躍動感のある動物ドローイングと不登校
フリースクールの美術講師をしていた時のこと、
進学校に入学するも、不登校になってしまった女の子がいました。
どちらかというと、お母さんの方が不安でいらしたようで、
長く話していかれたものです。
彼女は、たまに来て一緒に絵を描きますが、
どちらかというと、絵よりも、
辿々しい口調で、お話をしに来てくれたように思えました。
話し終えると、満足そうに帰ります。
動物が大好きで、
動物が主役の物語について、2時間ほど話してくれます。
とてもいい笑顔で、大好きな狼や、その他の動物について。
そのうちに、ぽつりぽつりと、
自分の話をしてくれるようになりました。
「私、高校2年生までがんばりました。
3年分の勉強を全部して、燃え尽きてしまった・・・。
体が、いうことを聞かないんです。
朝、起きられない。
頭ではわかるんです。
でも、起き上がれないんです・・・。」
真面目で几帳面な彼女は、
与えられたことをきっちりこなして、
いっぱいいっぱいになっても、
助けを求めることができなかったのです。
フリースクールも、調子が悪いと休みが続きます。
思いついて、この本を渡してみました。
私が大学時代に、ボロボロになって図書館にあった本です。
長いこと本屋では見つけられず、図書館で全てをコピーした本が、
手に入るようになっていました。(下にご紹介しています。)
生き生きとした動物たち。
躍動感のあるドローイングの本です。
この本を渡した時の、彼女の明るい表情が忘れられません。
「いいんですか?お借りしたいです!」
そう言って、家で描いたものを持ってきてくれるようになりました。
好きなことを無心になってできること。
愛情を込めて動物を描くこと。
彼女にとって、安らぐひとときだったようです。
動物と共に、楽しそうに動いている気持ちになれたら、
それだけで心に弾みが出来そうです。
途中で遠くに引っ越してしまいましたが、
お母さんからのご連絡で、
「先生に会いたいと言っています。会ってもらえませんか?」
と、一度連絡をいただきました。
しかし、当日具合が悪くなったようで、会うことはできませんでした。
狼・・・。
アートセラピーやドリームセラピーのシンボルとしては、
満たされない欲求、心の平安と幸福を奪うもの、とありますが、
同時に、
『内面から溢れるもので心を満たしましょう。
あなたの個性を、慎んで受け取ってください。』
という意味もあるようです。
孤独な彼女が、夜の世界でそっと静かにしていたかったのを知る私は、
会ってお話ししたかったなと思います。
今なら、スカイプでもZoomでも、顔を見ることができるのに・・・。
お子様の学校での不安などあれば、
自由画をご一緒に送っていただけましたら、
それについてお話しできます。
風景構成法でのお試しも。
Arttherapylourdes827@gmail.com