パリ五輪へ。「Mode et sport, d’un podium à l’autre(モードとスポーツ、ひとつの表彰台からもうひとつの表彰台へ)」展 @装飾美術館 / パリ⑥
こんにちは。
イリスの展示を見た後は、モードとスポーツの展示へ。
今年2024年、オリンピック・パラリンピックを控えたパリでは、モードとスポーツに焦点を当てた展示「Mode et sport, d’un podium à l’autre(モードとスポーツ、ひとつの表彰台からもうひとつの表彰台へ)」が装飾美術館で開催されました。
スポーツウェアがどのように特定の用途から日常のワードローブに組み込まれるようになったかを辿る展示。
現代の競技種目を紐解くと、乗馬、ハンティング、アーチェリー、フェンシングなど、貴族の余暇活動にルーツを持つものが多くあります。当然そのウェアには洗練と優美さが求められました。
女性が馬にまたがって乗ることが良しとされなかった時代、女性は横乗りがマナーでした。なので、彼女たちはアマゾーヌと呼ばれる長尺のスカートが組み合わされているドレスを着用し騎乗しました。
スポーツの語源は、転換するという意味を持つラテン語 "deportare"。それが、気分を転じさせる、気晴らしをするという意味の中世フランス語 "depoter "、"desporter"に転じます。そして「ゲーム、ショー」といった意味を持つ英語 "disport"、"sport"となっていきます。
19世紀後半から、英国のパブリックスクール(支配階級の子弟が通う私立学校)においてスポーツのルールが確立されていきます。
ルイーズ・トロッターがクリエティブディレクターに就任してからのラコステ、素敵だった!
窮屈な衣服に締め付けられていた時代は終わり、快適さとリラックスさを重視するスポーツウェアは日常に取り入れられていきます。
展覧会の題名にある「podium(ポディウム)」は表彰台のこと。
KOCHÉ x Nikeの「ローブ クチュール」。
ファッションとスポーツが見事な融合を遂げたブランドY-3(Yは山本耀司のY、3はアディダスのスリーストライプスを表す)は、モード X スポーツのコラボレーションにおける先駆者。
アディダスのナイロンを使用したY-3の「パラシュートドレス」。
ポディウム(表彰台)はファッションの世界ではランウェイに当たるのかなー。トラックにずらりと並んだコレクション、ディスプレイが秀逸でした。
ああ、アレキサンダー・マックイーン 1999年春夏の「NO.13」。木製のブーツのように見えるのは義足です。
トネリコの木に葡萄の蔓と木蓮が彫られた義足を履いてランウェイに登場したのは、両足義足のエイミー・マリンズでした。
1歳の時に病気で両足を切断したエイミーは、パラリンピアンでモデル。人との違いを解放し、純粋な心を持つエイミーの姿勢は、多くの人々に感銘を与え続けています。
石岡瑛子デザインのソルトレイクシティ冬季五輪のスイス代表団ユニフォーム。
スニーカーの「快適さ」は、日常とクチュールの両方において必需品となっていきました。
スニーカーといえば…シャネルのショッピングセンターシーズンよね。シャネルツイードがスニーカーになったあの時の高揚感は忘れられない。
そして、ディオール。
アテネにあるパナシナイコ スタジアム(Panathenaic Stadium)で開催された2022年クルーズコレクションが思い出されます。
(記事「古代ギリシャの競技場パナシナイコ スタジアム(Παναθηναϊκό Στάδιο)で開催された ディオール クルーズ 2022」)
素敵だったのがサモトラケのニケが着るKOCHÉのドレス。
ナイキ(Nike)の由来となった勝利の女神ニケ(Niké)が見事に着こなしていました。
自分に制限をかけずどこまでも飛んでいきたい!という気持ちにさせられた展示でした。