー育成にもつながると考えます。
自律性の担保と自己組織化の促進
アジャイルソフトウェア開発の12の原則の1つに「最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出される」とあります。
自律性を担保し、チームの自己組織化を促すことで、チームは自ら目的や目標を設定し、その達成に向けてリソースや役割を調整し、問題解決や改善に主体的に取り組むようになります。
さらに、この4つの目標を実現するには、どうすればよいかを考えました。
結論としては、「エンゲージメントの向上」を行うことがよいのではないか、と考えました。
エンゲージメントが高いメンバーは、組織のビジョンに共感し、積極的に改善提案や新しいアプローチを自発的に行ってくれるからです。
エンゲージメントの向上とは?
では、エンゲージメントの向上とは?どうすればよいのでしょうか?
ということで、エンゲージメントの向上、と一言でいっても、要素はあまりにも広すぎるので、ざっと6つの要素で定義してみました。
これら6つの要素それぞれを向上させる施策を考えていくことが重要です。
要素間には依存関係があるため、複数の要素にまたがる施策も出てくると思います。
さらに、先ほどの4つの目標と、この6つの要素を関連付けてみました。
このカテゴライズは主観的なものであり、様々な意見があると思います。
抽象度が高く、正解のない話題ですので、皆さんそれぞれの考えでカテゴライズするのが良いかと思います。
エンゲージメントの向上と組織強化を考える
エンゲージメントの向上の6つの要素で色々施策を考えてもいいのですが、要素間の結合度も高く、複数の要素を1つの実行単位で実行できると管理しやすくなりそうです。
ということで、「組織強化」という視点でカテゴライズを試してみます。
抽象度の高い者同士なので、もはやどういう世界線になるのかわかりませんが、やってみます。
組織強化というテーマも、無限に広がる大宇宙のようなものなので、ヤマトの波動エンジンがないとイスカンダルに辿り着くことができません。
というわけで、「カルチャーの醸成」「評価・育成」「採用」と3つの要素に分けて考えることにしました。
つまり、実行計画を立てる上で、
みたいな会話をしたいと目論んでいます。
ちなみに若干、蛇足的な内容ですが、上記の組織強化の3つの要素の関係性も考えてみました。
この図の通り、それぞれ独立しているわけではなく、相互で補完関係にあると考えます。
エンゲージメント向上の要素を、組織強化の要素に結びつけると、もう少し具体的に施策を考えられそうです。
ということで、組織強化の要素とエンゲージメント向上の要素を紐づけてみます。
こちらも、主観でカテゴライズしているので、色々な意見があると思います。
刻が見えるニュータイプの方は、もっと違う見え方や考え方になるかと思います。
まとめ
色々と発散しすぎたので、まとめることが難しいのですが、まとめます。
文章でまとめると、
「持続可能な事業成長」 を実現するため 「アジリティの高い組織」 を構築する。
「アジリティの高い組織」の構築は、「ビジョンへの共感」「ボトムアップの文化」「デリゲーションとオープンコミュニケーション」「自律性の担保と自己組織化の促進」 という4つの目標を設定する。
4つの目標達成のため、「エンゲージメント」を向上させる施策を実行する。
「エンゲージメント」を向上させる施策は、「職務満足度」「成長の機会」「組織の文化」「目的と意義」「自主性と裁量権」「報酬と待遇」 の6つの要素を強化する目的で検討・実行される。
その6つの要素は 「評価・育成」「カルチャーの醸成」「採用」 の3つのカテゴリでカテゴライズされ、カテゴリ単位で施策は検討・実行される。
という感じでしょうか。
一応、図式化したものも作ってみました。
今後はカルチャーの醸成、評価・育成、採用の3つのカテゴリで施策を考えていきます、という宣言をして終わりになります。
(まとまってない…)
次回は、「評価・育成」について深堀りして考えていきたいと思います。
おそらく次回以降は、施策レベルのお話も組み込む予定なので、もう少し具体的な内容になると思います。
※「4つの目標」と「エンゲージメント向上の6つの要素」と「組織強化の3つの要素」を紐づけた表を作成してAppendixとしてスライドに入れてあります。