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同調率99%の少女1~13

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那珂が主人公のオリジナル小説。 鎮守府Aの物語 1~13巻分まで
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2016年12月の記事一覧

同調率99%の少女(12) :終演

--- 6 終演 「さて、宴もたけなわではございますが、このあたりで懇親会を一旦閉めさせていただきます。」  提督の音頭の声が響き渡る。  時間にして16時。夕方にさしかかっている。片付けの時間や、主婦組の妙高と大鳥夫人からすると、家事に戻らないといけないため、タイミング的にはちょうどよい。 「ねぇてーとくさん!余ったお料理はどうするのぉ?」  夕立が声を張って質問した。 「そうだなぁ。食べられそうなものは食べきってもらって、あとは処分するか。」 「もったいなー

同調率99%の少女(12) :提督と艦娘たち

--- 5 提督と艦娘たち 「今の…聞かれちゃったかな?」 「どうだろ?うちら小声だったから大丈夫なんじゃない?」  普段の様子と裏腹に本気でさきほどの自分の発言に対する反応を気にする那珂。三千花は無事であるだろうと想像して平然と適当なフォローをする。  五十鈴は何度かチラチラと背後の提督を見るが彼と川内や神通たち5人が気づいた様子はないとふんで一息つく。 「って、なんで私までドキドキしなきゃいけないのよ!」  努めて小声で那珂に怒鳴る五十鈴。 「知らないよぉ~

同調率99%の少女(12) :川内・神通・不知火たち

--- 4 川内・神通・不知火たち  川内と神通は三戸と和子、そして不知火と話していた。川内は夕立と同じく皿いっぱいに料理を盛って手に持って食べながら会話に参加している。 「内田さん結構食べるよなぁ。女の子でその量って珍しくない?」  三戸は同意を他の女子3人に求めると、その意見に賛同したのか3人共コクコクと頷いた。 「え~そうかなぁ~。あたしは普通に食べてるつもりなんだけどなぁ。てか三戸くんもっと食べなよ。君だって食べるでしょ?」 「いやまあそりゃ食べるけどさ、さ

同調率99%の少女(12) :那珂と五十鈴

--- 3 那珂と五十鈴  那珂も五月雨たちの場から離れて三千花らのところに戻った。 「なんだったの、西脇さんと五月雨ちゃんたち?」 「うん。ちょっとね。艦娘の装備についての話だった。」 「ふ~ん。」  特に細かく言う必要もないだろうとふんだ那珂は三千花の質問に簡単に答えるだけにした。  那珂たちはやはり身内の高校生で固まって会話に興じている。五十鈴も少し話すうちに同学年の三千花とも打ち解けあい、お互いの学校のことや趣味のことについて喋り合っている。  一方で1

同調率99%の少女(12) :五月雨・時雨・夕立・村雨たち

--- 2 五月雨・時雨・夕立・村雨たち  五月雨達は大鳥婦人の娘を取り囲んでおしゃべりに興じている。 「ねぇさつきちゃん。」 「え?なぁに高子ちゃん?」  大鳥婦人の娘が五月雨を本名で呼ぶ。最初の艦娘であり大鳥親子とは提督ともども他の皆より面識がある五月雨は彼女と最も親しい。五月雨は大鳥婦人の娘へ向いた。 「みんなお友達同士で艦娘のお仕事って、どう?楽しい? 学校では人気とかある?」  一般人の純粋な質問を受け、五月雨は時雨たちと顔を見合わせて答え始める。 「

同調率99%の少女(12) :懇親会開始

--- 1 懇親会開始  懇親会会場に移動した一行は、会議室で色とりどりの料理と飲み物が用意されていることに驚いた。 「うわぁ~すんごい料理とお菓子の数。提督よくこんなに用意したねぇ?」  那珂が感心すると、提督は皆を手招きでテーブルの周囲に案内しつつ答えた。 「半分は買ってきたお菓子や料理で、もう半分は、妙高さ……黒崎さんと大鳥さんのお二方のお手製料理だ。お二人がうちの近所にいてくださってよかったよ。本当にありがとうございます。」  提督は那珂たちに向かって答えた

同調率99%の少女(11) :着任式

--- 5 着任式  那珂がふと時計を見ると、あと2~3分で14時という時間になっていた。ほどなくして近くの階段を提督と阿賀奈を連れて五月雨が降りてきた。 「みなさーん。お待たせしました。これから着任式を行います~。内田さんと神先さんはこっち来てくださーい。」  ロビーに足を踏み入れた五月雨が号令をかける。提督は五月雨に合図をして着任式の行われるロビーの一角、先ほど五月雨たちが準備をしていたテーブル付近に立つ。  そこは、那珂が着任式をしてもらったときと同じ場所だった