【赤道 星降る夜】古内一絵
終戦間近のインドネシア ボルネオ島が舞台の物語。
主人公の達希が勤務先の企業から粉飾の責任を負わされ多額の借金を背負い飛び降り自殺を図る。
しかし15年前に亡くなった祖父の幽霊に助けられる。
祖父は『ある女性を一緒に探すこと』を条件に借金の肩代わりを提案する。
祖父の幽霊とボルネオ島への旅が始まるのだが・・・
祖父が従軍していたボルネオ島での戦時中の描写は目を背けたくなるほど悲惨だ。
こんな悲劇が現実に起こっていたということがとても信じられないし、それを思うと言葉が出てこなくなる。
10代のまだ若い少年たちが国のため、家族のためにと自ら志願して戦地へ行く。
戦争と聞くと遠い昔の話だと思うが、たった77年前に起きていた現実の悲劇なのだ。
今まで戦争のことを深く考えたことはなかったけれど、この作品を読んで戦争は決して忘れてはいけないことだと強く思ったし、もっと学びたいと思った。
なぜなら私たちが今、平和に暮らしているのは彼らの存在があったからだ。
彼らは自分の命を犠牲にしてまでも自分の国を愛し、なぜこんなにも強く心を持てたのだろう。
生まれてくる時代が違うだけでも人の人生はこんなにも変わってしまう。
今の平和な現代に生まれただけでも幸せなことだし感謝しなければいけない奇跡だと気付きました。
そして毎日をもっと大切に生きようと思わせてくれる作品です。