ネイティブ ジュエリーを買うということ / Santa Fe・ニューメキシコ Vol.4
こんにちは。
今回、計画が二転三転しても残ったサンタフェ。ここに行くと決めたら調べるのは、ネイティブ ジュエリー。
自分なりに調べようと思ったきっかけは、ジュエリーに使用されているターコイズにかなりの偽造品(他の石に着色したり、樹脂で作ったものだったり)が混じってる、って目利きに教えていただいたから。
まずは知ることから。そしてAuthentic(本物)を取り扱う信頼できる店を探し、実際に行って話を聞こう、と。
サンフランシスコからセドナ、モニュメントバレーを経てサンタフェへと走った今回の旅。
アリゾナ、ユタ、ニューメキシコ。この辺りにはIndian Reservation(居留地)があります。ホピ族、ズニ族、ナバホ族などなど。
先住民である彼らは連邦政府から決められた土地(居留地)へ移動させられ住んでいます。移動先は荒野。「先のことはまたね、とりあえずここに住んで」的な土地。だから居留地、保留地よね。
(記事「龍の眠る “Tsé Bit’ a’í”(翼のある岩:Ship Rock )/ ニューメキシコ vol.1」)
私がネイティブ ジュエリーに出会ったのは高校時代。留学先の高校で仲良くなったナバホ族の友人がいつも大切に付けていたのがターコイズのネックレスでした。素敵だなーと思いながら過ごしていたのですが、当時の私には高価で買えず。
それから十数年後に再び訪れたグランドキャニオンで出会ったのがこれ。あの時欲しかったフェティッシュのネックレス。
米国に住んでいた十数年前、Indian Reservation へ行く度にネイティブ ジュエリーを眺めていました。当時は偽造品云々という意識はなく、ただ美しい!と思ったものを手にとっていました。
帰国後VOGUEでブログを書くことになり、あやふやな知識を改め、調べ、探り、を繰り返していくうちに「ものを買う」ということを深く考えるようになって。
アメリカ先住民によって作られたジュエリーを「ネイティブ ジュエリー」と呼びます。
先住民以外の人が作ったものをネイティブ ジュエリーとして販売することは米国内では違法。それでも、ネイティブメイドとして売られている50~80%が偽造品であるといいます。
Palace of the Governors
先住民の方々から直接購入できる、サンタフェの"Palace of the Governors"(総督宮)。売り手は、連邦政府が認めたニューメキシコ州内の23の部族。誰でも出店できるわけではありません。
作り手から直接購入するのが一番納得、そして嬉しい。
スペイン人入植者によって建てらてた総督宮で、連邦政府に認められた先住民が商売をする。なんとも皮肉。
作り手から直接購入できない場合は、信頼できるディーラーから。何を持って「信頼」なのか。店に入って分かるのは、
*アーティストの名前、所属部族、作品の説明がされているか。
* handmade(作り手自らがデザインしシルバーを細工し、とゼロから構築すること)と handcrafted(市販のパーツを組み合わせたもの)の違いが明確か。
Keshi The Zuni Connection
1981年にズニ族の美術工芸品の協同組合として設立された Keshi The Zuni Connection(Keshi はニューメキシコ州西部に住むズニ族の伝統的な挨拶)。勿論、ズニのアーティストから直接買い付けしています。
Zuni fetishes (ズニ フェティッシュ)は、千年以上に渡ってズニ族の人々によって大切にされてきた動物の彫刻。
ズニの人々は、それぞれの動物の持つ特性や能力に敬意を払い、その霊性を尊重し、自らとの繋がりに焦点を当ててきました。"Animal Medicine"と呼ばれる所以。
彼らの儀式に用いられるフェティッシュは厳格な規定に従って守られていますので、お店で売られているのは〜まあお土産。でも、ズニのアーティストたちが、そこに宿るものと対話しながら丹精込めて作っている「氣」は充分に感じられました。
クマ(Anshe):癒し、保護、強さ。クマの冬眠は自らの内に目を向ける大切さを教えてくれるそう。
ウマ (Du:shi) :受容と寛容を持ち他者の力を尊重する。ウマとヒト=深い理解を必要とする関係性。
ズニの人々にとってトウモロコシは主食であり”母”。彼らは、地球とすべての生命との繋がりを確認するためにトウモロコシ粉(コーンミール)やトウモロコシの花粉を持ち歩いています。
物的なものは時と共にケガレ(氣枯れ)ていきます。フェティッシュも然り。
彼らを浄化するため、そして彼らのごはんとして、「気が向いた時にあげてね」とターコイズの粉をブレンドしたコーンミールをいただきました。
セドナからサンタフェまで〜お土産屋さんから最高級品を扱うギャラリーまで〜引っ掛かった店に飛び込んで話を聞いてきました。
画像で見るより佇まいが軽かったり、またその反対もあり、やはり実際に手に取って視ることが大切だと痛感。
知識は必要だけど、自分が素敵!と思う「感覚」が第一。
そして「この人から買いたい」かどうか。
店主と話すと、どういう意識で商品を扱っているのか解るし、それは確実に店の雰囲気と商品に反映される。
Keshi のスタッフの言葉が残っています。
「自分たちが取り扱っているものへの敬意、それに尽きる。」
本当にそれ。
多くの鉱山が閉山され、天然のターコイズの価格が高騰。わー美しい!と心震えたそれはもう「アート」なお値段でした。手が届いたバングルやリングは、サイズが大きすぎて…まあ、今回は勉強だわね。また次回。
ネイティブ ジュエリーの「本物」とは、先住民の方々が作ったもの。
表面的なデザインだけ模倣したものは彼らの伝統と生活を穢すことなのよね。
続く。