『マネタイズ』へ挑むVTuberへの道標
YouTubeクリエイターというものは、ほんの僅かの最上位層や事務所・法人運営のチャンネルを除いて資金力が不足している。そう、マジで金がほしい。
それは楽をしたいからではなく、何よりも活動の幅と表現の力を得たいためなのが殆どだ。
最高のシネマカメラを持って収録や編集の仕事をしていてもなお被雇用者として労働を並行するルミナスタジオを見ればすぐわかることだとは思う。
ただそのおかげもあってか、映像制作においては対法人・官公庁業務実績を得ることができ、『兼業である内は』安定して新しいチャレンジを続けることができるようになった。
…………が、やはり映像制作単独で生きていくのは難しい。
実際労働(実質本業)による収入と映像制作・クリエイター・ファンクラブ系収入の割合は7:3ほどで、その割合を引き上げるためには多くの体力と時間の犠牲が必要になってしまう。
すべて単独で、かつフリーランスとして運用しながらYouTube一本だけで活動を継続できているVTuberはまさに尊敬に値するレベルだと個人的には思う。
それはVTuber製作者自身のプロデュース力・ディレクション力・脚本力の三点がものすごく高いということであり、自分が膝をつくほどだ。
シャボン玉に膝なんて無いが!!!!!
こういった、最初からすべて企画力だけでゴリ押しして資金や予算を得ることは、絶対と言ってもいいレベルで困難というか修羅の道でもある。
そのため、早くもレッドオーシャンとなってしまったバーチャルYouTuber、またはリアルYouTuberの道を歩むのであれば、『YouTube以外の』マネタイズ経路をしっかり確保しておく必要がある。
そして、それをどれか一本に絞ろうとしないことだ。
昔のクラウドファンディングは複数経路を持つと分散しすぎて目標達成は困難になるといわれていたが、今のマネタイズはクラウドファンディングだけじゃない。
単発で投げ銭を得る方法だけでなく、継続的にファンから投げ銭を得る『サブスクリプション型』ファンディングも存在している。しかも多数の形態で、だ。
ここで、これからVTuberを始める人、または資金を集めることに苦戦しているVTuberのために、ルミナスタジオがこれまで運用してきたマネタイズサービスと特徴を紹介していこう。
●YouTubeパートナーシップ(YPP)
おすすめ度:★★☆☆☆
ご存知……というかほとんどのVTuberがチャンネル登録1,000人以上を目指しているであろうYouTubeパートナーシップ。
年間再生数4,000時間という条件も必要ではあるが、ここに到達することでようやく投稿する動画やライブストリーミングに広告を掲載することができる。
そのほか『スポンサーシップ』という機能も存在しており、チャンネル自体にサブスクリプション契約を行うことで限定の絵文字やバッジが提供されるサービスもある。これは実質Twitchのパクr……参考にした機能だ。
ただこれを使うことができるのは、さらに先の道を進む必要があり、基準は一部を除いて『チャンネル登録30,000人』以上だ。
すぐに使えるといったようなものではないのは明白で、しばらくは気にすることもないだろう。
ただ、いざ広告が掲載できるようになったとしても、よく言われる『1再生平均○○円』といった単純な計算ではないことは掲載が始まるとすぐにわかるはずだ。
広告主がGoogle Adwardsで出す予算から出されるオークション広告や、チャンネル規模やジャンルなどの需要によって決定される広告の種類・数によって得られる収益は大きく変わる。
つまり、マルチジャンルに長けていたとしてもチャンネル規模が小さければ頻繁に広告は出ないし、特定のジャンルに特化していてもその需要に関連するものしか出てこない。
Googleの自動広告オークション機能は非常に賢い。
そのため、現時点でのVTuberにとってYPPは副収入程度にしかならないという現実を、契約を結んだ後に気づくことだろう。
●CAMPFIREファンクラブ
おすすめ度:★★☆☆☆
CAMPFIREはクラウドファンディングだけでなく、サブスクリプション型の『CAMPFIREファンクラブ』といった調達方式も存在している。
ルミナスタジオも現在こちらでファンクラブを掲載しており、既に2年半以上が経つ。
一般クラウドファンディングのシステムを一部流用してはいるものの、思い立ったら即プロジェクトページを作成することができ、そして仕上がった後に審査・完了後に公開することができるようになる。
2016年に始まった本サービスは、どちらかというとサブスクリプション型マネタイズとしては比較的老舗のほう(クラウドファンディングサービスとしても老舗)で、現時点で様々な機能改善を推し進めるなど、成長が期待できるファンクラブ作成機能だ。
ただ、直近で作成されているファンクラブの大半が『オンラインサロン』に分類されていることが少々気になる点ではある。
オンラインサロンとは、言い換えれば月会費制のクローズドコミュニティでCAMPFIREでも多くの各界での著名人が月会費制のコミュニティを作成している。
リターンを設定するというより、その人と非公開なトークをすることができるという点がそもそものリターンではある。
しかしこれを運用するには、自分自身に分相応の功徳や実績・知名度などが必要であり、これを狙いで作成するにはVTuberコミュニティが相当に成長した時でなければ、サロンの参加者が増えることはまず無いかもしれない。(もちろん設定金額にもよるかもしれないが)
ルミナスタジオはこのオンラインサロン制を少々忌避しており、やるからにはリターンを設定したいタイプである。
そのため、『ルミナスタジオ一番いいファンクラブ』では参加した金額に応じたリターンが、条件を満たした際に提供されるシステムを採用している。
ぜひプロジェクトページを見ていただき、どういうシステムで運用しているかをチェックしてみてほしい。
https://camp-fire.jp/projects/view/9856
●Fantia(ファンティア)
おすすめ度:★★★☆☆
CAMPFIREファンクラブやEntyを追って、株式会社虎の穴(とらのあな)が参入したファンクラブサービス。
ルミナスタジオはここでも『ルミナスタジオ一番いいファンクラブ別館』を設け、決済手段の都合上CAMPFIRE側で参加できないパトロン様のためにこちらでも同様のリターンで運営を行なっている。
同人誌ショップの大手が運営しているだけあって、各種同人作品や製品販売など、副次機能が豊富でもともと同人サークルをやっていたり別途作品を制作していたりする人の場合は多くの手を打つことができる。
リターンの設定も各記事の中に支援金額単位でアンロックさせる部分を設定できたりと、ページ単位でのシステム設定が豊富。
さらに現行のファンクラブサービスの中では最も手数料が安く(4%:2019年5月現在)クリエイターへ入る収益の割合が最も多いのが特徴だ。
しかしたくさんの機能や副次サービス・キャンペーンを盛り込んでしまった結果、ユーザーインターフェースが煩雑になってしまい、参加しようとする側もオーナーもコンテンツ制作のレイアウトやリターン設定・各個ファンへの特殊な通知などを実施する際に操作がわかりにくいなどの欠点がある。
最近は(ようやく)ブログ機能が試験実装されたものの、トップページで目一杯に入ってくるたくさんの情報量を見るとそこでクリエイターのページへ向かう前に直帰してしまう可能性があることは否めないのではないだろうか。
●PIXIV FANBOX
おすすめ度:★★★★☆
名前の通り、pixivもファンクラブ機能に参入したのだが、当初は絵描きのためのファンクラブサービスだった。
現在はより多くのクリエイターのために使うことができるようになり、VR系の個人クリエイターやエンジニアも利用しているケースが多い。
類似サービスのFantiaと比べるとユーザーインターフェースがシンプルでわかりやすく、真っ先にブログスタイルの記事投稿ができるようになっていた。
Fantiaとの大きな違いは、ファンクラブサービスなのに『クリエイター優待』サービスが存在していることだ。
オフィスチェアやデバイス・ソフトウェアが(条件はあるものの)優待価格で入手できたりと、お金を投げるファン以上にクリエイターに寄り添ったサービスを提供している。
ただし、Fantiaは一度の投稿で支援金額に応じたコンテンツのアンロックを設定できた一方、FANBOXはそれができない。
個別に記事投稿が必要になってしまうため、一度の投稿で複数回のアップロードを求められてしまうということになってしまう。
投稿時に煩雑な作業を求められてしまいがちだが、現行でファンクラブサービスを作成するのであればPIXIV FANBOXが一番安定していることは間違いない。
ルミナスタジオもFantiaから移転したいぐらいだ。
●polca / polca Life
おすすめ度:★★★★★
こちらもCAMPFIREが運営しているクラウドファンディングおよびファンクラブサービスではあるが、こちらは意図的に規模を小さくすることで『誰でも手軽に・気軽に』マネタイズができるようにすることを目的にしたサービスだ。
クラウドファンディングを行う場合は500円〜300,000円までの間で資金調達ができるほか、『一つの目標』と『一つのリターン』を設定するだけですぐにクラウドファンディングを始めることができる。
活動報告もタイムライン式の投稿で、Twitterを嗜んでいる人であればすぐに理解できる機能だ。
ルミナスタジオでは手軽にすぐ始めれることから、これを『マイクロクラウドファンディング』と呼ぶことにした。
さらに2019年4月より『polca Life』という、まさに命名『マイクロファンクラブ』ともいえるような機能まで実装しだした。
これによりVTuberのマネタイズ経路の入口は劇的に広くなったと言っても過言では無いレベルで、だ。
これはpolcaのユーザー自身に50円から支援を行い、単発かサブスクリプション式かを選択することができる設計になっており、さらにはその機能が最初から有効になっている。
つまりアカウントを作成した時点で、問答無用で支援を受け付ける状態になっているわけだ。
VTuberの中には『資金が欲しいけどどうやってやればいいか分からない』『人様からお金を受け取るなんて……』といったネガティブなリアクションをとる者も多い。
だがpolca Lifeはそんなもの御構い無しに支援可能状態からスタートするので、推しのファンたちはそういった弱気のVTuberに『応援を受ける喜び』を教え込ませることができるわけだ。まるで性のよろk(ry
支援可能金額は50円・300円・500円・1000円の4種類。
先述の通り、一度だけ支援することも月額で支援することもできる。
一度に巨額の支援をされると、未知の体験にSAN値が下がってしまいかねない人もいるため、この金額設定はじつに良心的だろう。
俺としてはこのpolcaをガチで推していきたいところで、どうかVTuber各位は軽率にこのpolcaを活用してもらいたい。なんなら俺が前例になってやる。
なったわ。
polca Lifeの趣旨を汲み取った結果、『プロジェクトではなく人に』支援するというスタンスを取っていると感じたため、こちらでは俺、輝鳴紅葉としてページを作ってみている。
このように、プロジェクトを作ることなく『人に』支援ができるpolca Lifeの機能はかなり優秀だ。
支援を受けることに慣れていないVTuberには、なんとかこのpolcaのアカウントを作成してページを公開するところまで頑張っていただいて、支援を受ける驚きと感動を知っていただきたい。
すべてのマネタイズ作戦は、そこから始まるのだ。
あ、俺のpolca Lifeページでぜひ応援していただけるとマジで助かります。
集まった資金は北海道の各種遠征予算のプールにさせていただき、支援してくれた方には『未使用写真も含めた』iPhoneでの現地写真を共有できるようにしておいています。
どのようにpolcaを使うのかも含め、ぜひご参考かつご支援いただけると幸いです。