noteの街のセラピー犬。#209【司書編】読んだ本の感想をnoteに書いてみませんか?だから読書感想文を書いてみた。
記事を書こうと思いました。
すると「読んだ本の感想をnoteに書いてみませんか?」というメッセージが…。
はい、わかりました。
本の感想を書きます。
『海のアトリエ』堀川理万子 著 偕成社
6月のある昼休みのことである。
フリースペース教室のI先生が来室。
司書が「何冊でも、何か月でも貸出します」と、お決まりの図書館サービスで、先生との距離を縮める。
I先生が、カウンターに絵本を20冊程おき「貸出お願いします」と笑顔で挨拶された。
14ひきのシリーズ、草花図鑑、昔話の本…。
仕事柄、貸出される本が気になる。
貸出入力しながら、つい、本のタイトルに目がいく、そして、その人柄を読んでいる。
選ばれた本に「いい本選ぶなあ」と心の中で感動する。
『海のアトリエ』には、「えかきさん」と呼んでいる女性と小学生の「わたし」が過ごした夏休みの思い出が綴られている。
えかきさんは、いつだって、わたしを❝こどもあつかいしない❞大人だ。
わたしが初めてえかきさんのアトリエに来た夜には、ワイングラスで乾杯をしてくれた。中身は、スイカの香りのするお水が入っている。実にお洒落だ。
この台詞は、小学生のわたしが、おばあちゃんになってから、孫に語った言葉である。そこで、孫は、おばあちゃんが英語の先生になった理由に納得がいく。
絵本 ページの見開きには、11段の本棚があり、びっしりと本が並んでいた。察するに、これらの本は、0が5ケタ位の高価なものに違いない。それを躊躇なく読んでいいとは!
小学校の図書室には、禁帯出の本がある。通常は貸出はしない。しかし、禁帯出本を借りたい児童は意外と多い。司書からいくつもの注意事項を約束され、守るということであれば特別貸出される。厳しい図書室。えかきさんのように、心広く「どれを借りてもいいのよ」と、言ってみたいものである。
❝こどもあつかいしない❞大人。
実は、司書も幼少のころに、❝こどもあつかいしない❞大人に、出会ったことがある。そして、そんな大人になりたいと憧れたはずなのに…。いつの頃からだろう。そんな憧れとは正反対に、人生の半分まで来てしまった。
自分を振り返れば、幼かった時分に嫌いだった大人たちになっていたりしないだろうか?
フリースペース教室のI先生は、教室の児童の顔を一人ひとり思い浮かべながら選書していた。選ばれた本は、教室で一緒に本の世界を楽しもうとするワクワク感が伝わってきた。躾やお説教じみた本ではない。まさに、えかきさんの本棚を思わせる。I先生とえかきさんが繋がった。読後は、同じ空気をI先生とえかきさん感じるのである。
果たして、司書もその仲間入りができるのか?
「加わりたい」
規則に従い、道に逸れることなく、日々決められた些細な事を、ひたすら熟していく日常で、ふと、子どもの頃に約束した小さな憧れを思い出した。
えかきさん、ありがとう。
子どもたちは、これから、様々な大人たちと出会うだろう。
司書は子どもたちへ本を手渡す。「この本のこと、ずっと覚えていたい」と思えるような、子どもたちにとってのだいじな人になれたなら…。
『海のアトリエ』が、私の本棚にある限り、これからは「こどもあつかいしない大人」を忘れないはずだ。人生100年時代。自らの進むべき道、道標となった一冊である。
本日も読んで頂き誠にありがとうございました。
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