民意なき百条委員会がもたらしたもの
自国維連立政権の気配が見えて国政の影響を受けているのか,維新の百条委2人が県知事選でのデータ提供に関して真相を明らかにし始めました.まあ県民ならばあれは維新系が動いたであろうと想像はついていたので,別に驚きでもなんでもないのですが,自民の分裂にしても良くも悪くも兵庫県の保守政治は国政の影響を強く受けるということが再度立証された印象です.
さて以前にも紹介しましたが,増山県議は百条委員会委員の中では先の県議選で最多得票数を得た議員です.岸口氏とともに2人が辞任し,仮に維新が百条委員会に補充委員を出さないとなれば,百条委13名のうち実に8名が無投票または地区最下位当選ということになり,その割合は62%となります.また地区で上位・下位当選に分けるとするならば,上位当選者は丸尾・越田の2名のみとなり,百条委は全く県民の民意を反映しておらず,その正当性に党派性を超えた疑義が生じることになります.

実際の委員会がほぼ終了し,百条委員会の報告書を取りまとめているこの時期に自発的に辞任の話が出てきたのは,単純にルール違反というだけではなく,百条委員会から第二会派がほぼ抜けることで,「報告書が県議会全体を代表したものではない」というものを印象付ける狙いがあるのかもしれません.
奥谷委員長が両論併記せずに無理やり一本化をしたいと言っている以上,その報告書の委員名に維新議員が3名も載るとなると,維新もその報告書を支持していると言われかねないからです.ある意味作戦なんじゃないかなと私は思っています.要するに維新は百条委の土俵から降りるということですね.
いずれにせよ民意なき百条委員会の実施は,自民県議の過去の悪事がYouTube動画で大量に暴かれ,県民連合からは死者が出て,維新はイメージの悪化につながるという結果となり,当事者にとっては誰も得をしないという結果になったわけですが,パワハラ知事ではなく腐った兵庫県議会を浄化するという意味ではそれなりの成果があったと元県民としては思います.ネット市民には今後も引き続き県議の監視を続けていただきたいと思っています.最近では,播磨臨海地域道路の話も出ているみたいで,加古川・姫路バイパスの渋滞がひどいとはいえ,トランプ関税も予想される中,人口減少時代に片側2車線の巨額の公共事業投資が果たして必要なのか,県庁建て替え以上によく考えて行動してもらいたいものです.
私も今回百条委員会をきっかけにいろいろ県議会のことを調べていて,県内に平成の大合併の影響でいかに5万人以下の(市の定義に当てはまらない)小規模市が大量に存在し,それが県政や県議会を歪めてきたのかということをデータを見て目の当たりにしました.村上総務大臣が市町村は全国に(20,30万人規模が)400あれば十分,県庁もいらないと言ったのは非常に的を得ていると思います.

アメリカの地方都市構造はそういう意味では興味深く,地方では都市がぎゅっと集約しています.5~10万人規模の都市と都市の間は農家や数百人規模の集落は点在するものの日本でよく見る数軒の集落というものはほとんどありません.都市部には病院,ガスや水道が整備されており,店もいろいろあって一通りの都会的な生活はできるようになっています.一方で都市圏を出てしまうとひたすら道路が続くという感じです.隣町まで1時間とかそういうのはざらです.
人口減少時代の中でいかに効率的に都市を再編していくか,抜本的にはそれを県議会が自ら議論していく時代になっていかなければ日本に未来はないでしょう.兵庫県も百条委員会の実施がきっかけで県民が議会を監視していく取っ掛かりが生まれたと思うので,単に党派間の政争やスキャンダルの暴露だけでなく,上記に示すような小規模市の再編といった兵庫県の根本的な課題も県民が県議に促していってほしいと思います.