
【読了】 安堂ホセ 「ジャクソンひとり」
安堂ホセ「ジャクソンひとり」
「ほんタメ」で紹介されていた本。
ジャクソンの服に仕込まれたQRコードは、彼によく似たブラックMIXのポルノ動画に繋がっていた。誤解を解くこともできず、彼は自転車で公園の奥のホテルを目指す。
パッと見てわかる他との違いは、相手の個人的な特徴を把握しづらくするのかもしれない。
日本人であっても外見的にそう思われないひとは増えてきているように思うけど、実際の知り合いでなければきっと見た目で海外の方かなと判断してしまう。
同じであるとすることは、同時に違いを内包していて、けれどもそれは外から見るだけではわからない。
個であること、個になること。
ちゃんと相手を見れているのか考えてしまう本でした。
…なんて真面目に書いてみたけど、さらりと軽やかな筆致で読みやすく小難しいこともなく、とても面白かったです。
ただ、これを面白かった、で消費しないようにしたいなとも思う。
(20240302投稿文の再掲)
・第59回 文藝賞