【読了】古谷田奈月「星の民のクリスマス」
古谷田奈月「星の民のクリスマス」
タイトルと装丁がきになった本。
幼い娘にねだられて、歴史小説家は「娘のための本」を書き上げた。その本は娘の支えとなったが、ある夜、彼女は孤独感から家を出た。
ファンタジックなタイトルと裏腹にシリアスな導入と、雪道で倒れた娘が拾われてからの暮らしの話は趣がかなり異なっていて、章ごとにとても新鮮でした。
名前を持たない人々が暮らす町はおとぎ話のようでいてしっかり生臭いものもあり、素直だったり屈折していたりもする人の想いには、それでも本当の部分が確かにあると感じられました。
優しいばかりではないけれど、不思議であたたかく少し厳しい作品でした。
(20240505投稿文の再掲)
・第25回 日本ファンタジーノベル大賞