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奪われないクリスマスプレゼント



私が子供の頃、クリスマスのプレゼントの一つは、
ミュージカルのチケット。
今思い出しても、当時、どんなおもちゃを持っていたかよりは、
何の舞台を見たかという経験を通しての思い出の方が何十年経っても
鮮明に覚えている。

そして、子供時代、何一つ不自由なく育ててもらい、その中でも本に関しては、私が欲しいという本は全て買って貰えた。
小学生で、江戸川乱歩とアガサクリスティーを読破。
今思えば、あの年齢でこの本を選ぶところが、また面白い。

その影響で当時の夢は探偵になること。
あの時、自分がその舞台の国に住むなんて誰が想像できたのか。

今振り返ると、子供時代から誰にも奪うことのできない
思い出や経験、そして知識と知恵という名のプレゼントを
沢山与えられてきた。

物質的な物は、いずれ古くなったり、壊れてしまう。誰かに奪われてしまうかもしれない。

だけど、いつでも自分を通して私の中に
ある宝物は何年、何十年経っても色褪せない。


そして、この恒例行事を自分の息子にも受け継ぎ、舞台を今年も彼と観に行く。
そんな忘れられない愛が詰まった毎年のクリスマスが私は大好き。

子供の頃に貰うことが、当たり前だったクリスマスも
大人になって、今は誰かに与える側になれた。
誰かの喜ぶ顔を想像しながら選ぶプレゼントは
私にとってもその時間がプレゼントでもある。

人間の幸せを感じる瞬間は、貰うよりも誰かに何かを提供できているとき。その人が喜んでくれた時。誰かの役に立っていると感じる時。

それが、人間の本質なんだと思う。

今年も沢山の笑顔が溢れますように。


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