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同調率99%の少女14~24

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那珂が主人公のオリジナル小説。 鎮守府Aの物語 14~24巻分まで
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#小説

同調率99%の少女(24) :ex3 那珂:ステージ後

同調率99%の少女(24) :ex3 那珂:ステージ後

# ex3 那珂:ステージ後

 拍手鳴り止まない中、司会者に促された那珂らは席を立ちステージ下手に退場した。会場では司会者の二人による本当の締めの言葉が続いていた。先に戻った那珂たちを待っていたのは、妙高と鹿島そしてスタッフらだった。

「ご苦労様です、皆さん。よく頑張りましたね。」と妙高。
「お疲れ様です、霧島さん、夕張さん。私ハラハラしちゃいました。」鹿島は若干の嬌声で自分の鎮守府の二人に抱

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同調率99%の少女(24) :ex2 那珂:初めてのテレビ出演

同調率99%の少女(24) :ex2 那珂:初めてのテレビ出演

# ex2 那珂:初めてのテレビ出演

「それでは登場していただきましょう。艦娘の皆さん、どうぞ~~!」

 多大な拍手と歓声の嵐の中、霧島を先頭に並び直して三人はステージへと上がった。
 霧島と夕張の後に那珂は続く。実のところ不安による緊張で足が震えていた。人前に立つ者として、わずかな不安をステージを見ている人に悟らせてはいけない。那珂はただひたすらそう堅く思いこむが思えば思うほど、心臓の鼓動が

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同調率99%の少女(24) :ex1 那珂:第一歩

同調率99%の少女(24) :ex1 那珂:第一歩

※本エピソードは前話「祭りの終わり」の冒頭から派生するお話です。原作ゲームでは艦隊のアイドルを称する彼女が、拙作世界観ではこうしてアイドルになる!?というエピソード群であります。

# ex1 那珂:第一歩

 旅館での朝食の席、提督代理の妙高が最終日の予定を告げる。ミニイベントの参加を暗に指示されたが、果たして誰が参加することになるのか疑問に感じてワイワイとざわめく。

「そんなこと当日の朝に言

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同調率99%の少女(24) :祭りの終わり

同調率99%の少女(24) :祭りの終わり

# 7 祭りの終わり

 祭りも最終日。この日は15時に本部庁舎前広場で閉幕式が行われる。それまで艦娘達は基本自由時間だ。とはいえこの祭りの主役は艦娘と海上自衛隊。最終日も艦娘が出演するミニイベントは残っている。神奈川第一から数名は、この日もミニイベントのため指示された会場に赴いて働いていた。

 規模の関係上、主体は神奈川第一だが、名目上は神奈川第一と鎮守府Aの共催という形のため、あるミニイベン

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同調率99%の少女(24) :幕間:川内型は想う

同調率99%の少女(24) :幕間:川内型は想う

# 6 幕間:川内型は想う

 翌日。ふと目を覚ました那珂は、隣に寝ていたはずの川内がいないことに気づき、部屋を見渡した。神通はもちろん五十鈴、妙高ら全員まだ寝入っている。ゆっくりと顔を横に向けて携帯電話の画面を付ける。まだ目覚めきってない目には鈍い光であっても鋭く刺さって眩しい。時間は午前4時すぎだった。
 川内は障子を軽く閉めたその先、海沿いを一望できる窓際の広縁の椅子に浴衣姿で座っていた。

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同調率99%の少女(24) :帰投

同調率99%の少女(24) :帰投

# 5 帰投

 帰路につく道中、神通は不知火や時雨たちと、川内は神奈川第一の暁や雷と、そして那珂は五十鈴と雑談していた。

「そっか。そんなことがあったんだ。」
「えぇ。今日は朝から色々ありすぎて疲れたわ。」
「ところでさ、五十鈴ちゃんたちが出会った深海棲艦のことなんだけど聞いていい?」
 那珂が一番気になっていた話題のためのワードに触れると、五十鈴は軽くため息を吐いて姿勢を正した。五十鈴の空気

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同調率99%の少女(24) :戦術的勝利

同調率99%の少女(24) :戦術的勝利

# 4 戦術的勝利

 那珂たちは川内を追いかけて可能な限り速力を上げて急いだ。途中レーダーで確認させると、状況に変化があったことを理解した。
「そっか。無事合流できたみたいだね。あたしたちも急ご。」
 那珂達が進んでいると、砲撃の音が空気を震わせて伝わってきた。全員が全員、その意味を理解するが誰かまではわからない。そのため砲撃音を耳にするや否や速力をさらに上げた。

((待っててね、神通ちゃん、

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同調率99%の少女(24) :四人の見た結末

同調率99%の少女(24) :四人の見た結末

# 3 四人の見た結末

 戦闘海域に近づいた時、川内はすでに神通・五十鈴両名と合流を果たした夕立を目の当たりにした。ただ、なぜかまっすぐ自身らの方に向かってくる。暗闇で明確に確認できないが、雰囲気からして恐怖かなにかで引きつっているのが感じられた。
「せーんだーーいさーーーん!助けてーー!後ろのーー深海棲艦ーー怖いっぽいーーー!」

 夕立を先頭にして、神通と五十鈴が並列で続いている。そして三人

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同調率99%の少女(24) :三人の戦場

同調率99%の少女(24) :三人の戦場

# 2 三人の戦場

 急な知らせを聞かされた会議室の艦娘たちは、ザワザワとし始める。特に那珂たち鎮守府Aの面々は思い当たるフシがあるために全員でその海尉に詰め寄って問いただす。
「うちの艦娘二人が交戦中ってどういうことですか!?」
「詳しく教えていただけますか?」
 那珂に続き、提督代理の妙高が珍しく感情的に詰め寄って説明を求める。傍には理沙が立ち不安そうな表情をしている。海尉は二人をなだめなが

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同調率99%の少女(24) :二人の危機

同調率99%の少女(24) :二人の危機

# 1 二人の危機

 神通と五十鈴は連戦の疲れもあったので、速力区分スクーターの10ノットから速力歩行の5ノットの間を推移させながら移動していた。そのため到着が何時になるかわかったものではない。
 さすがに帰る時間を心配した五十鈴は神通にソワソワしながら提案する。
「ねぇ、速力上げない?帰る時間が遅くなると……今日はまさか緊急の出撃があるとは思わなくて、両親に艦娘の仕事が終わる時間伝えてないのよ

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同調率99%の少女(24) :登場人物紹介

同調率99%の少女(24) :登場人物紹介

# 0 登場人物紹介
<鎮守府Aのメンツ>
軽巡洋艦那珂(本名:光主那美恵)
 鎮守府Aに在籍する川内型の艦娘。神通と五十鈴の危機にいち早く救出任務を願い出る。

軽巡洋艦川内(本名:内田流留)
 鎮守府Aに在籍する川内型のネームシップの艦娘。親友たる神通の危機ならば自身の身の危険など見えなくなる。

軽巡洋艦神通(本名:神先幸)
 鎮守府Aに在籍する川内型の艦娘。東京湾で頻発した深海棲艦の出現の

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同調率99%の少女(23) :哨戒任務、再び

同調率99%の少女(23) :哨戒任務、再び

# 9 哨戒任務、再び

 明石と一緒に艤装を収納している施設に行き、各自の艤装を装備して川内たちは早速自衛隊堤防から海へと降り立った。
 事前に、この日の哨戒任務にあたる神奈川第一の艦娘の旗艦に、川内達が増員メンバーとして参加することが伝えられていた。そのため川内は自衛隊堤防を離れてほどなくして旗艦と出会った。

「よう。あんたらが隣の鎮守府のやつらかい? あれ、あんたどっかで見た気がするな。」

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同調率99%の少女(23) :祭りの裏

同調率99%の少女(23) :祭りの裏

# 8 祭りの裏

 那珂と五月雨が先に出てしばらく経った頃、川内たちも宿を後にして館山基地へと向かった。体験入隊のプログラムが残っているためだ。
 川内たちが基地の敷地に入ると、やけに人や車が多いことに気づいた。
「な~んかえらく人多くない?海自の人じゃないよね?」
「パンフレットによりますと、体験入隊以外にも今日は一般開放されているみたいですよ。ヘリコプターとかに試乗できるそうです。……できる

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同調率99%の少女(23) :観艦式:フリーパート

同調率99%の少女(23) :観艦式:フリーパート

# 7 観艦式:フリーパート

 観艦式のメインプログラムがすべて終わった。那珂たちは先導艦霧島を先頭に単縦陣で並び直し、大きくOの字を描いて会場たる桟橋の数m先に並んだ。観艦式が始まる前とまったく同じ列を成した。

「それでは続きまして……」

 放送で次のプログラムの指示が発表された。いよいよ、フリーパートに移るのだ。予め決めておいたチームごとに分かれ、順番に演技をしていく。
 演技をする以外

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