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新しい栄養学(1)腸機能と腸内フローラ
これからの健康栄養学には、多様な常在菌との共生という視点が必要です。
栄養素とは、栄養のために摂取する物質。人間に必要な栄養素は、「5大栄養素」とも呼ばれる、「たんぱく質」、「炭水化物」、「脂質」、「ミネラル」、「ビタミン」。そして1970年代以降に、「食物繊維」が加わって「6大栄養素」という言い方が一般的です。
「食物繊維」などの難消化性食品成分は、人間にとっては、栄養素ではありませんが、食物繊維は腸に十分な水分を届け、腸を刺激して活動を活発にし、排便を促し、さらに腸内常在菌の餌になるなど、その機能性が分かりはじめ、追加されました。
既に、腸内常在菌が私たちの美容や健康に重要であることは、多くの方々がご存知でしょう。しかし、腸内常在菌と腸の働きにどのような影響を与えているのでしょうか?
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腸の役割は多岐に渡ります。
・食べた物の消化・吸収
・排泄(デトックス)
・血液をつくる(造血)
など。
しかし、これらに加えて、腸内常在菌の働きの助けによって以下の役割も担っています。
- 病原体に対する防衛・排除
- ビタミン類(B2、B6、B12、K、葉酸、パントテン酸、ビオチンなど)をつくる
- ホルモンや酵素をつくる
- アミノ酸をつくる
- 血糖値や血圧を調整
- コレステロールを代謝
- オリゴ糖や食物繊維など難消化性成分(ルミナコイド)を発酵させ短鎖脂肪酸を生み出す
(→腸のぜん動運動のエネルギー源となり腸を動かす)
- 腸粘膜細胞と連携して免疫力の約70%を生み出す など
このように、私たちの腸が正く機能するためには、腸内常在菌が欠かせません。
私たちの健康には、腸内常在菌が良好であることが不可欠。
腸内常在菌は、宿主(人間)にとって必要な短鎖脂肪酸など、有用な代謝物を作り出す一方、 腸内腐敗産物や二次胆汁酸などの有害な物質も生成します。
変異原物質や発がん物質の生成や活性化することで発がん促進をすることも、また、それらを分解や不活化、吸着などで除去することでがんの予防に役立つことも知られています。
そのため、腸内常在菌にはヒトに有益な代謝物を産み出すもととなる、難消化性食物成分であるルミナコイドが重要なのです。