共和党政策の影響~現時点での報告~

レッド州に住んでいるので,トランプがやろうとしていることは概ね州が先んじてやっているのですが,ここ1年ほどで経験した変化を報告しておきます.今後全米各地で以下のようなことが起こりうるんじゃないでしょうか.

1.学校禁書の拡大

LGBTQ関連の書籍が学校図書室から撤去されました.ただし公共図書館や街の本屋からは撤去されることはなく,本屋ではBook banの特集コーナーが作ってありました.読みたい人は読めるので実効性は乏しいでしょう.

2.中絶禁止

州によって何週から禁止するかというのが違うのですが,住んでいる州では心拍が確認される6週段階で禁止されました.つまり生理が来ないと思って妊娠検査で陽性が判明した段階でほぼ中絶は不可能です.中絶するためには隣の州へ旅に出る必要があります.隣の州は歓迎しますとは言ってましたが・・・.医者もこの話が出ると深刻そうな顔をしてピリピリしてましたね.

3.学校での携帯電話禁止
これはブルーステートでも賛成されている政策ですが,授業に集中できなくなるので携帯を使用禁止にするディストリクトが増えています.小学校では持ち込み自体が禁止,中学高校では授業中はカバンにしまうなどの対応が多いです.

4.市民権がない人の投票禁止
そもそも市民権がなくても投票できたというのがびっくりですが,日本と違って住民登録制度がないので,免許証に住所が記載されるなど何らかの居住の証拠があれば地方選挙は投票OKという場所もあったよう.これが急激に厳しくなり,永住権(グリーンカード)を持っていても市民権がなければ投票できないようになってきています.

5.不法移民は徹底的に取り締まる
不法移民だけならいいのですが,過去に国外退去命令を受けた人や入国拒否を受けた人が滞在することも許されなくなりました.厳密にはまだ施行されずに裁判所で係争中です.最近は独身女性の渡米が入国審査で拒否られることも多いようですが,一度拒否られると滞在すら難しいというのは厳しいですよね.

6.DEI部門が次々と閉鎖あるいは名称変更
州議会からの強い要求で大学のDEI関連部署は名前が変更になり,特定の人種や留学生のみを対象にしたプログラムの多くがなくなり,すべての人が対象となるプログラムに改変されました.ただ,実際のところ内容的に留学生しか参加しないようなイベントもあって,名ばかりの変化かなというところもあります.

今週のトランプの移民送還作戦の開始を受けて,スクールディストリクトからは不法滞在であろうが合法滞在であろうが,捜査官の学校への立ち入りは一旦拒否し,弁護士に速やかに相談して,全ての子どもを守るという決意表明が届いていました.

この州は共和党が議会多数と知事職を握ったことをきっかけにここ数年全米の中でも急激な右傾化が生じているのですが,地域によって考え方にかなり差があるため,私の周囲ではこの変化についていけないという雰囲気の人も多く,個人的には数年したらまたバックラッシュが生じるのではないかなという気がしています.すでにうちの地区の下院議員選挙は共和党優位だったのが大接戦になっていましたし.トランプもあまり急激に変化させすぎると,あとでバックラッシュが来るかもしれません.

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