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同調率99%の少女14~24

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那珂が主人公のオリジナル小説。 鎮守府Aの物語 14~24巻分まで
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2017年11月の記事一覧

同調率99%の少女(19) :神通の初戦

同調率99%の少女(19) :神通の初戦

--- 6 神通の初戦

「砲撃開始ぃーー!」
 天龍の大声が周囲に響き渡る。それは、艤装で耐久度が増した声帯のおかげでもあった。

 深海棲艦に向けて、東から、西からすさまじい音とともに砲撃が始まった。
ドゥ!ドドゥ!ドドゥ!ドゥ!
ドゥ!ズドドオゥ!ドドゥ!ズドッ!

ズガガガガッ!ドガァアアアアーーーン!!!

「やったか!?」
 深海棲艦への着弾の際に発した煙で見えなくなった前方を見ながら

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同調率99%の少女(19) :洋上の4人

同調率99%の少女(19) :洋上の4人

--- 5 洋上の4人

 五十鈴たちが出撃して数分後、那珂たちも鎮守府Aの沿海を出て目的の海域に向けて移動し始めていた。
 送られてきていたBのCL2-DD1の現在の位置情報を那珂がスマートウォッチで確認すると、那珂たちから見て11時の方角、実際の方角では南西に約21kmと、位置的には羽田空港~京浜港の少し北を移動していることが伺えた。
 隣の鎮守府からは軽巡洋艦天龍と龍田を含めた4人の艦娘がチ

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同調率99%の少女(19) :海岸沿いにて

同調率99%の少女(19) :海岸沿いにて

--- 4 海岸沿いにて

 五十鈴たち3人から離れた夕立はなるべく海岸線、火力発電所の岸の側を進んで隣の鎮守府の球磨の艦隊に近づいていった。探照灯を持っているわけでもなく、周囲の僅かな光と月明かり等でしか見えていない。そして夕立は東京湾の千葉寄りの地理なぞ知ってるほど博識ではない、歳相応の知識しかない夕立が迷うことなく球磨たちの戦闘海域に向かうことができたのは、途中で通信して球磨から居場所と周囲

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同調率99%の少女(19) :川内の初戦

同調率99%の少女(19) :川内の初戦

--- 3 川内の初戦

 喉が異様に乾いてきた。川内はゴクリと唾を飲み込み、旗艦五十鈴の指示を移動しながら待つ。
 心なしか前方、五十鈴と村雨の隙間から見えるはるか先の海上いや海中に、黒みがかった緑に光るものが見えてきた気がした。錯覚か!?興奮しすぎだろ自分!とセルフツッコミを入れる程度にはまだ余裕がある。
 とにかく川内は見たままを前方にいた五十鈴に伝えてみた。

「なんかドキドキしてきました

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同調率99%の少女(19) :川内の初陣

同調率99%の少女(19) :川内の初陣

--- 2 川内の初陣

 那珂たちとは別の方向の出撃現場のため、川内と五十鈴たちは鎮守府Aのある川の河口で立ち止まって那珂たちを待つことなく、そのまま南東に移動し始めていた。海岸線に沿って移動すると、4人の目には千葉ポートタワーが飛び込んできた。

「おー、ポートタワーだぁ~。あたし一度も行ったこと無いんですよねぇ。一度も行ったことないのに海の上から見てるのってなんだか不思議な感じ~。」
「あた

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