はじめての西洋美術 後期印象派01
こんにちは!今年の梅雨はしとしと降る雨ではなく、台風並みの豪雨で、なにか地球の悲鳴を感じる気がします。。
さて、今回からは、ポスト印象派といわれている後期印象派の画家を紹介していこうと思います!
後期印象派は1880年〜1890年にかけて活動し、印象派を超える新たな芸術を模索した画家たちのことを指しています。
印象派は共通の理想を持っていましたが、この時期の芸術への考え方や追求した技術は、それぞれ画家によって本当にさまざまです。その代表として、ゴーガン(ゴーギャン)、ゴッホ、セザンヌなどが挙げられます。
この時期の多様な表現は、20世紀の芸術にとても大きな影響を与えました。
ではまず、ゴーガンについて詳しく紹介していきます。
西洋文明の発展が進む社会に対し、ゴーガンはプリミティブな(原始的な)世界に理想を見出していました。そのため、昔ながらの文化が残るフランスのブルターニュ地方を好み、晩年は南太平洋のタヒチに移住をします。
今までの印象派は、光を多く取り込み、見たままの光景を描く作品が多くありましたが、ゴーガンはそれだけでは満足せず、カンヴァスの中で実在の風景と空想の世界を同時に展開する「総合主義(サンテティズム)」を打ち出しました。
空想の世界、すなわち架空のモチーフのもとになったのは、ゴーガンが問わずに観察した歴史的な美術品群です。その一例がこちらの「説教のあとの幻影(ヤコブと天使の戦い)」です。↓
この絵は、旧約聖書の「ヤコブと天使の戦い」という説教を聞いた婦人たちが、その幻想を見る様子が描かれています。右上に描かれているのがヤコブと天使で、なんとあの葛飾北斎の絵からポーズが借用されているそうです。
また、ゴーガンの絵には、象徴的な意味も込め、作品にメッセージ性をもたせたものもあります。
その一例が「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」というゴーガンの南国タヒチで描いた代表的な作品です↓
右端から赤ん坊、成人、老婆を配し、人の一生を段階的に描いています。老婆の足元にいる奇妙な白い鳥は言葉がいかに無力なものか(言葉の虚しさ)ということを物語っているそうです。この絵をかいたのち、ゴーガンは自殺未遂をしており、この絵がゴーガンの世界観や死生観を表したものではないかとされています。
このようなゴーガンの独特の世界観は、独特な色彩表現によって意味深さが際立たされています。この色彩表現に関してはのちに受け継がれた時代で詳しく解説したいと思います。
ゴーガンの奇妙かつメッセージ性の高い作品は、見ている人に考えさせられるものが多いです。。
ではまた次回!